レギュレーションが大きく変更
V6直噴ターボに「今はちょっとしたパニック」
激しいレギュレーション変更に警戒感を強めるニューウェイ技術責任者(レッドブル提供)
激しいレギュレーション変更に警戒感を強めるニューウェイ技術責任者(レッドブル提供)
 F1のドライバーズ&コンストラクターズタイトルの2冠を4年連続で獲得したレッドブルのエイドリアン・ニューウェイ技術責任者(54)が1日、来季の5連覇達成に不安を漏らした。F1は来年からの技術規則変更によりエンジンがV6直噴ターボになり、エネルギー回生システムも熱エネルギーを加えたものに一新。4連覇王者のセバスチャン・ベッテル(26)が年間最多タイの13勝を挙げた最強マシン「RB9」をデザインした天才といえども、全く先が見通せない状況だ。

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 ニューウェイ技術責任者は1日、ロンドン市内で開かれた英誌オートスポーツ主催の表彰式に出席。ベッテルが史上3人目の4連覇を果たすとともに年間最多タイの13勝、最多タイの9連勝達成を強力にアシストしたその手腕に対し、会場を埋めた観衆から大きな拍手を受けた。

 だが来季の抱負を聞かれると、「難しいね。今はちょっとしたパニックと、危機管理が問われる状況の間ぐらいの心境だから」と苦笑いを浮かべながらコメント。取材に訪れたメディアも最初は冗談と聞き流していたが、「来年のレギュレーション(技術規則)の変更はとても大きなもの。エンジンを含めたパワートレインがとても複雑になり、われわれを含めた多くのチームが新たなチャレンジを迎える」と訴える姿を見てムードは一変。晴れやかな場が少々重苦しくなったにもかかわらず、ニューウェイ責任者は「来年はクルマの信頼性が勝負を分ける。

 その一方で各メーカーの新エンジンがどれだけの性能を発揮するか現時点では全く分からない。それに空力面も大幅に変わるから大変だ」と続けてタイトル5連覇に危機感を示した。

 確かに車両規定が大幅に変わる来季は不確定要素が多い。エンジンは自然吸気の2.4リットルV型8気筒から、1.6リットルV型6気筒の直噴ターボに変更。さらに運動エネルギーだけでなく熱エネルギーも動力に変換する新システムが搭載され、これまでに培った開発技術だけでは対応できない部分が多々あるからだ。

 しかもドイツ「ビルト紙」は「レッドブルが使用するルノーの新エンジン開発スタッフが約250人であるのに対し、メルセデスは約400人もの専属スタッフが開発にいそしんでいる」と報道。

 開発資金はともに1億ユーロ(約140億円)以上費やしているとされるが、同じルノーの新エンジンを使うトロロッソのF・トスト代表は「メルセデスエンジン勢がレースを支配する恐れがある。もし、彼らが力強いスタートを切ったら、その差はなかなか縮められないかもしれない」と危ぶんでいる。

 しかし、エンジンの力量差が見えない現状があるからこそ、「空力の天才」と呼ばれるニューウェイ責任者の車両デザインの手腕が問われることにもなるだろう。(千葉亨)