度重なる失態に、小松Eも一転“相棒”バッサリ
あるゾ! 可夢偉ロータス入り
グロジャン(奥)にダメ出しした担当エンジニアの小松氏(ロータス提供)
グロジャン(奥)にダメ出しした担当エンジニアの小松氏(ロータス提供)
 国際自動車連盟(FIA)は1日、2013年のF1参戦リストを発表した。この中のドライバーラインアップで注目すべきは、ロータスがキミ・ライコネン(33)のみで、もう1人は未定になっていたことである。ロマン・グロジャン(26)の残留はもはやないのかもしれない。その場合はうわさされる小林可夢偉(26)加入の可能性はあるのか。今シーズン終盤戦に起きた事実をあらためて検証してみた。

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 今季のグロジャン担当エンジニアは日本人の小松礼雄氏だ。度重なるスタート直後の事故に関しても、可能な限りかばってきていた。“相棒”であるからには当然かもしれないが、担当するドライバーの速さ、完走さえすれば確実に結果を残せる可能性を、身近で感じていたからだろう。

 しかし、最終戦ブラジルGP(11月25日)終了後は少し様子が違っていた。レース中の単独スピン&クラッシュについては、「スパ(ベルギーGP)や鈴鹿(日本GP)以来、いろいろプレッシャーがあるのでしょうね。勝つとか、表彰台に上がるとかのポジティブなプレッシャーではなく、負の方向のプレッシャーがね」とさらり。まずは他車を巻き込んだアクシデントを起こし、周囲から厳しい目で見られている状況にある程度の理解を示した。
ベルギーGPのスタート直後の多重クラッシュ。グロジャンが原因を作った(AP)
ベルギーGPのスタート直後の多重クラッシュ。グロジャンが原因を作った(AP)
 それが、予選Q1中にP・デ・ラ・ロサ(HRT)に追突してQ2進出を逃した一件では、今までにない厳しい態度を見せた。「単なる彼の判断ミス。あのタイミングで抜く必要はまったくなかった。Q3の残り1周ならともかく。そういう判断が、ちょっとね。ペナルティーがなかったのは幸運だった。でも、代償は大きかった。予選3番手まではいけたかもしれない。そんな判断を、しっかりできないとまずいですよ」ときっぱり。珍しく担当ドライバーを突き放したのだ。

 チームメートのライコネンは今季、予選でグロジャンに負けても、レースできっちり結果を残している。「そう。キミがすごいのはクルマが良くない状況でも、かならずポイントを持って帰ること。すべてが完璧なことはありえない。それでもキミはその状況を受け入れ、その時点でのベストの結果を出す。リタイアしないでしょ。すごいですよ。ロマンがもっとちゃんと走っていれば、コンストラクターズでフェラーリやマクラーレンと戦えていた」と、批判とも取れる厳しい言葉を漏らした。

 小松氏が態度を急変させたのはチーム上層部の“意思”が働いたのかもしれない。来季の担当変更などはあくまでも「雲の上の話だから」とはぐらかす。が、将来組んでみたいドライバーの希望を「ロマンぐらい速く、ぶつからず結果を残せる人。そして周囲がよく見えている人」と結んだ。

 ロータスの来季ドライバー候補のリストに、可夢偉が入っているのは、エリック・ブリエ代表がアメリカGPで認めている。一方で、オーナーのジェラルド・ロペス氏が「来季はコンストラクターズで3位を狙う」と公言。マクラーレンやフェラーリと互角に戦い、安定してポイントを持ち帰るドライバーが2人いなければ、その目標は絶対にかなえられない。そして来季が確定していないドライバーの力量を判断した場合、可夢偉は十分にその期待に応えられる1人である。

 ロータスは最終戦で「コカ・コーラグループ」との来季スポンサー契約を発表した。ただしその金額は不透明で、「2000万ドル(約16億4000万円)」という説もあれば、「取るに足らない金額」とみる関係者もいる。チームの財政状況が厳しい状況に陥っているのは確かである。仮にコカ・コーラが大口ならドライバーを実力本位で選定でき、“可夢偉当選”の可能性は高い。しかし、財政難を改善できない小口の場合は“持参金”の多寡で選ばれるだろう。いずれにしろ、あと数週間。水面下で生臭いせめぎ合いが続けられているはずだ。(柴田久仁夫)