7年ぶりにフルモデルチェンジのトヨタ「シエンタ」。デザインのアクセントになっているモールは、ボディーの保護につながっている(いずれも田村尚之撮影)
7年ぶりにフルモデルチェンジのトヨタ「シエンタ」。デザインのアクセントになっているモールは、ボディーの保護につながっている(いずれも田村尚之撮影)
 トヨタ自動車のミニバン「シエンタ」が、8月末に2度目の全面改良を受けて3代目に進化した。5ナンバー枠に収まるコンパクトサイズながら、最大7人が乗車できる利便性の高さが受け、これまでに106万台が販売された人気車だ。新型は、基本骨格とハイブリッドを含めたエンジンを一新し、最新の安全装置や運転支援装置を備えるなど、その魅力が大きく高められた。 (田村尚之)

 かわいらしい新型シエンタのフロントフェースは、まさに現代のファミリーカーといった面持ち。テレビCMで子犬をモチーフに使っているように、どこか“ご主人様”に従順な愛犬感が漂ってくる。

 ボディーの全長と全幅は、7年間で65万台を販売した2代目を踏襲したが、全高は20ミリ高められた。狙いは居住空間の充実で、やや角張った印象になったボディー後方のデザイン処理と相まって、よりミニバン感が強くなった。

 2代目は見る角度によってハッチバック車両に見えるなど、乗用車寄りの作り込みだった。きびきびした走り味も含め、ややスポーティーな雰囲気。日常では2列目シートまでの乗車で、年数回は3列目を使うユーザーを狙っていた。

 新型も同じようなターゲットだが、乗る人の快適性を強く追求したという。特に1列目から2列目までのシート間の長さを、先代より80ミリ延長し1000ミリとしたことで快適性がアップ。乗り心地も、シート下のボディー接着部分に柔軟性のある接着剤をはさむなど、静粛性が高められた。

 サスペンションの味付けも、2代目より少しマイルドに。ただ、ボディー剛性が高められたことで、軟らかめの足回りでもコーナーではしっかりと踏ん張ってくれる。

 一新されたハイブリッドシステムは、滑らかさが増した印象だ。燃費は実用に近いという測定方法WLTCモードで28・8キロ/リットル。ストップ&ゴーが連続する早朝の都内をエアコン全開で40〜50分試走したデータでは、19キロ/リットル前後。連続走行が加われば、20キロ/リットルは軽く超えるだろう。

 ファミリーカーにこそ欠かせない、衝突を回避するブレーキ支援システムなどは、最新のシステムをフル装備。オプションで、アクセルやハンドル操作をクルマが行ってくれる駐車支援システムも備える。

 2003年9月にデビューした初代から、日本の家族に寄り添ってきたというシエンタ。女性ユーザーをさらに意識した新型は、見た目も乗り味も「優しさ」がキーワードという。発売時ですでに2万4000台の事前予約が入る人気ぶりだ。

<値段> ハイブリッド車は238万円から291万円。モーターで後輪を動かす4WDは、257万8000円〜310万8000円。1・5リットルのガソリンエンジンは195万円〜256万円。2列シートの5人乗り、3列シートの7人乗りが選べる。今注文するとハイブリッドが3−4カ月待ち、ガソリンが2−3カ月待ちという。

<福祉車両> 荷室に車いすをそのまま乗せられる車両を3タイプ設定。特に福祉タクシーなどの法人ユースをにらんだ独自のショートスロープ仕様は、操作の簡単さに加え、狭いスペースでの乗降も可能にした。日本の福祉車両の8割近くを占めるトヨタらしいアイデアだ。
全高が20ミリ高められ、やや角張ったデザインになってミニバンの要素が強まった
全高が20ミリ高められ、やや角張ったデザインになってミニバンの要素が強まった
2列目シートの居住性が高まった室内
2列目シートの居住性が高まった室内
機能性が高いショートアプローチ仕様の福祉車両
機能性が高いショートアプローチ仕様の福祉車両