声援を受けながら、古い町並みを通過するラリーカー=岐阜県恵那市岩村町で<br />
声援を受けながら、古い町並みを通過するラリーカー=岐阜県恵那市岩村町で
 日本人ドライバーとして母国戦で初の表彰台に立った勝田貴元選手(29)の躍進に沸いた世界ラリー選手権(WRC)の今季最終戦「フォーラムエイト・ラリージャパン2022」。最終日の十三日に激走の舞台となった恵那市では、各地で観戦イベントが開かれ、市民らが世界最高峰のモータースポーツを体感した。

 市のまとめでは、タイムアタック区間のスペシャル・ステージ(SS)に開設した有料と無料(市民限定)の観戦エリアに計二千人が来場。SS以外の移動区間(リエゾン)の一万八千人と合わせ、延べ二万人が熱戦を楽しんだ。

 山岡町の山あいに設けられた無料観戦エリアでは、ラリーカーがスタートと同時に爆音を響かせながら急加速し、直後に直角の右カーブで巧みなコーナリングを披露。近所の水野裕文さん(57)は「エンジン音の迫力がすごい」とレースに見入った。岩村町のリエゾンでは、カラフルなラリーカーが江戸時代の風情を残す古い町並みを通行。地元の加藤勝也さん(70)は「ラリーを通じて岩村の魅力を全世界に発信できたはず」と話した。

 観戦エリアやリエゾンの準備、運営には市民ボランティア六百人が協力。市によると、大規模な渋滞や事故はなかった。来年以降の大会に向け、愛知県豊田市とともに運営主体として開催を目指す恵那市の小坂喬峰市長は「WRCの開催を生かしてさらなる地域振興を図っていく」とコメントした。 (長谷部正)