経済環境悪化が背景〜福井社長「新時代への対応」強調
本社で緊急会見
記者会見でF1撤退を表明するホンダの福井社長(共同通信)
記者会見でF1撤退を表明するホンダの福井社長(共同通信)
 ホンダがF1活動に終止符を打った。5日、東京・青山のホンダ本社で緊急記者会見を行い、F1活動からの撤退を正式に発表。福井威夫社長は「当初の目的を成果なく撤退することは本当に悔しい。ファン、エンジニアらスタッフ、ドライバーに申し訳ない」と語るとともに、世界的な経済状況の急激な後退や先行きの不透明感など取り巻くビジネス環境の悪化から撤退を決断するに至ったことを明かした。既にF1チーム及びエンジン供給をしてきたホンダ・レーシング・ディベロップメント(HRD)に対しては撤退の意向を通告。今後はチーム売却の可能性も含めて従業員と協議に入る。

 「会社として最終的に撤退を決めたのは昨日(4日)」と福井社長。それまでは09年の飛躍を期していたものの、世界的な車市場がここにきて加速度的に減退したことで方向転換を決断することを余儀なくされたという。さらにエンジン・サプライヤーとしてF1に残ることに関しては「考えていない。中途半端な形ではやりたくない」ときっぱり。「自動車産業を取り巻く環境は大きく変化している。F1に携わってきたエンジニアなど人材を有効に生かし、そうした新時代に対応していきたい」とし、原油や原材料などが高騰する中での新たな車作りを進めていく考えを強調、「この撤退の判断の是非は5年後の評価で決まるだろう」と語った。

 ホンダはこれまで2回、F1から身を引きながら復活。今回も将来が注目されるが、福井社長は「今はそれをいう段階ではない。まったくの白紙」という状況。また、チームの売却先は今のところ未定ながら、今あるエンジンで参戦できる体制も模索、「スタッフらがやりやすい形」を第1に、売却価格にはこだわらない姿勢を示している。

 さらに他のカテゴリーについてはMotoGP、インディカーの継続を示唆したものの「他はこれから詰める」と含みをもたせた。若手育成プログラムなどは継続。三重県・鈴鹿サーキットでの09年F1日本GPも予定通り行う方針だ。

 ホンダは64年からの第1期プロジェクトでF1挑戦を開始。83年からの第2期ではエンジン・サプライヤーとして黄金時代を築いた。さらに00年にはBARとタッグを組んでスタート。06年には100%ホンダのワークス・チームに移行して活動を続けてきた。しかし、第3期では06年にJ・バトンがハンガリーGPであげた1勝のみ。08年も表彰台はR・バリチェロが第9戦イギリスGPで3位に入っただけ、総獲得ポイントも14にとどまり、コンストラクターズ・ランク9位と低迷。早くから09年シーズンにシフトしたマシンの開発は上々で、来シーズンへの期待が膨らんでいた中、志半ばでの撤退となってしまった。