ポラック、リチャーズ、ジョーダンの各氏か
年内決定なら来季初頭から参戦可能
R・ブラウン代表(後列左端)を迎え、あらたなスタートを切った08年ホンダF1だったが……(カメラ=佐藤哲也)
R・ブラウン代表(後列左端)を迎え、あらたなスタートを切った08年ホンダF1だったが……(カメラ=佐藤哲也)
 ホンダから衝撃的な撤退を伝えられた「ホンダ・レーシングF1チーム(HRF1)」だが、ニック・フライCEO(52)は5日、英国BBCの取材に対し、買収の打診を複数受けていることを明らかにした。欧州の関係者の間では母体となるBARホンダの元オーナーだったクレイグ・ポラック(52)、その後に代表を務めたデビッド・リチャーズ(56)、ジョーダンの元オーナーだったエディ・ジョーダン(60)の3氏が買収に動いているといううわさでもちきりだ。

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 ホンダのF1撤退を受け、宙に浮いてしまったHRF1。売却先を模索するとしているが、新たなエンジンの供給は一切受けることがない状況に加え、急な投資を行える人物、企業は早々現れるものではない。しかしフライCEOはすでに3人からオファーを受けていることを明らかにした。

 その3人とは、BARを立ち上げたポラック氏と元BAR代表だったリチャーズ氏、そしてジョーダンGPを売却したジョーダン氏という見方が強い。ともにF1チームを切り盛りした経験を持ち、投資グループの後ろ盾を持っている。

 とりわけリチャーズ氏は既存シャシーで参戦するカスタマー・シャシーが認められる方向だった06年4月に「12番目のチーム」として、カスタマー・シャシーが解禁となる08年からの参戦を認められていた“実績”がある。その後、国際自動車連盟(FIA)が方向を転換、カスタマー・シャシーが禁止され、参戦を断念した経緯がある。HRF1という器があり、チーム買収にかかわる費用が極めて低いようなら、急な展開にも十分対応できるはずだ。

 その上、フライCEOは、リチャーズ氏が経営している世界ラリー選手権(WRC)にスバルで参戦していた「プロドライブ社」に在席していた仲。F1にかかわるきっかけを作ったのも、リチャーズ氏がBARホンダの代表を務めていた時に呼び寄せたという密接なつながりがある。

 もちろん、ポラック氏はBARの創設者。現在では投資家グループを率いているとも言われ、買収元の可能性は十分。ジョーダン氏も自ら立ち上げたチームを売却した時の資産を持っていると言われ、いまだF1界への未練を捨てきれないようす。メリットのある買収に名乗り出ても不思議ではない。

 唯一のネックとなるエンジンもフェラーリから供給を受けるといううわさがあり、ホンダが残した“遺産”はすぐに“商品”に化けそうな雰囲気だ。いずれにしろ、来季初頭からの参戦をめざすなら“こと”は急がねばならない。年内に“吉報”が届けば700人の生活は守られるはずだ。

 ○…ホンダの撤退はHRF1にとっては青天のへきれきだったはず。東京での発表の前日、ホンダからR・ブラウン代表やN・フライCEOに撤退を伝えたというが、マーケティング部門がスポンサーなどに撤退を伝えたため、正式発表より一足先に世界を駆けめぐることになった。「ブラウン、フライの反応は、残念というものだったが、厳しい経済状況を理解してくれた。チームの今後については2人がリーダーシップを取ってくれるはず」と、大島・常務執行役員が状況を説明。チームの引き取り先を模索している真っただ中であることをにおわせた。