多方面で交渉中〜課題山積みにも「どうにかなるレベル」
予定通り19日に体制発表
不安説を吹き飛ばし、3年目のシーズンの抱負を熱く語ったスーパーアグリの亜久里代表=東京・港区で(カメラ=田村尚之)
不安説を吹き飛ばし、3年目のシーズンの抱負を熱く語ったスーパーアグリの亜久里代表=東京・港区で(カメラ=田村尚之)
 資金難が伝えられていたスーパーアグリF1チームの鈴木亜久里代表(47)が8日、久々に公の場に姿を現し、危機説を一蹴(いっしゅう)、3年目シーズンへの抱負を熱く語った。都内で行われた「シャンパーニュG・H・マム」のイベントに出席した同代表は、今年のオフ・シーズンの合同テストに唯一参加できない苦境を認めながらも、体制発表会を19日にスペイン・バルセロナで予定通り実施すると明言。チームのビジネス・パートナー候補の数社と交渉中とも語り、心配する事態ではないことを強調した。

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 F1のシャンパン・ファイトで使われる“マム・シャンパン”のイベントに出席した亜久里代表は、終始穏やかな笑みを浮かべていた。「順調? そんなことはないよ。何とかしなければならないことはたくさんあるもの。でも、すべてどうにかなるレベル。大丈夫!」と、欧州を中心に渦巻いている参戦ピンチの声をあっさりと否定した。

 06年の参戦初年度から付きまとわれてきた運営資金の問題は、3年目となっても解決したわけではない。昨年から経営基盤を確かなものにするため、チーム株式の売買を含めたビジネス・パートナーを探す交渉は多方面で行っているという。

 「でも、うわさに出ているところとは契約しないと思う。話はしたけど、本当にさまざまな要素が絡んでくるからね。(シーズン開幕に向け)名前も出ていないところ数社と話し合いを進めている」。ニュースが流れたスペイン資本やインドの投資グループとの“合体”は実現しなかったようだ。

 現時点で一番の問題は他チームの車両を使って参戦するカスタマー・シャーシが認められないこと。「06年の段階で(今年から)OKだったものが、いまだに決まらない。これじゃあ話が根本的に変わってくるよ。多分、最初の数戦はコンコルド協定(F1のコマーシャルに関係する契約事が網羅されている協定)にサインしないでレースをするチームがほとんどじゃないかな」と亜久里代表。混迷するカスタマー・シャーシ問題を嘆いた。

 ただし、悲観しているわけではない。「最終的にはどこかに落ち着くでしょう。いつもそうだもの。その落としどころが誰も分からないだけなんだよ」と達観しているようす。現役時代を含め、計11年もかかわってきたF1界は知り尽くしている。あわてず騒がず、周囲の喧噪(けんそう)に惑わされることなく3年目シーズンへの準備を粛々と進めている感じだ。

 「(チームが)なくなってしまうことはないからね。大丈夫!」と締めくくった亜久里代表。18日夕には日本を発ち、カタロニア・サーキットで19日に行う体制発表会に参加するスケジュールという。ぶっつけ本番、土壇場に追い込まれた時にこそ本領を発揮する……。スーパーアグリらしい3年目のシーズンになりそうだ。(田村尚之)

 〇…今季もスーパーアグリで3年目シーズンを送ることが確実な佐藤琢磨は今月4日にマネジャーを通してメッセージを出した。「チームの財政的な問題でテストには参加できていませんが、この厳しい状況をエネルギーに換え、今季も入賞目指し頑張りたい」ときっぱり。チーム・スタッフの奮闘ぶりを知り尽くし、ホンダからのサポートの大切さをも熟知している大エースは逆境に人一倍の闘志を燃やしているようだ。

 〇…インド資本の参入に伴い、欧州メディアには、N・カーティケヤンがアグリ加入――という見出しが躍ったが、「まだ正式決定じゃないけど、基本的には昨年と一緒」と亜久里代表。佐藤琢磨&A・デビッドソンのドライバー・ラインアップは、今季も続行のようだ。

 ○…1月6日にフェラーリが新車を発表し、7日がマクラーレン、10日にトヨタなど、今年に入って3週目までに5チームが体制を発表し、今季型マシンでテストを続けている。スーパーアグリのライバルとなるフォース・インディアも7日にインドで体制発表を行い、テストでも2月1日からのスペイン・バルセロナでG・フィジケラが4番手タイムを記録するなど上々の仕上がりをみせている。スーパーアグリは昨年12月上旬にスペイン・ヘレスの合同テストに参加して以来、ここまで未参加だが、今月19日に体制発表会を行った直後のバルセロナ合同テストでの走行を予定している。

 [スーパーアグリ、2年間の歩み]
 ★06年 F1参戦表明から4カ月余りで開幕戦のグリッドに「SA05」を並べる離れ業を演じた。ただし、直前テストは開幕まで2週間と迫ったバルセロナ合同テストのみ。シーズン序盤は上位チームから1周5秒もの後れをとったが、中盤に大改良した「SA06」を投入。終盤に向けてテストにも参加し、最終戦ブラジルGPでは琢磨が他チームと互角に渡り合い10位をゲットした。

 ★07年 体制および新車「SA07」の発表会は開幕戦オーストラリアGPとなったが、オフの合同テストにはテスト専用車両を使って積極的に参加した。そのかいあって、開幕戦の予選では琢磨がQ3進出の快挙を達成。その後、琢磨が第4戦スペインGPでチーム初入賞(8位)、第6戦カナダGPではF・アロンソ(当時マクラーレン)を抜くなどの走りで6位ゲットの快進撃をみせた。