空力規定違反でペレスとともに悪夢
開幕戦オーストラリアGP決勝
レース前、可夢偉を中央に東日本大震災の被災者に黙とうを捧げたF1ドライバーたち(カメラ=北川さき)
レース前、可夢偉を中央に東日本大震災の被災者に黙とうを捧げたF1ドライバーたち(カメラ=北川さき)
 【アルバートパーク(オーストラリア)今宮純、L・バスコンセロス】F1開幕戦オーストラリアGPは27日、当地で決勝を行い、東日本大震災で被災した人々に希望を与える走りを誓った小林可夢偉=ザウバー=が“公約”通りの8位フィニッシュを果たした。ゴール3時間後に車両の規定違反が見つかり失格となったが、未曽有の大災害に見舞われた日本に勇気を与えたことに変わりはない。優勝はセバスチャン・ベッテル=レッドブル=が完ぺきな走りでポール・トゥ・ウイン、通算11勝目をオーストラリアGP初完走で飾った。2位にルイス・ハミルトン=マクラーレン、3位にビタリー・ペトロフ=ルノー=が入り、ロシア人初のF1表彰台に上った。

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 被災者に希望を与えるという決意で挑んだ1戦。その目的を果たした可夢偉はレース直後に満足そうな表情を浮かべた。「初戦でポイントが取れて本当に良かった。震災で大変な中、レースを観戦してくれた人もいたと思います。いい形でスタートが切れ、これからもコンスタントに結果を残し、いっそう喜んでもらえるよう頑張りたい」。8位入賞という結果にぐいと胸を張った。

 しかしレース終了後、3時間がたった現地時間午後9時30分(日本時間7時30分)すぎ、無念の裁定が下る。再車検を受けたザウバー「C30」が車両後部の空力規定違反と判断され、まさかの失格。8位チェッカーの可夢偉、新人ながらギャンブル要素が強い1回ストップ戦略を成功させて7位に入ったセルジオ・ペレスがリザルトから除外されてしまったのだ。

 チームはすぐさま裁定に対し、抗議する声明を発表したが、メルボルンで結果が覆ることはない。すでにサーキットを離れていた可夢偉は“悲報”を知らないままホテルに戻っており、報道陣に悔しい胸の内を漏らすこともかなわず。厳しく規定されている空力パーツの取り付けに関する微妙な解釈の違いながら、オフのテストから地道な作業を続け、大震災に見舞われた日本のために奮闘した努力が結果として報われなかったのはあまりにも無情だ。

 それでも可夢偉が日本のために頑張ったという事実に変わりはない。スタート直前には「実はシームレスシフトにトラブルが出て…。正直走りきれるか不安でした」という苦境でもあった。さらにテストではもちろんのこと、開幕戦のフリー走行でもチーム力の向上を目的に今季型車両の基本的なデータ収集を命じられ、クルマを完全な自分好みにすることができなかったという背景もある。

 チームを引っ張るエースという立場なら、致し方ない。「なにより1レース目から入賞することが目標だったので、完ぺきなレースというよりも無難なレースができたという感じです。冬の間に頑張ったかいがありましたよ」と語っていた可夢偉。失格にはなったが、日本のため、チームのために奮闘した満足感に変わりはないはずだ。