メキシコGPで観客の声援に応えるハミルトン(チーム提供)
メキシコGPで観客の声援に応えるハミルトン(チーム提供)
 7度のF1王者、メルセデスのルイス・ハミルトン(37)=英国=が大不振のシーズンを振り返った。2007年のデビュー以来、初めて一度も勝てず、ランキングで初めてトップ5から漏れた(6位)。全くポールポジションが取れなかったのも初めて。それでも「キャリア最悪のシーズンではないよ。僕もチームもよく耐えて、後半は持ち直した。今年の経験で来季はさらに強くなるよ」と不屈の闘志で前を向く。並々ならぬ決意で巻き返しを期す大ベテランの胸中を探った。(聞き手=ルイス・バスコンセロス)

 ―キャリア最悪のシーズンになった。

 ハミルトン「いや、ワースト3に入るのは間違いないけど、最悪ではないよ。最悪は2011年(3勝でランク5位)かな。生活全般も含めてね(恋人と別れた影響で、レースでの安定感を欠いたともされる)。それに比べたら、僕自身の仕事ぶりもチームとの連携面も、全員の一致団結ぶりも力強かった。プラスの面もたくさんあったんだ」

 ―とはいえ、自身初の未勝利に終わった。

 「確かに、勝てたらよかったとは思うけど、どうせ1勝だけじゃ(タイトルを争うのに)不十分でしょ。今年の戦闘力からしたら、表彰台に乗っただけでも勝ったような気分だったよ。それまでの僕たちの努力を考えればね」

 ―今季型車「W13」は開幕前のバーレーンテストでかなり遅く、苦戦が容易に想像できた。

 「いら立ちやフラストレーションは特に感じなかったが、テストでどれだけクルマがひどかったかはよく覚えている。効果的なアップグレード(改良版部品)が届くまで、最終的に6〜7カ月かかったよね」

 ―昨季から導入された予算制限もマイナスに働いた。

 「以前はもっと風洞実験ができたし、もっと金を使ってテストもできた。怒りはなかったが、ある時点で『困ったな。このクルマじゃ、今年はタイトル争いはできないぞ』と思わざるを得なかったし、本当に厳しく大変だったよ。とにかく、現実に優勝を争えるレベルを目指して、全力で戦わなきゃいけなかった。自分たちだけじゃなく、支えてくれる人、応援してくれる人のためにも」

 ―それでも、チームとともに、どん底からはい上がった。

 「今年チームが成し遂げたことを本当に誇りに思うよ。僕たちは決して諦めず、チリ一つ見逃さず、文字通り全ての手を尽くしたんだ。W13の潜在能力を引き出し、ブラジル(第21戦サンパウロGP)でワンツーフィニッシュ。チームがとてつもなく強靱(きょうじん)なことを証明した。だからこそ、僕は来年の戦いに自信を持っているんだ。レッドブルの強さは別次元だけど、メルセデスも追いつけないはずはない。今年1年間耐え抜いたことで、来年の僕たちは間違いなく強くなるよ」

 ―昨季は最終戦の最終周までタイトルを争ったレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、今季は記録的な独走で連覇を果たした。

 「今年の彼はレース週末ごとに安定していて、誰も太刀打ちできなかった。彼の見せたパフォーマンスとチームの仕事ぶりは素晴らしかった。どれだけクルマが優れていたとしても、あのレベルに到達するのは簡単じゃない。よく彼とは確執があると言われているけど、僕は彼をリスペクトしているよ」