赤松孝撮影
赤松孝撮影
 今月22日、23日の全日本ロードレース選手権・第3戦スポーツランドSUGO(宮城県)の前に、第2戦鈴鹿2&4(4月24日、25日)を振り返ってみましょう!JSB1000のみの2レース開催で、4輪・スーパーフォーミュラとの併催。また、JSB1000レース1は鈴鹿8時間耐久ロードレースの出場権をかけたトライアウトとなっていて、決勝レースグリッド44台の中、全67台がエントリー。会場には熱気があふれ、鈴鹿8耐の人気をあらためて感じました。

 JSB1000レース1の予選は、4輪走行後でスリッピーな路面となり、コンディション的に難しい状況のなか、各ライダーはタイムアタックに挑んでいました。

 予選結果は、ポールポジションが中須賀克行(ヤマハ)。2番手に清成龍一、3番手に浜原颯道、4番手に岩田悟とホンダ勢が続き、5番手に加賀山就臣(スズキ)に。そして迎えた決勝レース1、14周で争われ、好スタートを見せたのは清成。その後、清成と中須賀、岩田、浜原がトップ争いを見せますが、3周目のデグナーカーブで多重クラッシュが発生。通常なら赤旗中断となるところでしたが、セーフティカーが導入されます。

 5周に渡ってセーフティカーが入り、リスタートは8周目。清成、中須賀のトップ争いに加賀山、岩田が続きます。
 私が注目したのは、加賀山と岩田の一騎打ちとなった3番手争い。最終ラップの130Rで勝負に出た岩田ですが、痛恨の転倒。結果は優勝が中須賀、2位に清成、加賀山が3位となります。ゴール後のウイニングランで、最終コーナーにいた岩田を加賀山がタンデムし、表彰台まで戻ってきました。その光景に、観客から温かい拍手が沸き起こりました。後ろに乗った岩田に、加賀山は慰めるようにポンポンと足を叩き、それに岩田はうなずいているように見えました。プレスルームでもその映像に視線が集まり、自然と笑顔が広がりました。

 加賀山はあのシーンを振り返り「3位争いで岩田は転倒してしまったけど、めちゃくちゃ頑張っていたので、悟をグランドスタンドのファンの前に連れて行きたくて、タンデムしました。その後、協会からめちゃくちゃ怒られちゃいましたけど、頑張ったライダーをあのコーナーに放置できなかった」と語りました。
 レース後の加賀山の行為は安全上の観点からルール違反だそうです。ですが、加賀山の優しさに岩田も感謝し、「加賀山さんとバトルできたことも、よくやったと声をかけてくれたことも、タンデムしてくれたことも、うれしくて感謝しています」と語っています。

 セーフティカーが入っていた5周はレーシングスピードではないためタイヤが冷めてしまうのですが、その熱を逃がさないような走り方やリスタート時にダッシュするためのマネージメントは、海外経験豊富な加賀山の実力が見事に発揮されたレースでもありました。そこに食らいついた岩田のガッツも素晴らしく「表彰台のチャンスを逃したくなかった。勝負するポイントはあそこしかなかった。いかなきゃライダーじゃないと思った。転倒してしまったけど、攻めたことを後悔はしていません」と言います。
 岩田は2006年に全日本デビュー、期待の逸材として注目を集めます。また、2007年の全日本GP125チャンピオンで、現在はオートレースで活躍し岩田裕臣は兄、青山博一・周平のように兄弟ライダーとして知られています。優しい雰囲気の兄としっかり者の弟で、私はずっと悟のほうが兄だと勘違いしていました。周りへの気使いができて頼れる存在でもあり、ポケットバイクの74Daijiroの普及にも力を尽くしてくれています。

 しかし、近年は代役参戦が多くなり、フル参戦の機会はありませんでした。それでも、いつ見てもライダーオーラを発散、しっかりとトレーニングを重ねていることは誰の目にも明らかで、その姿勢に一目置かれているライダーでもありました。鈴鹿8耐にも助っ人ライダーとしてよく声がかかっていて、その実力は高く評価されていました。
 そして2019年、2輪・4輪の研究開発などを行っている株式会社オートテクニックジャパンの社内チームである「Team ATJ」から鈴鹿8耐参戦を果たします。ライダーとしてチームを引っ張り、現在監督となった中津原尚宏氏はその岩田の実力を認め、2020年、全日本ロードレースでもチームのエースライダーに抜擢。最高峰クラスへのフル参戦は初めてながら、岩田はランキング6位と結果を残します、そして今シーズン、鈴鹿2&4では表彰台へ迫る走りを見せたのです。レース2はメインカーを壊してしまいTカーで8位となりましたが、「SUGOではしっかりと表彰台を目指す」と気合十分です。

 加賀山も「自らが持つ最年長表彰台記録を更新し、さらに最年長優勝ライダーを目指す」と誓っております。中須賀VS清成の戦い、加賀山の記録更新、岩田の表彰台は叶うのか?SUGO戦も見どころがたくさん。全クラス開催ですので、他クラスもぜひ注目して下さい。