埼玉県にあるテルル桶川サーキットで4月9日、「FIM MiniGP World  Series」(ミニGP)の走行会が開かれました。2021年にFIM(国際モーターサイクリズム連盟)とWGPの興行権を持つドルナスポーツが新設したミニGPは、エントリー対象年齢が10歳から14歳までで、使用するミニバイク(Ohvale GP−0 160)、タイヤはピレリ、オイルはモチュールで、競技・技術規則を統一。モトGPを目指す子どもたちにスキル向上とチャンスを与えることを目的としています。

 昨シーズンは、アルペ・アドリア、北米、フランス、アイルランド、イタリア、マレーシア、オランダ、ポルトガル、スペイン、イギリスで開催。今季は新たにオーストラリア、オーストリア、インドネシア、カタール、日本も加わって開催されることになります。
 各国の年間ランキング上位トップ3には、「MiniGP World Final」に参加する権利が与えられ、勝者には次のステップとなる選考会への参加、または直接の参戦権が得られる、という夢のような大会なのです。もちろん、世界中で選ばれたライダーの中でしのぎを削るのだから、かんたんではないですが、希望はあります。

 そのミニGP開幕戦(4月16日)に向けた走行会が行われた桶川サーキットには、全日本ロードレース選手権でも顔を見かけるような精鋭メンバーが競技委員として集まり走行会を支えていました。2011年の全日本JGP3チャンピオンでモト3参戦経験もある藤井謙太がマシンテストを担当、「未来あるキッズライダーたちが乗りやすいバイクになるように、オフの間はずっとテストをしていた」と話していました。

 走行会には日本全国から集まった親子がサーキットに集合、初めて見るマシンに興味津々の様子。コースの走り方は全日本ライダーでもあった鎌田悟からレクチャーを受け、15分ごとの貸し切り走行が繰り返し行われました。そして、ホンダのモトGPテストライダーでもあり、全日本チームのオーナーやGP解説者としても大活躍の長島哲太がアドバイザーを務めます。「GPに行ったら、与えられたバイクを乗りこなすことを求められる。このバイクの良さを引き出せる走りを心がけて」とアドバイス。コースに出て、全員のライディングをチェックして、インターバルには熱心にレクチャーしていました。

 そして、現役引退して監督業に専念することを発表したばかりの加賀山就臣が登場したのです。友人の子どもが参戦を決めたことで、様子を見に来たんだそう。長島から「乗ってみてください」と声を掛けられて、颯爽とコースイン。加賀山のサプライズ登場にサーキット中がザワザワとどよめきました。走行を終えた加賀山は「新人類の乗り物という印象。これで鍛えられたら、モトGPのマシンを操れるようになれるんだろうな。今のモトGPライダーたちの速さの理由が分かる気がした」と印象を語りました。
 参加した子どもたちは、想像以上にパワフルなマシンにも嬉々として乗っていました。最初は先導車に付いてゆっくりと走り始めた子どもたちが、終盤にはすっかり乗りこなしていて、頼もしさを感じることができた走行会でした。

 この日はミニGP運営の株式会社P−UP Worldの代表取締役中込正典社長は、「ランキング1位には100万円、2位に50万円、3位30万円の賞金があります。上位3人は海外参戦の特典があり、その渡航費に充ててくれたら」と、賞金提供の発表もありました。4月16日、シリーズ5戦、2レース開催の全10戦の戦いが筑波サーキットコース1000から始まります。
FIM MiniGP Japan公式YouTube「FIM MiniGPジャパンシリーズ | 日本初走行 編」