素晴らしい仲間がいたからこその4連覇
レッドブルに感謝と惜別
ホーナー代表(左)とニューウェイ責任者(右)からレッドブルの置物を贈られたベッテル(レッドブル提供)
ホーナー代表(左)とニューウェイ責任者(右)からレッドブルの置物を贈られたベッテル(レッドブル提供)
 セバスチャン・ベッテル(27)が2日、英国ミルトンキーンズのレッドブルF1チームの本拠地を訪れ、6年間苦楽を共にしたスタッフに別れを告げた。11月28日に同チームとの契約を満了、その翌日の29日から今月1日にかけて移籍先のフェラーリで初仕事をこなしている。順番が逆になった感じはするものの、4連覇を達成してくれたかつての仲間に深い感謝の思いを表した。

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 チーム本拠地のロビーに用意されたお別れ会の会場はドイツ国旗で飾り付けされ、参加者にはホットチョコレートと焼き菓子のプレッツェルが振る舞われた。どこか手作り感が漂い、アットホームとは言えるが、4連覇王者を送り出すには控えめで、学芸会ムードがぬぐえない。

 それでも1998年にレッドブルと交わした育成契約を含めると17年、エースとして6年間も在籍したチームの仲間を前にしたベッテルは感慨深げ。「信じられない6年間だった。ものすごい情熱と献身で、われわれはとてつもない仕事を成し遂げた。それは僕の心にずっととどまるだろう。本当に、本当にありがとう」。素晴らしいクルマに、素晴らしい仲間がいたからこその4連覇だった。

 C・ホーナー代表は餞別(せんべつ)に大きな雄牛の置物と大きなバッグを贈った。バッグの中にはユーモアを交えてエスプレッソカップと赤い競泳用水着、そしてペアのサングラス。タイトルを獲得したF1車両の贈呈は、「(フェラーリ本拠の)マラネロで姿を見せたら嫌だから」とホーナー代表は苦笑いを浮かべ、もう少し時を置いてからになった。フェラーリ合流時期で確執があったと伝えられるだけに、どこか嫌みが感じられた。

 が、A・ニューウェイ技術責任者は素直にベッテルを送り出した。「セバスチャンがクルマの中にいたときは、われわれが望んだものを全てもたらしてくれた。それは彼自身の全てを費やしてくれた結果だったのを知っている。本当に特別な時だった」。自らが造り出したクルマで、圧倒的な速さをみせた若き王者に最大級の賛辞を贈った。

 ベッテルはその後、車両を製作するファクトリーに足を運び、作業をするスタッフに手を振り、別れの抱擁もした。一時代を築いたドライバーとの別れは、多くの人に言い知れぬ寂しさを込み上げさせたが、別れを告げる前に新天地で一仕事を終えている事実が、どこかぎこちない空気をもたらした。