王者のすべて吸収する覚悟
将来へ向けベストの選択
F・ブリアトーレ監督とともに勢ぞろいした08年ルノーのドライバー陣。後列左からN・ピケJr、ブリアトーレ監督、F・アロンソ、中列左からR・グロジャン、山本左近、L・ディ・グラッシ、手前は育成ドライバーのB・ヘンリー(チーム提供)
F・ブリアトーレ監督とともに勢ぞろいした08年ルノーのドライバー陣。後列左からN・ピケJr、ブリアトーレ監督、F・アロンソ、中列左からR・グロジャン、山本左近、L・ディ・グラッシ、手前は育成ドライバーのB・ヘンリー(チーム提供)
 ルノーF1チームは4日、前スパイカーの山本左近(25)をテスト開発ドライバーに起用したと発表した。同日、東京中日スポーツの電話取材に応えた同選手は、さまざまな選択肢のなかで最も実り多い契約になったことを強調。2005、06年にドライバーズ&コンストラクターズのWタイトルを連覇したトップ・チームの車両開発を通じて経験を積み、09年シーズンの正ドライバー復帰を目指す覚悟をにじませた。

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 去就がなかなか決まらなかった左近だが、水面下では活発に活動し、最終的にはトップ・チームの開発ドライバーというポジションを得た。「スパイカーのレース・ドライバーから始まって、いろんなチームと話し合いをしました。ここに至るまで相当な紆余(うよ)曲折はありましたが、ルノーというトップ・チームでディベロップメント(開発)ドライバーというものが、自分に一番プラスになると思いました」ときっぱり。裏方ながらチャンピオンを争うルノーに加わることが、今後の糧になると判断したようだ。

 仕事はテスト会場でマシン開発を行うことが中心となり、世界各国で行われるチームのプロモーション活動のサポートも含まれる地味なもの。が、06年がスーパーアグリ、07年はスパイカーに所属したものの、ともに途中参戦で計14GPしか経験していない左近にとれば、上位を争うマシンに乗り込むこの1年間で得られるものは計り知れない。

 「チャンピオンを経験しているチームですからね。これまで乗ってきたマシンとはすべてが違うはず。それにチームがどんな仕事の進め方をするのかも興味があります」と左近。3年目にして初めて体験するトップ・チームで、F1のイロハを吸収するつもり。さらに「アロンソも一緒ですからね。基本的にGP会場にも帯同するので、間近でいろいろと勉強したい」と、F1界を代表する元王者のすべてを観察する覚悟だ。

 「まだ初仕事は決まっていませんが、今月中には渡欧して準備をするつもりです。とにかくこの1年は、いろいろと身につけながらも来年に向けてアピールしたい」

 3年目も開幕戦のグリッドには並ぶことができなかったが、左近の言葉は力強い。この“修行”が将来の武器になると信じ切っている。(田村尚之)