一躍、引く手あまたとなったアルボン(ウィリアムズ提供)
一躍、引く手あまたとなったアルボン(ウィリアムズ提供)
 【リスボン=ルイス・バスコンセロス】ウィリアムズで奮闘するアレクサンダー・アルボン(27)=タイ=の評価が一気に高まっている。チームとの契約が来季末まであることが判明しても、メルセデスのルイス・ハミルトン(39)=英国=の来季跳ね馬移籍に端を発した、ドライバー大シャッフルの主役に躍り出たまま。欧州メディアからは、古巣レッドブルが2026年からの仮契約をオファーした―との報道まで飛び出す始末だ。

 5日にニューヨークで開かれたウィリアムズの体制発表会で、アルボンは将来について「契約のことはよく分からない。でも、個人的には今季に全ての力を注ぎたい。先のことは時が経てば分かると思う」と語った。さらに「僕が望むポジションにウィリアムズがいるのなら、長期的な関係を築いていきたい」とも。チームの戦闘力次第で、身の振り方を考えることをにおわせた。

 アルボンは今オフ、メディアによってストーブリーグの主役に担ぎ上げられた。年末年始にはカルロス・サインツの後任として跳ね馬入りがささやかれ、ハミルトンの電撃移籍が発表されると、メルセデスの有力な後任候補として祭り上げられた。さらに、セルジオ・ペレスの契約が満了する古巣レッドブルからは、26年からの仮契約オファーも受けたという。

 戦闘力に劣るウィリアムズの車両を駆り、昨季7度の入賞、選手部門13位につけたことで、評価は一気にうなぎ上り。20年限りでシートを失った古巣からも、再び声がかかる成長ぶりだ。自己評価も「(ドライバーとして)ピークを迎えたか、それに近づいていると感じる。表彰台を争い、勝利を狙えるクルマに乗る資格があると思う」と強気だ。

 ただ、多くのドライバーが動く来季の大シャッフルには乗り遅れそうな状況だ。ウィリアムズのジェームズ・ボウルズ代表は「アレックスとの契約は来年いっぱいある。どんな将来を迎えたいのか、ともに話し合っているよ」と保有権を主張。20年から新体制となり、名門復活に向けて投資を続けているが、チームの飛躍にアルボンは欠かせない存在という。

 それでもウィリアムズには“前例”がある。メルセデスのニコ・ロズベルグが突然引退を発表した17年、パワーユニット使用料などの便宜を図ってもらう代わり、契約のあったエースのバルテリ・ボッタスをメルセデスに差し出したのだ。ボウルズ代表は「私にはチームを率いる責任がある。(アルボンの)個人的な感情より、チームの長期的な目標に沿って、正しい判断を下さねばならない」と力説した。

 すっかり時の人になったアルボン。落ち着き先が決まるまで、一挙手一投足が注目されそうだ。