バドエル、トップタイムも2日連続クラッシュ
ヘレス合同テスト第2日
いきなりのオイルフィルタートラブルに見舞われたビルヌーブ。が、終始ご機嫌。62ラップを生き生きと周回した(カメラ=G・キャンベル)
いきなりのオイルフィルタートラブルに見舞われたビルヌーブ。が、終始ご機嫌。62ラップを生き生きと周回した(カメラ=G・キャンベル)
 【ヘレス(スペイン)ニキ・タケダ】ヘレス合同テストは8日、当地で第2日を行い、BMWザウバーに残留が発表されたばかりのJ・ビルヌーブがオフテストに登場。初めてV8エンジン車をドライブした。トラブル発生でタイムは伸びなかったが、一時はシートが危ないといわれただけに、まさに水を得た魚、サーキットに戻ってこられた喜びで終始上機嫌だった。トップタイムはフェラーリのL・バドエルがマークした。

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 初日に続き、この日もテスト日和。BMWを加えた9チームが精力的に走り込みを行った。なかでも注目はビルヌーブ。先週残留が発表されたばかりで、自身もヘレスで走るとは思っていなかったのか、髪の毛はまるでヒッピーのよう。

 「今年は僕より髪の多いエンジニアと一緒に仕事をした。これは負けられないと思って伸ばしたのさ」と終始笑顔のビルヌーブ。「チームに残れることについては別に疑っていなかった。僕よりマスコミのほうが心配してたんじゃないか。皆にあれこれ言われるのは慣れているので、気にしていなかったよ」

 97年にワールドチャンピオンを取ったビルヌーブも、最近はめっきり影が薄くなっていた。ウィリアムズを追われて99年からBAR(00年からエンジンはホンダ)に乗ってきたが、その5年間で表彰台に立ったのはわずかに3位が2回。03年にはD・リチャーズ代表(当時)との確執から休養生活に入り、04年の終盤にルノーで復帰。05年にはザウバーに拾われてレギュラーとして戦ったが、特筆できるほどのレースもなく、シーズンを終えた。高い年俸に見合わない成績にP・ザウバー代表(当時)が激怒してシーズン中の交代がささやかれていただけに、ビルヌーブのチーム(新生BMW)残留は周囲にとっては驚きのニュースでもあった。

 そんな思惑も意に介さず、ビルヌーブはテスト開始。だが、最初のラップでオイルフィルターのトラブルでストップ。いきなりエンジン交換になってしまった。それでも修理されたマシンで62周をこなし、久々の走行に満足そう。

 「V8のクルマは思ったより悪くない。ストレートは遅いが、コーナーのスピードは(V10と)同じかちょっと速いくらいだ。だから前のクルマのスリップ(ストリーム)に入りやすく、追い越しができるんじゃないかな。思っていたより楽しいんで、びっくりしたよ」。珍しくはつらつとした“ジャック”がそこにいた。

 〇…お昼近くになってフェラーリのL・バドエルが前日と同じ最終コーナーでクラッシュした。前日と違って、ブレーキングしないまま縁石に乗り上がり、そのままスピンして減速しないままタイヤバリアに突っ込んでしまった。フロントは大破し、バドエルはかろうじて自力ではい出したものの、そのまま座り込んでしまいメディカルセンターへ。事故の原因は前日と同じくフロントサスのウィッシュボーンにあるらしい。

 〇…トヨタは、今季インディカーを戦っていたR・ブリスコーが久々にF1をドライブ。レース中の事故でけがを負ったとは思えない走りを見せ、好調さをアピールした。「今はアメリカでレースしているが、いずれはF1で走りたいと思っている。またトヨタがテストに呼んでくれないかな。すごく楽しかった」と笑顔を見せていた。
 
 〇…R・シューマッハーが背中の痛みを覚えたため、急きょ招集されたトヨタのJ・トゥルーリは不機嫌そのもので走りもパッとしなかったが、今年限りでサーキットから退く高橋敬三氏は余裕十分だ。「バルセロナでブロー、昨日もブローしましたが、いまは信頼性のチェックのため攻め込んでいる証拠。データはしっかりとっています。ブリヂストン(BS)タイヤも思ったよりマッチしており、ドライビングしやすい、ナーバスではないというドライバーの反応もうれしいですね」と目を細めていた。

 〇…V8勢ではトップタイムを出したJ・バトン(ホンダ)だが、この日の主眼はタイヤのコンパウンド。テストドライバーのJ・ロシターは車両のセットアップ中心のテストになった。だが、バトンは午後4時すぎにエンジンブローを喫して終了、ロシターもピット出口でストップしてしまった。だが中本修平EDは「今はかなりエンジンを回しているんですよ。ちょっと攻めすぎている感じもある。でもまあ、一応データはとれています」ときっぱり。

 〇…ミッドランド(MF1)はV10にJ・ファン・ホーイドンク、V8にT・モンテイロを乗せた。スポンサーが降りてしまってN・パストレリが走れなくなってしまい、ホーイドンクが第3ドライバーの候補に浮上したのだ。ミッドランドには今回、V8と回転数を制限したV10を同時に走らせてどちらが有利か国際自動車連盟(FIA)にデータを提出するという重要な使命がある。V10を使用するトロロッソがかなり有利になるという予測があるため、他エンジンメーカーが回転数を16700から15000rpmまで下げ、エアインテークの直径を50mmにとする要求を出している。

 〇…ルノーはこの日でテスト終了。F・モンタニがブレーキテストとセットアップの煮詰め、H・コバライネンがコンパウンドテストを担当した。時折V10エンジンのうち2つのシリンダーの点火をカットした“暫定V8車”にして走らせたため、しょっちゅう音が変わっていた2台だったが、かなりのデータを得たようす。「エンジンのパワーのなさにはびっくり。シリンダーが2つなくなるとこうも違うんだね。ともあれ、この冬はびっしりテストが詰まっているので楽しみ」とコバライネンは意欲満々だった。
        <ヘレス合同テスト第2日>
 順 ドライバー(チーム)           タイム      周 
 1 L・バドエル(フェラーリ)※     1分18秒237  13
 2 J・バトン(ホンダ)         1分19秒094  71
 3 H・コバライネン(ルノー)※     1分19秒287 110
 4 F・モンタニ(ルノー)※       1分19秒483 104
 5 R・ブリスコー(トヨタ)       1分19秒563  65
 6 J・トゥルーリ(トヨタ)       1分19秒935  59
 7 M・ウェーバー(ウィリアムズ)    1分20秒343  44
 8 N・ロズベルグ(ウィリアムズ)    1分20秒464  25
 9 G・パフェット(マクラーレン)    1分20秒484  69
10 J・ロシター(ホンダ)        1分20秒603  66 
11 D・クルサード(レッドブル)*    1分20秒854  47
12 A・ブルツ(マクラーレン)      1分20秒895  29
13 C・クリエン(レッドブル)*     1分21秒008  10
14 M・ジェネ(フェラーリ)       1分21秒122  13
15 J・ファン・ホーイドンク(MF1)※ 1分21秒625  70
16 J・ビルヌーブ(BMWザウバー)   1分21秒684  62
17 T・モンテイロ(MF1)       1分24秒367  23

 ※=V10エンジン、他はV8エンジン搭載。*=V8、V10エンジン搭載