第33回
 お出かけ日和だった先週の土曜日。お台場のメガウェブで「親子モータースポーツ体験」に参加した。僕がお手伝いさせてもらったのは、ヴィッツ・レースのトップ・ドライバーとのトークショーとヴィッツ・レース車両の同乗体験。たくさんのお客さんと楽しい時間を過ごすことができた。

 ファミリー向けの同乗走行イベントとはいえ、僕らの仕事はお客さんに非日常体験をしてもらうこと。許される限りのプッシュをして、ちょっとサービスもしてスリリングなクルマの挙動を引き出したりする。

 今回、ヴィッツ・レース関東シリーズで2年連続王者の松原亮二選手と一緒だったので、彼よりは速く走らなきゃと思ってプッシュ。しっかりサービスしてきました。

 面白いのは、同乗走行を終えたお客さんが必ず笑顔だということ。緊張気味にクルマに乗り込んでシートベルトを締めるのだが、縦に横に揺られてフラフラになりながらも、終わると笑顔というわけ。

 特に今回は「親子で楽しむ」が趣旨で、後部座席も使っての同乗走行。さらにチャイルドシートも使って、子どもたちにも体験してもらえた。同乗走行はいろいろと疲れるが、親子やカップルが「すごかった!」と笑顔で話しながらクルマを降りていく様子に、僕も笑顔になった。

 ところで、今回思ったのだが、ヴィッツ・レースのトップ・クラスの選手たちは本当に優秀。イベントでお客さんに楽しんでもらえる技量を持っているのはもちろん、自分を高めるための意識がとても高い。

 2年連続王者の松原選手は、惰性にならないよう自分の体を絞ったという。今年、ランキング2位だった女性ドライバーの小山昌子選手は、松原選手に勝つためにドライビング・スタイルを見直した。

 ヴィッツ・レースは参加型レースとはいえ、そのレベルは想像以上に高い。ちなみに、小山選手はカート時代に小林可夢偉選手を後ろに従えたことも! 彼女のことは以前から知ってはいたが、あらためてそのすごさに恐れ入った。

 何も幼少期からカートをやってF1を目指すだけがモータースポーツではない。ナンバー付き車両レースからレースを始めて、そこからS耐やスーパーGTにステップアップするのもありだと思う。今回、一緒に同乗走行をやった松原選手や小山選手は、その可能性がある選手だろう。

 もちろん、ステップアップしないまでも、レースを全力で闘った後の爽快(そうかい)感は何物にも代えがたく、レースをすること自体が楽しい。そういうホビー・ドライバーに、モータースポーツのすそ野は支えられている。そして、うれしいことにヴィッツ・レースの門戸は、僕らおじさん世代にも開かれている。(レーシングドライバー&冒険家)