モンタニ完走&琢磨好ラップは貴重な収穫
第7戦モナコGP編
ライトアップされたモナコの夜。F1のとき以外は静かなセレブの街だ(カメラ=川柳晶寛)
ライトアップされたモナコの夜。F1のとき以外は静かなセレブの街だ(カメラ=川柳晶寛)
 最も格式の高いモナコGPを戦ったスーパーアグリ。大苦戦を予想していた鈴木亜久里代表(45)だが、佐藤琢磨(29)はリタイアしたもののレース中は好ラップを連発、フランク・モンタニ(28)は3周遅れながら完走した。苦境には変わりないが、思わぬ収穫に内心ほくそ笑む亜久里代表だった。

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 最初に自分のアパートがあるモナコについて書いておこう。

 モナコには自宅があるから特別なグランプリと思わないかと聞かれることがよくあるが、それはない。むしろちょっと迷惑だと感じるほどだ。ボクのアパートはマシンが1コーナーを抜けて坂を上がって行くその中腹にコースを見下ろして建っているのだが、その先はモナコ湾。グランプリの週末は毎晩ボートの船上でパーティーがあってうるさくて寝付けない。

 それがようやく終わったと思う間もなく、こんどは朝7時半くらいからサポーティング・イベントのマシンが走り始める。家からサーキットまで近いとはいえ、これならよっぽど他のグランプリの方が安眠できていい。ぜいたくな悩みと思われるかもしれないが、内実はそんなものである。

 ボクがモナコに住み始めて今年で16年。この間、自分のアパートの窓から観戦したことはたった1回しかない。他の年は自分でレースを走っているか、現役を退いてからはTV解説をやっていたのでそんなことになったのだが、1回だけの自宅観戦は楽しかった。なにしろドライバーの多くがボクが窓から観ているのを知っているので、ピット・ロードを出て行く時にこっちに向かって手を振ってくれるのだ。あれはおかしかった。

 それからいろんな人からコメントを求められたので、M・シューマッハーの降格の件について書いておく。シューマッハーは第3予選アタック中のラスカス・コーナーで立ち往生し、黄旗が出たことも手伝っていったんはポールポジションを取り、その後国際自動車連盟(FIA)の裁定で予選タイム無効となったのだが、あれが故意だったかどうかはシューマッハー自身と神様しか分からない。ハッキリしているのは、ああいう状況じゃなければ大事にならなかったわけで、これはもうFIAの決定に従うしかないのだと思う。

 さて、レースである。予選はいつものように佐藤琢磨、F・モンタニともよく頑張ってくれた。ボクは以前からこのモナコはウチのクルマにとって18戦の中で一番難しいコースだと言っていた。というのは、SA05がダウンフォース不足で非常に乗りにくいマシンであることはこれまでも書いてきたが、こういうマシンでテクニカルなコースを78周もするのはキツイ。特に海のシケインは時速300kmを超す最高速からのフル・ブレーキングとなるが、エンジン搭載位置が高い欠点を持つSA05はそこで挙動を乱してしまう。モンタニがプラクティス中、何回も海のシケインでミスしたのはそれが原因である。

 モンタニは決勝を3周遅れながら16位完走してくれたが、レース後に聞くと、ステアリングは重いわ、キックバックは強いわ、バランスは悪いわで大変だったと言っていた。その通りだと思う。

 琢磨は電気系トラブルで残念ながらリタイアとなったが、そこそこのラップ・タイムで走っていただけに悔しい限りだ。

 とにかく頑張ってるチーム、ドライバーのためにいいクルマでいい作戦を立てていいレースをしたい。新車SA06はいまスケール・モデルを風洞に入れてデータ採っているところだが、幸いいいデータが上がって来ているので、フランスGPにはなんとか間に合わせたいと思っている。

 次戦イギリス、そして北米戦までセカンド・ドライバーはモンタニでいくことになると思う。ドライバーもようやくマシンに慣れてきたし、流れも大事にしたい。何もかも足りないが、新車が出るフランスまでなんとか頑張っていきたい。(鈴木亜久里)