「メルセデスがつまらなくしている」
 F1グループのバーニー・エクレストン最高経営責任者(CEO、85)は、F1委員会で否決された自動車メーカー以外が作る安価な「クライアントエンジン」の導入を諦めておらず、人気の低下が心配される現在のF1を救う唯一の方法と信じている。7日までにドイツ紙「ウェルトゾンターク」が伝えた。

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 昨年から1.6リットルの直噴ターボエンジンと大掛かりなエネルギー回生装置を組み合わせたハイブリッドのパワーユニット(PU)が導入されて以降、メルセデスの独走が続く現状をエクレストンCEOは憂えている。

 「現状はスポーツ(F1)に良くない。退屈だ。メルセデスがレースをつまらなくするので、一部の人はスタート前に入れたテレビのスイッチをすぐに消してしまう」

 強力なPUを持つメルセデスが2連覇したにとどまらず、PUを供給する自動車メーカーの立場が強くなった。メーカーが直接運営するワークスチームが脅かされる可能性がある場合、有力チームへの供給を拒否。2010年から4連覇したレッドブルの来季PUがなかなか決まらず、F1を撤退しかねない状況に陥った。

 そのためエクレストンCEOは国際自動車連盟(FIA)と協力し、エンジン製作会社が作る電気モーターなどを備えない2.5リットルのV6ツインターボのクライアントエンジン(CE)を導入し、PUとの混走を計画した。17年からの導入を目指していたが、11月24日に行われたルールの素案を作るF1委員会で否決された。

 それでも18年の導入を諦めていない。「新しい供給元のエンジンを導入することで競争を促したい。コース上のいたるところで競争が起きる状況を作りたい」。複雑なシステムを持たないCEはPUよりも性能を引き上げることが安易。現在のようにメルセデス製PUの性能が他メーカーより勝っていても、すぐに同等の性能にすることができる。

 が、CE導入は、PUを供給する自動車メーカーを排除するものではないという。「メーカーをどうこうしようとは思っていない。誰でも買え、安価で競争力のあるエンジンがほしいだけだ」とエクレストンCEO。年間30億円ともいわれるPU供給価格を、CEの導入で半分以下に抑えたいのだ。

 「このままではF1が破壊されてしまう。が、そうはさせない。F1は観客によって支えられている。そして大部分の観客にとってどんなエンジンで走っているかなど興味はない。観客は今の複雑な技術を好きではない。激しいレースと異なる勝者を求めている。それをF1が提供しなければならない」

 強い決意を示すエクレストンCEO。運営資金の高騰で疲弊する中堅チームを助け、激しい競争をもたらすであろう、CEの導入を強力に推し進める。