センスの良い仕上がりは欧州車にも負けないトヨタ「ハリアー」。走りも一級品だ
センスの良い仕上がりは欧州車にも負けないトヨタ「ハリアー」。走りも一級品だ
 トヨタ自動車が6月半ばに売り出したスポーツタイプ多目的車(SUV)の4代目「ハリアー」が、歴代モデルをしのぐ人気ぶりだ。発売1カ月で月販目標(3100台)の15倍近い約4万5000台の予約が舞い込み、現在もその勢いは衰えず。地域によっては年内の納車も難しいという。今や大人気の都市型SUVのはしりとして1997年デビューしたハリアーは、歴代モデルが高い人気を誇ってきた。新型は伝統の質感の高さに加え、走りの良さも大きな魅力になった。

内外装は高級輸入車にも引けを取らない

クーペボディーと呼ばれる優雅なハリアーのリアビューだが、後席の居住空間は犠牲になっていない
クーペボディーと呼ばれる優雅なハリアーのリアビューだが、後席の居住空間は犠牲になっていない
 ハリアーの魅力は何と言っても高級輸入車にも引けを取らない内外装の仕上げの良さと、高級乗用車を連想するしなやかな乗り心地だ。4代目は昨年4月に発売された本格派SUVのRAV4と基本骨格を共有するが、歴代のコンセプトをしっかり守り、オフロードを意識しない人々にも受け入れられる仕上がりの高さが際立つ。

 実際に運転してみると、大きな車体にもかかわらず、ハンドリングが気持ち良い。特に前輪駆動のFFの仕上げは秀逸で、大きさや重さを感じさせず、上等な高級セダンにでも乗っているように走る。

 サスペンションのショックアブソーバー(減衰装置)をRAV4と同じメーカーながら、わざわざ仕様を変える拘りが効いた。2018年から売り出した現行カローラも、ショックの調整を徹底的に煮詰めて欧州車のような走りを手に入れて高く評価された。その成功体験も生かし、車高が高くて車重もあるハリアーながら、路面の衝撃をしっかり吸収し、なおかつ車体を安定させる絶妙のバランスを実現させた。

 ステアリングも新しい制御方式を採用し、直進安定性が増した。この方式がこれからのトヨタ車のベースになるという。ハンドルを切り始めた時の感触がとても自然で、ハンドル動作と足回りが直結しているような走りを生み出した。

マスターテストドライバーが走り込んだ成果

落ち着いた雰囲気の室内は、各部のクオリティーが高く高級感を味わえる
落ち着いた雰囲気の室内は、各部のクオリティーが高く高級感を味わえる
 ハリアーが気持ち良い走りを実現できたのは、トヨタ自動車の豊田章男社長もその一員に名を連ねる、マスターテストドライバーらが徹底的に走り込んだ成果という。開発者がはじき出したデータと、実際に走った時に人間が感じる印象を擦り合わせる作業は時間と労力がかかる。最近のトヨタ車が欧州車にも負けない走りをするのは、そんな地道な作業に時間をかけているからだろう。

 4WDモデルは本格的に悪路も走れるように調整されているため、FFと比べるとやや重さを感じる。オフロード走行をしないのであればFFがお勧めだ。前モデルではなかったハイブリッドとFFの組み合わせも設定され、4WDに比べると20万円ほど価格が抑えられるのも魅力だ。

 また、廉価版と思われがちな排気量2リットルのガソリンエンジンモデルの仕上がりも良い。車重の軽さも相まってスポーツモードで積極的に走りたくなり、FFとの相性はばっちり。ハイブリッドに比べると価格も50万以上安くなり、血気盛んな若者には、お財布への負担も考えてお勧めだ。

 シートも包み込む感じで好感触。メーターの視認性や、位置も良く、走行中の負担が少ない。どこまでも走れそうな気持ちよさだ。衝突軽減ブレーキなど先進の安全装備もフルに備えており、老若男女の分け隔てなく安心して乗れるだろう。

 クーペボディーと呼ばれる優雅なボディーラインや、ちょうど良い高級感が魅力の新型ハリアーだが、その人気を支えているのは確かな走りだ。

 ★価格 ガソリンエンジン車は299万円から423万円で、ハイブリッドは358万円から482万円。4WDは20〜22万円高。

 ★燃費 カタログではハイブリッドが新規格WLTCモードで22・3キロ/リットル(4WDは21・6キロ/リットル)で、ガソリンが15・4キロ/リットル(同14・7キロ/リットル)。エアコンをフル稼働で、高速や街中を1時間ほど走った試乗時の簡易データは、ハイブリッドで18キロ/リットル前後。FF、4WDともあまり変わらず、EVモードでの走行時間が多いと一気に伸びる印象だ。