「ホンダレーシングサンクスデー2021−2022」レポート
 今回で13回目の開催となる「ホンダレーシングサンクスデー2021−2022」が2月6日、三重県・鈴鹿サーキットで行われました。2輪、4輪を問わず、国内外のさまざまなレースで活躍するホンダが、ファンに感謝を伝えるイベントです。2020年は新型コロナウイルス感染拡大のためオンラインで開催されることになったため、実に2年3か月ぶりに有観客で開催されることになりました。国内のドライバー、ライダー、監督含め33名が参加。YouTube配信もあり、そちらで楽しんだファンも多かったと思います。
 2021年を終え、新シーズンへと繋がる「2021−2022」をタイトルに付けて行われた今回のイベントは、カテゴリーを越えたコラボレーションやレース、実物のマシンの展示などで来場したファンを喜ばせてくれました。

 2輪のロード、モトクロス、トライアルライダーがペアを組んでキッズバイクで競争する「HondaRacing MOTO FIGHTERCUP」では、全日本ロードの作本輝介とモトクロスの大倉由揮のペアが見事優勝を飾りました。カートでは、2輪と4輪のライダー・ドライバーがペアを組んで戦う「HondaRacingKART ATTACER CUP」が行われ、なんでもありの激しいバトルの末、ブリティシュスーパーバイク(BSB)の高橋巧とスーパーGTのドライバーの大津弘樹のペアがポールトゥウィンで表彰台の真ん中に立ちました。

 また、2輪ライダーらによるエキシビションレース「HRC−Moto Cup」では大バトルを展開。7周で争われ、作本、水野涼(BSB)、長島哲太(ホンダテストライダー)、名越哲平(全日本ロード)と目まぐるしくトップが変わりますが、最後は長島が混戦を制し、優勝を飾ります。電動バイクのPCXエレクトリックで争われた「e:Bike Cup」は、トライアルやモトクロスライダーもロード用ツナギを着用、レースはルマン式スタートで始まり、作本が優勝を果たしました。

 デモ走行「Honda Rider‘S Show Run」では、今季からJSB1000に挑戦を開始する作本、榎戸育寛、2年目となる名越、ST1000の渡辺一馬が登場、加えてBSB高橋巧、水野涼、モトGPマシン開発ライダー長島哲太がコースイン。モトGPマシンのエンジン音が鳴り響き、思わず「うわぁ〜、カッコいい」と声を上げてしまい、と同時に「あぁ、この音を2年も聞いていないのだな」と考えると、今年こそモトGP日本GPが開催されることを願わずにいられませんでした。

 コース上では、今年発売予定のCIVIC TYPE Rプロトタイプが鈴鹿サーキットで世界初走行するというサプライズや、今季仕様のスーパーGTマシン・NSX−GTも登場し、ファンを沸かせていました。グランドスタンド裏のGPスクエア会場では、2021年F1トルコGP仕様のレッドブル・ホンダ日の丸カラーと、角田裕毅がドライブしたアルファタウリ・ホンダが展示。2輪もワークスマシンの展示もあり、なりきりモトGPコーナーやオリジナルポケットバイク・74daijiro(ダイジロウ)の試乗などが行われていました。

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 この日のオープニングセレモニーで、三部敏宏社長は「昨シーズンは2輪、4輪あわせてチャンピオン獲得、ならびに好成績を挙げることができました。今シーズンは2輪と4輪をあわせた新生HRCの新体制のもと、2輪・4輪、参加するすべてのカテゴリーにおいてチャンピオン獲得を目指します」と、力強く挨拶されていました。
 
 昨年の全日本ロードレース選手権、最高峰JSB1000クラスはヤマハファクトリー中須賀克行選手が全戦全勝で10回目のタイトルを獲得、対する最近のホンダは「ちょっと元気が感じられない」と囁かれ、ホンダファンからは反転攻勢に期待が集まっています。今季は改良されたマシンが登場すると噂され、そのポテンシャルへの期待が高まっているだけに、三部社長の「全てのカテゴリーにおいてチャンピオン」という言葉に、ホンダの本気を感じることになりました。
 BSBの水野は「日本のファンの前で走ることができて嬉しかった。最高の時間でした」と語り、高橋は「4輪ドライバーと組んで参加したカートが面白かった。こんなことができるのはホンダだけ。2年ぶりのイベントなので、ファンの方々の前に出られたことも嬉しかった」と言います。長島は「RC213Vの開発に関わらせていただき、ファンにそのマシンで走っている姿を見ていただけたことを光栄に思う。ライダーとして、また皆の前に帰ってきたい」と語りました。

 長島は、鈴鹿8耐マシンの開発も担当し、鈴鹿を走って好タイムを記録しているよう。今年こそ鈴鹿8耐が無事開催されるよう、願わずにはいられませんでした。水野、高橋、長島の3人がピットに揃う姿を見て、海外勢が来日することができなかったとしても、この3人がいればホンダの8耐は面白くなるだろうなぁ〜と思いました。
 世界のモータースポーツ文化を創造してきたホンダの層の厚さを感じることのできたイベントでもありました。粉雪が舞う寒さの中でしたが、たくさんの方々が笑顔でホンダの赤い旗を振って応援している姿も印象的でした。何より、三部敏宏社長の「全てのカテゴリーにおいてチャンピオンを目指す」という言葉に、強いホンダの復活を感じたことが、ファンの喜びだったように思います。