「Francisco Fralie Martin」提供
「Francisco Fralie Martin」提供
 海外で活躍する日本人ライダー紹介、2人目は、JEG RACING TEAMよりスペインスーパーバイク選手権(ESBK)に参戦中の浦本修充。今季でESBK参戦5年目を迎え、昨年は同シリーズで初優勝、初ポールポジションを獲得し、年間ランキング4位。今季はタイトル獲得を目指します。ESBKのポスターにも浦本が登場し、トップライダーとして認知されていることがわかります。

 シーズン前に浦本は「チーム、サーキット、そしてライバルたちも理解していますし、昨年の優勝は自分にとっても大きな自信になったので、今季はチャンピオンを獲得するために全力を尽くします」と言って、戦いの場であるスペインに向かいました。

 新型コロナウイルスの影響を受け、日本だけでなく海外でも参戦チーム数の減少や活動縮小が起こっています、そんな中でも、スペインの地で日本人ライダーの浦本が起用されているということは、チームからの信頼やライダーとしてのポテンシャルへの期待の証です。
ESBKのポスター
ESBKのポスター
 ESBK開幕戦の舞台は、4月10日〜11日のヘレスサーキット。今季からタイヤがピレリに変更となり、事前テストではフィーリングが得られませんず、苦戦を強いられます。タイヤのセッティングには相当な繊細さが求められ、路面温度や気温によってまったく別物になってしまうということは、ライダーたちからもよく耳にします。その結果、想定以上に調整に時間がかかってしまい、予選10番手という不本意なグリッドから追い上げを強いられます。

 決勝レース1、10番グリッドから追い上げ、4周目には6番手浮上、さらに2台を捉えて、4位でチェッカーを受けました。ESBKは決勝レース1の順位でレース2のグリッドが決まるため、決勝レース2は4番手からスタート、トップ争いと変わらないタイムを叩き出して追い上げますが、後続車が浦本のリヤにヒットして転倒、リタイアとなってしまいます。

 第2戦は5月15日〜16日、スペイン北部にあるナバラ・サーキット。浦本は事前テストから好調で、公式予選では序盤からタイムアップして3周目には4番手浮上、さらなる上位が期待されたのですが、雨が落ちて、それ以上にタイムアップを狙えず、4番手グリッドとなります。

 決勝レース1、すぐ3番手浮上しますが、スコールが路面を叩きます。ただレース続行され、雨はすぐに止むという展開。浦本は3番手を走行し、トップ2台を追いますが、雨で開いた差を埋めることができずに3位でチェッカー。今季初表彰台に登ります。決勝レース2は3番グリッドからのスタート。2番手争いを繰り広げますが、結果4位となりました。

 浦本は「レース1は赤旗が出るだろうと思うくらいの雨が降り、躊躇してしまいました。レース2は常に前を捉えようと色々と試みましたが、抜くことはできませんでした」と悔しさを噛みしめる結果になりました。
 第3戦は、6月19日〜20日モーターランド・アラゴン。浦本は、木曜日の非計時走行では2番手タイムを記録。ですが、予選でトラブル発生、問題解決とはならずに予選8番手となります。

 迎えた決勝レース1は、雨は止みますがウエットコンデションのままスタート。タイヤチョイスが上手くいかず8位。決勝レース2では5台の2番手争いを展開して3位、今季2度目の表彰台となりました。ですが、浦本に笑顔はなく「課題もあってスッキリしない週末となってしまいました。次戦に向けて、その課題を解決できるようにチームと話して、次戦は大暴れしたいです」と気合を込めています。
 思うような結果ではないのかもしれないけれど、確実にライダーとして前進しているはず。かつてイタリアから世界チャンピオンが生まれ、次の時代にはアメリカから新風が吹き、日本から優秀なライダーが世界へと飛び出したように、現在はスペインが黄金期を迎えているように思います。そのフィールドで鍛えられている浦本の力は、底知れないはず。

 次戦は、7月17日〜18日でバルセロナ・カタルーニャサーキットで開催されます。ここを入れて残り4ラウンド、8戦の戦いが続きます。最終戦は10月30日〜31日へレス。それを終えて、11月5日〜7日の鈴鹿8時間耐久ロードレースに駆けつけてくれるかもしれません。そこで、鍛えた走りを見ることができることを期待しつつ、ESBKでのさらなる躍進を楽しみにしています。