全日本モトクロス選手権レディースクラス

表彰式やインタビューが終わってから、チームテント前でのワンショット
全日本モトクロス選手権最終戦(第7戦)スポーツランドSUGO(11月12日〜13日)に今年もお邪魔してきました。モトクロス界の重鎮、佐藤敏光カメラマンにご挨拶して、いざ観戦スタート。IA2クラスは、ヤマハファクトリーチームが日本のモトクロス界の底上げを狙ってオーストラリアから招集したジェイ・ウイルソンが11連勝を挙げてすでにタイトルを決め、IA1クラスも同じくヤマハファクトリーチーム富田俊樹が第6戦埼玉(10月29日〜30日)で悲願のチャンピオンを獲得。最終戦一番の見どころは、タイトル争いの行方が今回で決するレディースクラスだと教えてもらいました。
第6戦を終えてランキングトップは久保まな(ホンダ)で128ポイント(P)。次いで12P差で本田七海(ヤマハ)、14P差の同点で小野彩葉(ホンダ)、川井麻央(ホンダ)が3位に並んでいます。
第6戦を終えてランキングトップは久保まな(ホンダ)で128ポイント(P)。次いで12P差で本田七海(ヤマハ)、14P差の同点で小野彩葉(ホンダ)、川井麻央(ホンダ)が3位に並んでいます。

レディースと言えど、上位ライダーたちジャンプの迫力は男顔負け
迎えた決勝レース、スタート直後の第1コーナーで本田が転倒するも、再スタート後に最終尾から驚異的な追い上げを見せ、ポジションを上げていきます。3周目、その時点で首位の川井が約4秒にリードを広げ、久保は2番手に付けていましたが、4周目の最終コーナーでエンストを喫し、5番手へとポジションを下げてしまいます。結果、川井が逃げ切り優勝、2位に小野、3位に本田が食い込み、4位に箕浦未夢(ヤマハ)、久保は5位でチェッカーを受けました。
このレース結果を受け、川井と久保がポイント数で並びました。優勝回数も同じ2回、ただ2位入賞回数で久保が上回り、この差で年間チャンピオンが決する劇的な幕切れとなりました。
このレース結果を受け、川井と久保がポイント数で並びました。優勝回数も同じ2回、ただ2位入賞回数で久保が上回り、この差で年間チャンピオンが決する劇的な幕切れとなりました。

チャンピオンは逃したと泣きながら5位でチェッカー
最終戦を観た佐藤さんは「本田は転倒しなければ優勝できただろうと思える走りだったし、小野がもし優勝していたら、久保はチャンピオンを逃している。結果的に、川井が優勝したことで久保にチャンピオンが転がり込んできた。久保自身も、序盤にスリップダウンでギアペダルが曲がってしまい、ペースが上がらず何とか5位でゴールできたレースで、この時点ではチャンピオンを獲得したとは思っていなかったと思います。ゴール後に、スタートゲート付近で、チームメイトのIA2クラス鈴村英喜(すずむら・えいき)とチーム『マウンテンライダース』のメカニック小幡さん(通称バタやん)らがやさしくチャンピオン決定を伝えるシーンは、心に残るとても微笑ましいシーンでした。こみ上げるものを抑えながら表彰式に向かう彼女の表情を、私は撮り続けておりました」と教えてくれました。
タイトルを獲得した久保は「2周目くらいからギアチェンジがうまくいかず、気を取られてエンストのミス。その後も(ギアチェンジの不調の)原因か何か分からなかったので、エンジンが壊れるかも、クラッシュするかも、という不安を抱えながら、それでも最終戦を走り切ろうと思いました。5位以下だと逆転されると思い込んでいたので、最後の1周は泣きながら走っていました」と言います。念願のタイトルを獲得したチャンピオン表彰式で、久保は涙ながらに両親(父真一郎、母幸子)とチーム「TEAM HAMMER」に感謝の言葉を述べると盛大な拍手と声援が沸き上がりました。
タイトルを獲得した久保は「2周目くらいからギアチェンジがうまくいかず、気を取られてエンストのミス。その後も(ギアチェンジの不調の)原因か何か分からなかったので、エンジンが壊れるかも、クラッシュするかも、という不安を抱えながら、それでも最終戦を走り切ろうと思いました。5位以下だと逆転されると思い込んでいたので、最後の1周は泣きながら走っていました」と言います。念願のタイトルを獲得したチャンピオン表彰式で、久保は涙ながらに両親(父真一郎、母幸子)とチーム「TEAM HAMMER」に感謝の言葉を述べると盛大な拍手と声援が沸き上がりました。

チームメイトやメカニックがチャンピオンになったことを伝えているシーン
久保は、4歳からアウトドアスポーツの延長としてモトクロスに乗り始め、そこから20年のキャリアを積み、日本一の栄冠を掴みました。モトクロスだけの人生は嫌だと、高校受験、大学受験(関西大学卒)、就活も経験し、現在は会社員としての生活とモトクロスを両立させています。
「私なら両立できると選んだんですが、いざ会社員の生活も始まると、ダイエットしていないのに7キロもやせたんです。やっぱりきついけど、でもモトクロスが好きだし、面白いし、最高に楽しいです。ここ3〜4年は成績が残らず辛かったけど、努力が実り、結果が残せた。わがままを許してくれた両親に少しは親孝行ができたかなと思います。たくさんの人に支えられてここまでやってくることができたので、感謝しかありません。ここが私が私らしくいられる場所だと思っているので、これからも頑張りたいと思っています」
「私なら両立できると選んだんですが、いざ会社員の生活も始まると、ダイエットしていないのに7キロもやせたんです。やっぱりきついけど、でもモトクロスが好きだし、面白いし、最高に楽しいです。ここ3〜4年は成績が残らず辛かったけど、努力が実り、結果が残せた。わがままを許してくれた両親に少しは親孝行ができたかなと思います。たくさんの人に支えられてここまでやってくることができたので、感謝しかありません。ここが私が私らしくいられる場所だと思っているので、これからも頑張りたいと思っています」

信じられない!という表情で表彰台に向かう
モトクロス用バイクから降ると、サラサラのロングヘア―にキリリと美しい顔立ちで、ネイルも美しく、泥にまみれた激しいスポーツをするようには見えません。今はモトクロス以外でも挑戦することを見つけ、頑張っているとのこと。それが何かは教えてくれなかったけど、彼女ならやり遂げてしまうのだなと思います。タイトル獲得に輝く久保選手の笑顔と涙を見て、心がジーンと熱くなった1日でした。

(写真上)突然にこみ上げてくる感情/(下)皆がおめでとうと声をかけてくれるも、真っ白!