F1第12戦サウジアラビアGP フリー走行 3日 ジッダ市街地サーキット(6・174キロ×50周) ペン=尾張正博、ルイス・バスコンセロス
7度の王者経験を背景に、タイトル争いで追う立場ながら余裕を醸し出すハミルトン(AP)
7度の王者経験を背景に、タイトル争いで追う立場ながら余裕を醸し出すハミルトン(AP)
 メルセデスのルイス・ハミルトン(36)=英国=が、まれに見る僅差のタイトル争いの中で余裕を醸し出した。史上最多タイとなる7度の王者経験をちらつかせ、ランキング首位で初めてタイトルを争うレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(24)=オランダ=との違いを強調。2連勝中の勢いに乗り、優勝&ファステストラップを狙う。フリー走行1回目は最速タイムを記録。現在の8ポイント差を追いつき、最終戦決着に持ち込む戦略を描く。

同点に追いつき、最終戦決着もくろむ

 開幕前日の会見に現れたハミルトンは落ち着き払っていた。ブラジル、カタールと連勝して乗り込んだ初開催のサウジアラビア。多岐にわたる質問に丁寧に答え続け、精神的な充実度の高さを強く感じさせた。

 僅差のタイトル争いについては、過去の実績を引き合いに出し、自身は別次元の戦いに挑んでいることを強調した。「僕らは誰も経験したことのない、8回目のドライバーズ選手権を争っている。チームも未知の領域だし、すごく新鮮なことだが、とてもリラックスしているよ」

 ここ2戦は耐久性を少し犠牲にし、パワーを上げたという“ロケットエンジン”を投入し、ライバルを寄せ付けなかった。チームのトト・ウルフ代表は最後方から大逆転Vを飾ったブラジルGPで「ライオンが目覚めた」と語ったが、ハミルトンはやんわり否定。「(ブラジルで)別の領域に入ったとは思わない。過去にも同じようなことはあったし、僕はチームとともに1年を通して安定して成果を上げている」。日々の精進を続けた上でチームの力を借り、神懸かり的な走りを引き出したと言いたげだ。

 人権侵害の批判を受けるサウジアラビアでは、昨年から積極的に行ってきた人権擁護を訴える活動にも言及した。「快適かと問われれば、そうは言えないね。でも、F1がここで開催することを決めた。ここにいる間は皆の意識を高める活動をすることが重要だ」。前戦から引き続き、性別の多様性を訴えるレインボーカラーのヘルメットをかぶり、人権派の第一人者として走る覚悟だ。

 ともあれ、最大のテーマはフェルスタッペンを捉えること。市街地コース最速をうたうジッダで、優勝&ファステストラップのフルマークを達成すれば、たとえライバルが2位に続いても369・5ポイントで並べる。「僕にとっての競争は、以前の自分を打ち破ること。精いっぱい力を出し切りたい」。最終戦決着に向け、最大32ポイントも開いた差をイーブンに持ち込む。