ハミルトン(後方)と激しいバトルを繰り広げたフェルスタッペン。王者争いは同点で最終戦に持ち込まれた(AP)
ハミルトン(後方)と激しいバトルを繰り広げたフェルスタッペン。王者争いは同点で最終戦に持ち込まれた(AP)
 初タイトルに挑むレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン(24)=オランダ=は、第21戦サウジアラビアGP(5日)で2位に終わり、第19戦から3連勝したメルセデスのルイス・ハミルトン(36)=英国=に選手部門のポイントで並ばれた。レースは2度の赤旗が出る大荒れの展開。フェルスタッペンは何度か勝機をつかんだが、経験豊富なベテランにやり込められた。ホンダF1の山本雅史マネジングディレター(MD、57)が、悔しい1戦を振り返る。(聞き手=柴田久仁夫)

マックスのアタック「しびれた」

最終決戦へ「やり切って気持ち良く帰りたい」と意気込む山本MD(C)RedBullContentPool
最終決戦へ「やり切って気持ち良く帰りたい」と意気込む山本MD(C)RedBullContentPool
 ―波乱続きのレースだった。

 山本MD「サウジアラビアに来る前には『メルセデスが総合的に良いかな』と予想していたが、予選Q3でマックスのアタックを見た瞬間に『すごい』と思った。結果的にウオールにぶつかったものの、セクター1、2の走りは神懸かっていた。久々に興奮し、シビれた。レースではロングランを含む総合力でメルセデスが上だった。(バルテリ)ボッタスが3位に入り、コンストラクターズ選手権は厳しくなった」

 ―ここ数戦はレースペースでメルセデスに負けている印象だ。

 「認めたくはないが、ルイスとマックスという異次元の2人の走りを比較しても、メルセデスの方が優位かなと思う。何かよほど挑戦的なことをやらないと、マックスの腕をもってしても(勝つのは)厳しいかもしれない」

 ―フェルスタッペンのアグレッシブな走りに関しては?

 「互いにタイトルを激しく争っていて、引くに引けないところはある。(37周目に)減速したマックスにルイスが接触したところは、(コース上に破片などの)デブリが落ちていて(ハミルトンが)走行ラインを変えられなかったのかもしれない。『さっさと抜いていけばいいのに』とは思った。互いにかなり神経質になって戦っている印象だ」

 ―レース中や、チェッカー後のガレージの雰囲気は?

 「(ドライバー選手権は)同点で振り出しに戻ったわけで、クリスチャン(ホーナー代表)とは『これで最終戦(決着)だね』と話した。赤旗が2回出たり、状況が二転三転したりした結果、ポイントで並ばれたことにはチーム内に落胆はあった」

 ―最初の赤旗が出た時には、フェルスタッペンの首位確定かと。

 「(他車がセーフティーカー出動中にピットインする中で)マックスも(ピエール)ガスリーも角田(裕毅)君もステイアウトして(コース上にとどまり)、いい感じになった。マックスに関しては(トップで再スタートに臨むことになり)『ポールを取ったのと同じ』とクリスチャンと話していた。ところがハードタイヤの再スタートで後れを取るなど、なかなか思い通りにいかなかった」

アブダビGP「サウジよりいい勝負できる」

 ―最終戦のアブダビGP(12日決勝)はコースレイアウトが変更され、メルセデスに有利では?

 「いや、サウジよりいい勝負ができると思う。いずれにしても同点だから、勝つか負けるかしかない。ここでは『もう1戦ある』というのが頭にあったが、次はない。(フェルスタッペンが優勝した)去年のアブダビを思い出してもらい、いい形で初日から入れれば。今回は落胆感は否めないが、気持ちを切り替えてアブダビに向かう。しっかりやり切って終わりたい。チャンピオンを取りたい気持ちはもちろん強いが、そんなに簡単に取らせてくれないだろう。総合的にこちらが優位というわけではないし」

 ―さすがに王者は手ごわい。

 「本当に。いろんなケースを経験してきただけに、強いですよ。一方で、ルイスとマックスという超一流ドライバーがガチンコで戦ってる。そこは本当にすごい。実は(第20戦)カタールGPぐらいまではこんなに緊張していなかったが、ここに来て(気持ちが)重くなってきた」

 ―タイトルの重圧か。

 「そうですね。それだけにサウジの結果に落胆もある。最悪1ポイント差か同点で並ぶと覚悟していたが、いざそうなってみると、追い込まれている感がさらに強くなる」

 ―珍しく声が疲れて聞こえる。

 「いや〜、ナイトレース続きでしょ。今大会も連日、深夜までサーキットにいた。そういう疲れとタイトル争いの重圧と、両方ですね。最後はやり切って、アブダビから気持ちよく帰りたい。勝っても負けても」