第111回
 今年のGWは空模様が安定せず、晴れていても急に雨雲が広がってパラパラと降り出したり、気温も変化が激しく暑かったり寒かったり。竜巻も発生して、大きな被害が出た。

 その連休の後半、5月4日に開催されたスーパーGT第2戦(富士スピードウェイ)も、雨が降ったりやんだりのスパウエザーのようなレースだった。僕の持論のひとつだが、コンディション変化が激しい時のレースは、チームの決断力やドライバーの勝利への執念が結果に表れる。つまり迷いが無いことが重要。迷いが無ければ、波乱を含む運さえも味方になってくれる。結果はご存じのように、0号車が今季初優勝を飾り、ドライバーとチームの両ランキングでトップにたった。4号車も最後尾スタートから11位完走。タラレバだが、500クラスとの接触が無ければ4号車も表彰台に上れただろう。

 今回のレースはタイヤチョイスの的確な判断と、そのタイヤ性能を極限まで引き出したドライバーの頑張りが大きかった。0号車はスタート直後の雨で浅溝にチェンジした後、雨が上がってもそのままステイして13周まで引っ張ったのが大成功。本来なら早くスリックにしたいところだが、谷口がタイヤマネジメントをしっかりやってくれたおかげで、3位まで順位を上げて片岡にバトンをつなげることができた。4号車は逆に雨が降り出してもスリックのまま走り続け、他車がピットインする間に7番手までジャンプアップ。2台ともに有利なポジションを序盤で築くことができた。先手必勝とはこのことで、序盤から高い集中力で有利なポジションを作ることが、勝つための条件だ。

 不運だったのは、2台ともに500クラスのマシンに接触されてスピンを喫したこと。どっちが悪いとかはさておき、接触後もドライバーが集中力を切らさなかったのは称賛に値する。とくに、追い上げ途中の接触による後退はガッカリするのが普通。それなのに、谷口も番場も逆に集中力を高めて、もう一度挽回をはかった。さらに終盤は再び雨。ドライバーに全幅の信頼を置いている僕らは、そのままスリックで行くことを選択。ドライバーはその期待に応えて、スリックのまま難しいコンディションを乗り切った。さすが両名ともに去年のチャンピオン。勝利への執念、王者の誇りを感じた。また、チームも天候の変化に翻弄(ほんろう)されず、無駄な動きが一切無かった。総じてチャンピオンチームのレースだったと思う。

 レース後、他チームのドライバーが「ストレート速いですね」と僕に言ってきた。実際はストレートの最高速度はビリ。コーナリング中と立ち上がりの速度で僕らは勝負していた。この事実こそ、僕らがタイヤ性能を最大限引き出していた証しだ。(Team UKYO代表)