来季はアジアに挑戦!
赤松孝撮影
赤松孝撮影
 2016年から、全日本ロードレース選手権との併催でJP(ジャパンプロダクション)250クラスが始まりました。ロードレースの底辺拡大を目指したクラスで、国際ライセンス保持者と国内ライセンス(インタークラス)保持者が混走、車両もバラエティーに富んでいます。

 国内ライセンス保持者の「インタークラス」から参戦した石井千優(23歳・SDG N−PLANRacing)は、今季3戦目の筑波サーキットで初優勝を飾り、最終ランキング2位に飛躍した注目のライダーです。
 石井の実家は、日本唯一のポケバイ専用コースがある千葉北サーキット(通称、千葉北)で、ロードレース世界選手権(WGP)で活躍した原田哲也、中野真矢らを輩出したコース。ロードレース世界選手権(WGP)で活躍する中上貴晶や故富沢祥也、長島哲太らもここで腕を磨き、現在、全日本ロードで活躍する名越哲平や國井勇樹らも卒業生。他にも、千葉北を走ったライダーたちがたくさんいます。そんなライダー、現役ポケバイライダーらは石井を「ちぃーちゃん」の愛称で呼び、みんなのアイドルでもあります。

 石井が参戦した第3戦筑波サーキットには、たくさんの人が応援に駆け付けていました。選手紹介のときの声援の大きさが違います。手作りの応援グッズも微笑ましく、愛されているな“ちぃーちゃん”、といつも思うのです。今年は念願の初優勝を飾り、「ポケバイライダーのみんながレース中に色んなところで旗を振ってくれているのが見えて、とても力になった」と語っていました。
 レースを始めたきっかけは、「祖父母がポケバイコースを経営していて、身近にバイクがあったけど、最初は嫌だったし興味もなかった。小学2年生のときに女の子のライダーから誘われて、ちょっと乗ってみようって気持ちになって、実際に走ったら面白くて、初めて出たレースで優勝したんです。そのレースに出ていたのが、今はすごいライダーになっていますが、ヤマハファクトリーにいる岡本裕生選手。私勝ったんです」と笑顔で教えてくれました。

 そこから本格的にレースを始めるようになります。小学6年生でチャンピオンに輝くと、中学1年生からCBR150に乗り始め、ドリームカップに参戦。20歳になった2020年からはJP250に参戦を開始します。この年ランキング3位となり、2021年には同ランキング6位、今年はケガで開幕戦を欠場しながらもタイトル争いに食い込み、ランキング2位へと浮上しました。

 さらに今年、石井にとって大きな挑戦が始まりました。自らチーム「Team Bunny」を立ち上げたのです。石井は「ポケバイを卒業したライダーたちが、走る場所がないためレースを辞めてしまうのをたくさん見てきました。自分がチームを作ることで、走り続けたいという気持ちや夢を持っている子たちの助けになりたいと思ったんです。チーム員は2名、高橋花奈(はな・15歳)と古川幸太郎(13歳)です。幸太郎君はオートレーサーになることが夢なんです。現役オートレーサーの鈴木圭一郎選も、昔は千葉北で走っていた先輩ライダーなんです。たくさんの人にレースやバイクの楽しさを知ってもらいたいから、自分なりに底辺拡大を目指し、活動したいと思っています」と語ります。
 チームの活動を続けながら、来季は活動の場をアジアにも広げます。石井はチーム「SDG motor sports RT HARC−PRO.Ph」からアジアロードレース選手権(ARRC)AP250にフル参戦することになりました。石井は今季ARRC最終戦(11月18日〜20)をタイ・ブリラムサーキットで見学後、テスト走行に参加しました。

 石井は「2〜3年前からYouTubeでAP250のレースを見るようになり、走りたいと思っていたときに、誘っていただきました。レベルの高い戦いですが、自分なりに頑張ります」と、来季に向けての戦いがはじまりました。大忙しの石井ですが、今は12月18日に行われる「2022ちばきたクリスマスカップ」(※12月14日までエントリー受付中)に向けて日々準備に追われています。石井は「子どもたちに楽しんでもらえるようしたい」と話します。

 ライダー、チームオーナー、イベントの主催と、何役もこなしながら挑戦し続ける石井から、これからも目が離せないのです。