「ファンやチームは誰が1番なのかわかっている」
最終第20戦ブラジルGP決勝
最後まで攻め続けたアロンソ。2位フィニッシュでも3ポイント及ばなかった(AP)
最後まで攻め続けたアロンソ。2位フィニッシュでも3ポイント及ばなかった(AP)
 【インテルラゴス・サーキット(ブラジル)今宮純】最終第20戦ブラジルGP決勝が25日、当地で行われ、恵みの雨で2位まで駆け上がったフェルナンド・アロンソ(31)=フェラーリ=だが、3ポイント及ばず6年ぶりの王者には手が届かなかった。しかし、決して戦闘力の高くない車両で、最後までタイトルを争ったことに胸を張った。3年間在籍したザウバーで最後のレースに挑んだ小林可夢偉(26)は、荒れた展開を味方に付けて一時は5番手を走行、最終的には9位に終わったが、今季9回目の入賞で締めくくって満足げ。レースはジェンソン・バトン(32)=マクラーレン=が制した。

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 逆転王者に届かず、執念で上った2位表彰台でも笑みを浮かべなかったアロンソだが、その顔には充実感がくっきり。最悪のシーズンスタートを切りながらも、チーム一丸となって挽回し、最後の瞬間までタイトルを争い続けたからだ。

 「今年を評価するなら10点満点だ。もし、この20戦をもう一度戦うとしても、チームや僕がやったことを変えるつもりもない。シーズンで最もポイントを稼いだわけではないが、多くのものを勝ち取れた。ファンやチームの仲間は、誰が今年一番なのかは分かっているはずだ」。そう胸を張って言い切るアロンソは、まさに誇り高き敗者だ。

 フェラーリ3年目の今年は、実力No.1と称されるアロンソらしい1年だった。挑戦的なクルマ造りをした今年の「F2012」は、シーズン序盤にははしにも棒にもかからない悲惨な状況。ライバルから1周で1秒も遅れるのはざら。雨絡みの第2戦で技ありの勝利を挙げたが、1ポイントを得るために全ての力を出し切るような戦いが続いた。欧州ラウンドに入ってからは車両の戦闘力も上がり、何とか表彰台を奪い続けてポイントリーダーにもなった。
ベッテルをたたえるアロンソだが、その表情は複雑だった(カメラ=松本浩明)
ベッテルをたたえるアロンソだが、その表情は複雑だった(カメラ=松本浩明)
 が、ライバル勢が巻き返した夏休み明けに再び大苦戦。第12戦ベルギーGP、第15戦日本GPでのもらい事故(リタイア)が苦戦に拍車をかけ、第16戦韓国GPでついに首位陥落。ベッテルが駆るRB8との性能差は明らかだった。それでもエースに鼓舞されて必死の開発を続けた跳ね馬は攻め続けた。

 「(車両の)パフォーマンスレベルは一番ではなかったが、誰もが全力を尽くしていた」。前を見据えて胸を張り続けるアロンソ。最終戦でベッテルに逆転された10年に続く2度目のランキング2位ながら、「あの時とはまったく違う。(10年は)機会を逃したいら立ちがあったが、今は最高のレースをしたという満足感だけだ」。真の勝者は自分だ、とその顔は物語っているようだ。

 「もう一度言う。僕は今、うれしいし、誇りに思っている。あとはカイピリーニャ(ブラジルのカクテル)を飲むだけだ!」。悔しさはまるでなかった。