赤松孝撮影
赤松孝撮影
 全日本ロードレース選手権JGP3に参戦する桐石瑠加(P.MU 7C GALESPEED ChallengeFox)は、ポイント獲得者しか出場できない最終戦鈴鹿・MFJグランプリ(10月14日〜15日)への参戦を目標に今シーズンを走り出し、開幕戦もてぎ(4月1日〜2日)からポイントをゲット、第7戦岡山国際(9月23日〜24日)では9位入賞とシングルフィニッシュまで果たし、念願の鈴鹿最終戦への参戦権を獲得した。迎えた最終戦では、緊張と気合いが空回りして20位に終わったが、ランキング16位と急成長を見せてシーズンを戦い抜いた。

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 −開幕前はどんなシーズンにしたいと思っていましたか?

 桐石瑠加「大阪府出身で鈴鹿がホームコースなので、最終戦鈴鹿に参戦することは大きな目標でした。最終戦はポイント獲得者が参戦できる権利を得るというルールがあります。全日本参戦1年目の2021年、第6戦岡山国際(2021年9月4日〜5日)で15位に入って1ポイント獲得でき、最終戦MFJグランプリに参戦しましたが、この年はオートポリスでの開催で、このレースで大腿骨骨折の怪我を負ってしまいました。2022年に復帰しましたが、ポイントを取ることができず、最終戦鈴鹿には参戦できせんでした。フル参戦の約束でスポンサーさんやファンの方に応援してもらっているので、出られないというのが申し訳なくて、悔しくて…。だから、今年こそしっかりとポイントを取って最終戦に出場したいと思っていました」

 −激戦区のJGP3はポイントを獲得するのも大変なクラスです。

 「1秒の間に10台が入るような接戦が繰り広げられているので、たしかに簡単なことではないです。だからこそ、しっかりとレースに挑んでいこうと思っていました」
 −開幕戦もてぎで14位に入り、初戦から2ポイント獲得。目標をクリアしました。

 「今年こそと気合が入り過ぎて、もてぎの事前テストで転倒しているんです。でも、その転倒があって、吹っ切れた気がします。昨シーズンは大腿骨骨折の影響で大きなボルトが入ったままでしたが、それが取れて、今年は思い切り走れる、攻めていけるかなと思えました。決勝でも落ち着いて走ることができて、後半でも疲れずにペースが維持できていたのは体力トレーニングに取り組んでいた成果だと感じました。昨年は1ポイントもとれなかったので、チームスタッフが大喜びしてくれて、とても嬉しかったです」

 −その後、第3戦SUGO(5月20日〜21日)は13位、第3戦筑波(6月18日)ではノーポイントになりますが、第6戦オートポリス(9月2日〜3日)は14位と、確実にポイント圏内を走り、第7戦岡山国際では9位となります。

 「岡山国際は地方選で走ったことがあって、鈴鹿同様、ホームのような感覚で、たくさんの方が応援に駆けつけてくれました。タイムもトップ10付近で走れるようになり、シングルフィニッシュできたら、というところまで目標が上がっていました。事前テストでは転倒してしまいましたが、レースウィークの練習走行からタイムアップでき、決勝までの流れが良かったです。決勝での走りをレースウィーク序盤からできるようになることが自分の課題で、それができればもう一つ上のバトルに加われると言われていました。ただそれが難しく、なかなかできなかったのですが、岡山では流れを掴んで9位に入れました。思い描いていたレースができた充実感と言うか、達成感を感じました」

 −チームスタッフがとても喜んでいました。

 「同じクラスを戦うチームの尾野弘樹さんが、岡山国際まで4連勝していました。ですが、転倒してしまい、いつも表彰台にいっているスタッフが揃ってピットで出迎えてくれました。他のチームスタッフもピットロードに出て祝福してくれました。『あれ、私、優勝したのかな』と思うくらいの盛り上がりで、驚くくらいに皆が喜んでくれ、一番印象に残るレースになりました」

 −念願の最終戦鈴鹿。実際に走ってみて、いかがでしたか?

 「レースウィークに入る前から緊張していて、岡山国際以上の結果を残したいと気合も入っていました。念願の鈴鹿MFJグランプリに参戦できた感動もあり、いろいろな感情が溢れて、楽しもうと思っていたのにガチガチになってしまい、上手く噛み合わず、悔しい結果に終わってしまいました。でも、念願の最終戦のグリッドに着いて、最後まで走る姿を見せることができたので…。残念でしたが、良かったなと思っています」
 −年々、瑠加ファンが増えていて、ピットウォークの行列が毎戦ごとに伸びている印象です。

 「本当にありがたくて…。『全戦応援する』と言って、本当に来てくれたファンの方もいました。男性ファンが多かったのですが、今年はヒョウドウプロダクツさんのウェアのモデルもさせてもらったことで、女性から声をかけてもらうことも増えました。チーム監督の坂井さんから『桐石が来るまで、ピットウォークにこんなに人が来ることはなかった』と言われました。たくさんの方の声援が嬉しかったです」

 −たしかに所属チームの「7C」は、全日本のチャンピオンを輩出してきた実績あるチームで、硬派で敷居高く近寄りがたいイメージもありましたが、桐石選手のおかげで変わってきましたね。

 「チーム初参加の頃は、私がこのチームにいてもいいのかな、ちょっと場違いなところに来てしまったのかなと思っていましたが、それでも『瑠加は楽しんでレースしたら良いよ』とチームの皆さんが見守ってくれたので、レースに真剣に取り組め、それがチームにも伝わって、ガチでサポートしてくれるようになりました。チームに支えられたおかげでレベルアップできたと思っています。今では家族のようです」

 −今年は特に成長著しいシーズンでしたね。

 「ありがとうございます。順調に見えていたかもしれませんが、内情はハラハラドキドキで、なかなかタイムが更新できなかったレースの方が多いです。でも、毎戦目標を掲げて、それをクリアすることで自信になりました。課題をクリアするのに時間のかかるタイプで、全日本3年目ですが、さまざまなことを経験させてもらえたことで、トラブルにも冷静に対処できるようになり、理想と現実の幅を詰めることが少しはできたように思います。応援して支えてくれた、全ての人に感謝しかないです」

 −来シーズンは?

 「まだオフに入ったばかりなので、これからチームと相談します」

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 ◆桐石瑠加(きりいし るか)
 1997年7月20日生まれ。大阪府出身。初バイクは小学5年生・2013年鈴鹿4時間耐久ロードレース参戦。2018年尾野弘樹のTeamHIROとジョイントして鈴鹿サンデーロードレースデビュー。2020年岡山国際ロードレースナショナルJGP3チャンピオン。鈴鹿サンデーロードレースナショナルJGP3ランキング3位。2021年全日本JGP3ランキング25位。2022年同クラス参戦。2023年同クラスランキング16位。普段は実家の株式会社チャレンジフォックス(大阪府河内長野市三日市町136−1)で整備士として働いている。