鈴鹿スペシャル・エンジンを投入
日本GP直前会見
前戦2位の勢いを駆って鈴鹿に乗り込むグロック。その表情は自信にあふれている(カメラ=北田美和子)
前戦2位の勢いを駆って鈴鹿に乗り込むグロック。その表情は自信にあふれている(カメラ=北田美和子)
 トヨタF1チームは29日、都内でF1第15戦日本GP(10月2−4日、鈴鹿サーキット)の直前記者会見を開いた。前戦シンガポールGP(27日決勝)では日本GP用に進化させたマシンでティモ・グロック(27)が2位表彰台を獲得したが、大事な母国レースでは温存していた今年一番の出来のフレッシュエンジンも投入。さらに戦闘力を高めた自信作のスペシャルパッケージを持ち込み、悲願の初V奪取に挑む。

     ◇     ◇     ◇

 今季のトヨタは第4戦バーレーンGPでフロントローを独占するなど、開幕4戦で表彰台を3度獲得。悲願の初V達成も期待されたが、欧州ラウンドに入った第5戦スペインGP以降は勢いが失速した。が、スタッフらはこれをプラスの転機ととらえ、シーズン中盤のマシン開発資源を日本GP用に大幅シフト。その“鈴鹿スペシャル”の事前テストとなった前戦シンガポールGPで2位の好結果を残し、自信満々で母国に帰ってきた。

 山科忠代表は「鈴鹿のコース特性に合わせてドラッグ(空気抵抗)を増やさず、ダウンフォース(空気流で地面に押しつける力)を獲得できる効率のいいクルマが出来上がった。さらに昨日開発を終えたばかりの最新パーツが、今日明日にもファクトリーから発送される。シーズン中盤のイギリスGP(6月21日決勝)の時点に比べ、向上の面でどこのマシンにも負けていない今年一番の自信作です」と胸を張った。

 今回は車体本来の性能に加え、エンジンの面でも大いに期待ができる。エンジンは組み立て時の状況によって、同じ仕様でもパフォーマンスに差が生じるという。そこでトヨタは最も出来栄えが良かったエンジン2基をあえてシーズン終盤まで温存、山科代表が「間違いなく一番いい」と太鼓判を押すフレッシュエンジンをレギュラー2人が搭載し、鈴鹿を走れることになったのだ。

 もちろんシンガポールGPで“試走”したアップデート(最新化)マシンは、ドライバーの観点からも上々の手応え。2位表彰台に上がったグロックは「シンガポールは市街地サーキットでバンプ(路面の凹凸)が多いこともあり、マシンの改良具合が本来は非常に分かりにくい。でも今回のアップデートは違う。乗ってすぐに『これはいい』と分かったからね」と絶賛。「鈴鹿のような常設サーキットになればより改良具合が実感できると思う。シンガポール以上に効果的なものになると期待している」と目を輝かせる。

 今年の集大成ともいえるアップデートマシンに最良のエンジンが搭載されれば、まさに鬼に金棒。今年のトヨタは最強パッケージで、いまだ見ぬ表彰台の頂を目指す。(千葉亨)

 ○…トヨタが現レギュラーのT・グロックに対し、来季契約のオプションを行使しないと言い渡していたことが明らかになった。28日付のビルト紙をはじめ、複数のドイツメディアが伝えた。山科代表もこの報道を否定しなかったが、これはあくまでも最適なラインアップを追求するための措置だと力説。

 「要はシーズン終了後のドライバー市場を見てから決めましょうということ。今年はアロンソ、ライコネンにクビツァ、ハイドフェルト、ロズベルグなど移籍する可能性のあるドライバーが多いですから」と続け、フリーハンドにしておきたいとの思惑があるようだ。

 ○…本来なら記者会見に出席する予定のJ・トゥルーリが、発熱による体調不良を理由に欠席した。トゥルーリはシンガポールGPから37度を超える発熱に苦しめられていたが、決勝終了後さらに悪化。シンガポールにとどまり、体調回復に努めることになった。それでも山科代表は「日本GPもトゥルーリ、グロックで臨む」と語り、欠場の可能性をきっぱり否定した。

 ○…この日の記者会見には、F1サードドライバーを務める小林可夢偉も出席。「かなりのアップデートをして2位の成績を獲得。チームのモチベーションも高いし、自信を持って鈴鹿に臨めます」と好パフォーマンスを期待した。

 自身は今季GP2アジアシリーズでタイトルを獲得したが、その後のGP2メーンシリーズでは表彰台が3位の1度にとどまり、ランク16位と低迷。来季の参戦カテゴリーはまだ発表されていないが、山科代表は「我々の期待をはるかに下回ったと言わざるを得ない。いいドライバーで素質があることは間違いないのだから、もっと上を目指してほしい」とさらなる奮起を促した。

 ○…来季のF1予算についていまだ本体のトヨタ自動車から正式な承認が得られておらず、撤退の可能性が今もささやかれているトヨタF1だが、山科代表は来季以降も参戦を継続するとあらためて強調した。「2012年まで参戦を約束するコンコルド協定にサインしているし、来季参戦のエントリー申請もしている。現時点では参戦を継続する姿勢に変わりはない」とアピール。

 予算の承認についても「今年だって3月に私が大幅に変えているし、現時点での承認の存否は障害にはならない。現在立てている概算予算の半減を命じられたら厳しいが、リーズナブルなコスト削減なら問題ない」との見解を示した。