2023年モトGP第14戦日本GPMotoGPクラス決勝が10月1日、栃木県モビリティリゾートもてぎで行われ、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)は日本GPにあわせたスペシャルヘルメットで走り、18番手スタートから11位まで順位を上げてフィニッシュ、ポイントを獲得しました。
 中上は「マシンバランス」と「リアのグリップ不足」に悩みながらの走行で、この課題は日本GPに限ったことではないようですが、中上は「リスクを負ってでも後方グリッドから一気に順位を上げる、というのはレース前から自分で決めていたことで、それができたのは自分自身にとってもポイントの高い部分でした。ギリギリの中でもいい走りができたと思います」と、日本GPの戦いを終えました。
 日本人唯一のモトGPライダーとして参戦を続けている中上は、4歳からポケバイに乗り始め、レースキャリアをスタートします。日本GP前に、自身が育った千葉県・千葉北サーキットを訪問しました。「レースを始めた原点である千葉北ポケバイコースにお邪魔し、サプライズゲストとしてお招きいただきました。初心者コースの講習で教える難しさを感じましたが、あっという間にバイクに乗れるようになってくれて嬉しくなりました」と、キッズライダーたちを励ましました。

 さらに中上は、日本GPに8名のキッズライダーを招待(※うち一人は熱が出て欠席)。千葉北の看板娘で、自らもライダーとして活躍、今季はアジアロードレース選手権に参戦している石井千優が子どもたちの引率役です。

 「本当は、千葉北を走るポケバイライダーみんなを連れて来たかったんですが、招待できるのは8名ということで、中上選手に選んでもらいました」
 選ばれた幸運なキッズたちは、土曜日のピットウォーク前に中上のチームピット裏パドックに集合。そこからピット裏のスタッフ以外立ち入り禁止の場所に進み、行儀よく待っていると、アレックス・リンス(ケガのため欠場)が通りかかり、子どもたちに声をかけてくれ、サインをしてくれました。子どもたちは「うわぁ〜」という感じで、驚きながらも、サインをもらって大喜び。その後、モトGPマシンが並ぶピットを通過して前に出ると、やっと中上と合流、そのまま記念撮影。「すごい〜、すごい〜」と感激で胸がいっぱいの様子でした。そして、決勝日のウォームアップラン前にも時間を作ってくれると約束し、ピットを後にしました。

 モトGPライダーはレーススケジュールもタイトで、その間にスタッフとのミィーティング、メディア対応、他にもスタンド裏でのトークショーやらイベント参加に大忙し。その合間を縫って子どもたちに対応してくれた中上に、子どもたちは「ありがとうございます」と大きな声で元気にお礼を言っていました。憧れの世界GPの空気に触れられた中上との時間は、子どもたちの夢を大きく膨らませてくれたように思います。
 中上はレース後、「トップ10内には届かなかったですが、インドGP、日本GPと調子が上向いていると感じているので、次のインドネシアはコースの攻略とセットアップのスピードを上げて、ベストの走りがしたい」と気合を込めていました。ここからまだ6戦も戦いが続くモトGP。中上に招待されたキッズたちは、これまで以上に中上を応援するはず。その声援を励みに、自身が納得する走りができることを願っています。