中野真矢と芹沢太麻樹。ともにケツの皮が剥けるほどたっぷりと走ったのでありました。
中野真矢と芹沢太麻樹。ともにケツの皮が剥けるほどたっぷりと走ったのでありました。
 熱帯の国マレーシアで、今季2回目のセパン・モトGP合同テストが行なわれました。1月の合同テストは、3日間を通して一度も雨が降らず。今週の合同テストもスコールの来る気配もなく、連日の猛暑となりました。しかし、前回のテスト時と決定的に違うのは、今週の暑さは、熱帯特有の湿っぽさがなく、湿度のないカリカリっとした暑さだったことですね。そのせいで、今年になってすでに顔の皮が2枚剥けている飛び魚ですが、早くも3枚目から4枚目に突入しようとしています。

 今回のテストは、ホンダ3台(N・ヘイデン、中野真矢、A・デ・アンジェリス)、ヤマハ2台(V・ロッシ、J・ロレンゾ)、ヤマハテストチーム(吉川和多留、藤原儀彦)、カワサキのテストチーム(O・ジャック、芹沢太麻樹)。これに、全日本JSBのホンダライダー(亀谷長純、手島雄介、徳留和樹)という面々で行なわれました。

 こうして、海外テストに来て一番の楽しみは、ライダーたちと食事に行って、あんなこと、こんなことで盛り上がる時間なのですね。今回も初日は、真矢、和多留ちゃん、藤原ノリダーと中華を食べに行きました。熱帯の国マレーシアの定番の話題は、なんたって、コースサイドに潜む、コブラやトカゲなのであります。

 今回も、「どう? 出た?見た?」という話になったのですが、この日の出没報告はありません。あまりにもカリカリした暑さなので、動物たちも日陰でノンビリしているのではないか、と笑っていたのですが、そこから話題は、オーストラリア・フィリップアイランドのカモメたちの話になり、和多留ちゃんとノリダーに、実に面白い(興味深い)話を聞いたのであります。

 和多留ちゃんが、「オレたちのテストって、藤原さんと二人だけで走ることが多いじゃないですか。台数が多いときは、カモメもあまりコースに降りてこないのだけど、2台だけで走っているときは、すぐにコースに降りてくる。ほんで、もう、そこら中でカモメとぶつかるんですけどね。あれって、めちゃめちゃ危ないし、腕とかに当たると青あざになるくらい痛い。それに、バシッと当たるとカモメも死んじゃうじゃないですか。その死んじゃったカモメの近くに、家族なのか子供なのかなあ・・・しばらく、側を離れないカモメがいるんですよね。それを見ると、あああ・・・って思いますよね」と、語っていたことでした。それを聞いた子煩悩なノリダーも、「そうそう、何周か、側から離れないよね。可愛そうな気持ちになるよね」と相槌を打っていました。

 2日目は、真矢と太麻樹とご飯に行きました。太麻樹は、いまさら説明するまでもなく、唯一、モトクロスとロードレースで日本のトップカテゴリーに参加したライダーなのですね。「それって、すごいですよね」と、真矢。この二人、カワサキ時代に仲良くなったわけではなく、ともに全日本を戦っていたときから仲良しだったようです。

 太麻樹とこうしてじっくり長時間話すのは久しぶりだったのですが、「僕、モトクロスからロードに転向したとき、哲也(原田哲也)君しか知り合いがいなかったんですね。そこで、哲也君に、ねぇねぇ、筑波の最終コーナーってどこでブレーキ掛けるの? って聞いたんですよ。すると哲也君が、ああ、最終コーナーは50メートルっていうから、オレ、初めてTZ250に乗って、そのまま50メートルでブレーキ掛けたら、そのまま転んでクラッシュパッドに刺さりました。哲也君って、オレがロードに乗るの初めてとかそういうの気にしないからなあ・・・それをそのまま信じてしまうオレもどうかしているけれど・・・」と、昔話に花が咲いたのでありました。

 そんな話をしているときに、モトGPテストから引き続き行なわれる全日本ロードのダンロップテストに参加する清成龍一がホテル到着。清成を見た太麻樹が、「うちの親父と龍一の親父さんって、仲がいいんですよね。オレ、プロになったころ、龍一、まだ子供で、オレ、龍一にお年玉挙げたことあるんだよね。ほんで、オレがモリワキでモトGPに乗っているときに、ワイルドカードで出たレースで、予選でも決勝でも龍一がオレの前にいて、スタートしてしばらくしたら龍一が見えなくなって・・・。そんときに、オレ、お年玉挙げたのになあって思ったもの・・・」と、35歳の太麻樹は大笑いしていたのでした。

 そんなこんなで毎日盛り上がっているモトGP合同テストの夜・・・。セパン〜フィリップアイランド〜セパンと3週連続。全日程9日間をこなしたのは、ホンダ・グレッシーニの真矢とアンジェリスだけでした。「もう、疲れました・・・」という真矢。「今回は、フィリップの2日目の午前中がウェットになっただけ。それ以外はすべて、こんな(ピーカン)天気。もしかすると、こんなに走ったのは初めてかも知れない。あんまりにも走りすぎて、お尻の皮が剥けちゃいましたからね」。今年からツナギのメーカーが変り、「パットの位置が変っていたりするので、そのせいかも・・・バイクやタイヤだけじゃなく、ツナギもヘルメットも、本当にいいテストになりました」と、真矢は笑っていたのでした。

 それを聞いていた飛び魚は、しみじみと、思いましたね。「オレなんぞ、顔の皮が2枚目だった時間なんてほんのちょっとだけ。3枚目の命も短く・・・すでに4枚目。それに引き換え、真矢みたいにカッコイイライダーは、ケツの皮が剥けても・・・」。やっぱり、2枚目なんだなあと、熱帯の国マレーシアで思ったのでありました。