ルマン24時間で優勝し、8号車の上で喜ぶ平川(中央)ら=仏ルマンで(AP・共同)<br />
ルマン24時間で優勝し、8号車の上で喜ぶ平川(中央)ら=仏ルマンで(AP・共同)
 【ルマン=谷悠己】伝統の耐久レース、第90回ルマン24時間は12日、フランス・ルマンのサルテ・サーキット(1周約13・6キロ)でゴールを迎え、ハイブリッド車2台体制のトヨタは平川亮らの8号車が優勝し、5連覇を達成した。小林可夢偉らの7号車が2位に入り、トヨタは4度目のワンツーフィニッシュとなった。

 最高峰のハイパーカークラスに初参戦した28歳の平川はルマン初制覇。日本人では前回覇者の小林に続き5人目の優勝ドライバーとなった。

 8号車はポールポジション、7号車は2番手からスタート。2台は先頭争いを繰り広げながら後続を突き放した。残り約8時間で7号車が電装系トラブルのために一時停車して後退。約2分差で、ともに380周を走行した。

 トヨタの優勝回数は歴代6位。最多はポルシェの19回で、アウディ13回、フェラーリ9回、ジャガー7回、ベントレー6回と続く。連続優勝の最多記録はポルシェが1980年代に築いた7連覇。フェラーリは60年代に6連覇し、アウディは2000年代以降に5連覇を2度達成している。

新加入の平川「信じられない」

 「ハイテクノロジーでハイレベルな車によって達成された快挙だ」。今季からドライバーとチーム代表を兼任している小林可夢偉は、レース後の記者会見でこう語った。

 常勝軍団となるまでの道のりは平たんではなかった。1985年に初挑戦して以来、10年以上にわたる撤退期を経て2018年の初勝利まで34年を費やした。

 苦難の象徴は16年。残り1周までトップを走りながら車両トラブルに見舞われた。昨年限りで引退し、チーム運営母体トヨタガズーレーシング・ヨーロッパの副会長に就いた中嶋一貴さん(37)が無線で「ノーパワー」と叫び、ホームストレートで失速した。

 中嶋さんは元F1王者アロンソらと組んで初制覇した18年から3連覇。優勝ドライバーのバトンは、昨年はF1で日本人最多入賞記録を持つ小林に、今年は新加入の平川亮に受け継がれた。平川は会見で「伝説的なドライバーらの仲間入りができ、信じられない気持ち」と喜びを語った。

 快進撃が始まったのはライバルだったアウディやポルシェが去り、トヨタが最高峰クラスで唯一の自動車メーカー系チームとなってからだが、「勝って当たり前」の状況で戦うのは生易しくない。ここ数年は主催団体が戦力均衡化を目的に施す「性能調整」という敵も立ちはだかった。

 レース創設100周年となる来年にはポルシェやフェラーリなど海外の有力メーカーの復帰が見込まれており、トヨタには「最強チーム」としての真価が問われる。 (田村尚之、ルマン・谷悠己)