ルクセンブルクの投資会社マングローブ
プロドライブへの売却より好条件
資本パートナーとの合体でルノーF1は継続できそうなムードだ(AP)
資本パートナーとの合体でルノーF1は継続できそうなムードだ(AP)
 売却がうわさされるルノーF1に関して、最新情報が届いた。有力とされる英国プロドライブ社への売却ではなく、実は資本パートナーとの提携が本命だというのだ。(パトリック・カミュ=フランス・オートエブド誌記者)

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 10日の木曜には、ルノーF1の将来が決まるはずだ。カルロス・ゴーンCEOはこれまで、F1活動によってもたらされるイメージがポジティブであり、優れた成績が残り、多額の資金がかからないかぎり、自分はF1に賛成なのだと繰り返してきた。

 しかし、09年のルノーでは、すべてが失敗に終わった。08年シンガポールの一件によって傷ついたイメージ、1978年以来最悪の選手権8位という結果、INGはじめいくつかのスポンサーの撤退によって資金も不足している。

 ルノーは総予算の15%程度、およそ3000万ユーロ(約39.3億円)が不足している。トタルは2000万(約26.2億円)から2200万ユーロ(約28.8億円)にスポンサー料を引き上げたが、それ以上の投資は拒んでいる。残る方法は、足りない資金の分だけ投資家に資本を譲り渡すことだ。

 プロドライブを率いるデビッド・リチャーズは、現在のルノーがベネトン・チームだった時代の1997年、フラビオ・ブリアトーレが去り、戻ってくるまでの間、チーム代表を務めた経験がある。その後彼は2001年から04年、BARチームを率いたが、大きな成果は上げていない。

 リチャーズは技術者でも工場のボスでもなく、ビジネスマンであり、ずっと以前から自らのチームでF1に参戦することを望み、何度も話題を振りまいてきた。彼は他の候補を大きく引き離して2010年の新チームとして選出されるはずだったが、資金もチームも存在しないのだ。リチャーズが手ぶらでルノーF1にやって来ても、何も利益をもたらさない。

 そこで登場したのが、ルクセンブルクの投資会社マングローブ・キャピタル・パートナーズである。複数企業の集合体であるマングローブは、彼らが“有望”と判断する若い企業(携帯電話、遠隔セキュリティー・システムなど)に投資を行い、企業の成長に伴って利益の一部を受け取る。

 マングローブの活動には「グラビティ・インターナショナル・レーシング(GIR)」のモータースポーツ部門「グラビティ・スポーツ・マネジメント(GSM)」による若手ドライバーの管理も含まれている。これらの部門を統括するのはジェニイ・キャピタル社で、GP2で小林可夢偉のチームメートだったエローム・ダンブロジオ、アドリアン・タンベイ、ヘレスのルーキーテストでルノーF1を走らせたホー・ピン・タンらがここに属している。また、ジャック・ビルヌーブも、GSMとそのボスであるジェラール・ロペスと密接な関係を持っている。

 BMWが撤退を発表した際、チームを買収する候補としてバーニー・エクレストンが推したのもGIRであった。クァドバクを優先したマリオ・タイセンの判断は間違っていたと言っていい。

 ルノーF1の資本パートナーとなり、エンストンのチームを共同所有するようになれば、GIRはマングローブ関連の企業からスポンサーを募ることができ、ルノーにはより良好な条件でF1活動を継続することが保証される。

 加えて、ルノーとマングローブには、そのパートナーシップをF1以外にも拡大する可能性がある。というのも、マングローブは現在、回生エネルギー、新世代エネルギー、グリーン・テクノロジーの分野にも大きな投資を行っているからだ。すべて、ゴーンがルノーの市販車に投入を望む技術である。

 ルノーの一部買収に関しては他にも2社の名前が挙がっているが、チームに最も多くをもたらせるのがGIRである点に間違いはない。ルノーはそのイメージやアイデンティティ、独立性を失うことなく、活動を継続することができる。プロドライブ/リチャーズでは、ルノー本社の資金投入がない限り問題は解決しない。

 ゴーンの選択はあと数日で我々の知るところとなるはずだが、チームからはこんな声が聞こえてくる。「ルノーは2010年もルノーの名前でF1に参戦する。すべてが解決されるはずだ」(訳=今宮雅子・IRIS)=文中敬称略=