全面改良されたトヨタ自動車の最高級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」に試乗する機会に恵まれた。アルファードは前モデルで芸能人や企業トップの移動の足として定着。新型ではミニバンの枠を大幅に超えた静粛性を手に入れるなど、その快適さは世界的な高級車と肩を並べるレベルへ進化した。ヴェルファイアは、快適性をそのままに、ドライバーがハンドルを握る喜びを得られるクルマつくりへシフト。両モデルは個性を際立たせ、完ぺきな仕上がりを含め、再び市場を席巻しそうだ。(田村尚之)
ミニバンの枠超えた世界レベルの高級車
トヨタの世界に誇れる高級ミニバンが、6月末にフルモデルチェンジ。1980年代のキャッチコピー「いつかはクラウン」になぞられ、「いつかはアルファード」とささやかれ始めた。
見た目は前モデルの雰囲気を保ちつつ、ボディーサイドの膨らみが増すなどしてややグラマラスへ。ひと目で高級感が増したような印象だ。
その印象は室内に収まると強まる。各部の作り込みに隙はなく全ての質感が極めて高い。飛行機のビジネスクラスをほうふつさせる豪華な2列目シートはもちろん、運転席でも穏やかに体が包み込まれる感じだ。自動車用シート素材では扱いが難しかった低反発ウレタンを提供社とともに開発を進め、初めて使えたことが効いていそうだ。
見た目は前モデルの雰囲気を保ちつつ、ボディーサイドの膨らみが増すなどしてややグラマラスへ。ひと目で高級感が増したような印象だ。
その印象は室内に収まると強まる。各部の作り込みに隙はなく全ての質感が極めて高い。飛行機のビジネスクラスをほうふつさせる豪華な2列目シートはもちろん、運転席でも穏やかに体が包み込まれる感じだ。自動車用シート素材では扱いが難しかった低反発ウレタンを提供社とともに開発を進め、初めて使えたことが効いていそうだ。
飛行機のビジネスクラスを彷彿させるシート
高級感は走り出すとさらに強まる。ボディー剛性を前モデルの1・5倍に高め、3つのバルブを備えるショックアブソーバー(減衰装置)を採用し、人が不快に感じる15ヘルツの振動を徹底的に排除したという。確かに2列目シートも運転席でも、下っ腹に感じるような微妙な振動がない。
大きな室内空間があるミニバンのウイークポイントになるボディーのねじれ対策も、オープンスポーツカーのクルマつくりにヒントを得たという。後輪下に配したV字型のフレームを加えることで乗り越えた。
前モデルで指摘された微細な課題を、開発陣が重箱の隅をつつくような地道な作業で克服。振動や静粛性への対策では、煙を使ってボディー下部の小さな隙間を見つけ出して対処したという。その結果、目標に掲げた欧州車の超高級サルーンに匹敵するレベルに達した感じだ。
大きな室内空間があるミニバンのウイークポイントになるボディーのねじれ対策も、オープンスポーツカーのクルマつくりにヒントを得たという。後輪下に配したV字型のフレームを加えることで乗り越えた。
前モデルで指摘された微細な課題を、開発陣が重箱の隅をつつくような地道な作業で克服。振動や静粛性への対策では、煙を使ってボディー下部の小さな隙間を見つけ出して対処したという。その結果、目標に掲げた欧州車の超高級サルーンに匹敵するレベルに達した感じだ。
オープンスポーツカーのノウハウも使う
存続の危機にあったヴェルファイアは、開発時に社長だった豊田章男会長の鶴の一声で継続が決定。自分でハンドルを握ることが好きなユーザーの求めに応じ、フロント部分に補強を入れてハンドリングの応答性を高めたという。さすがにスポーツカーのようにはいかないが、シャキッと引き締まった印象になった。
エンジンは、排気量2・5リットルのハイブリッドを両モデルに搭載。ガソリンモデルは、アルファードが同2・5リットルの自然吸気で、ヴェルファイアがスポーティーな味付けの2・5リットルターボ。ガソリン版は、それぞれのキャラクターに合ったすみ分けをしたようだ。
ここまで良いことばかり書き連ねたが、唯一であり最大の課題は価格だろう。最も安いアルファードのガソリンモデルで540万円。2列目シートにマッサージ機能も備えるVIP用「エグゼクティブラウンジ」は、アルファードが850万円で、ヴェルファイアは870万円。4WDを選べばさらに高くなり、そう簡単に手を伸ばせるレベルじゃない。やっぱりいつかは―のクルマだ。
エンジンは、排気量2・5リットルのハイブリッドを両モデルに搭載。ガソリンモデルは、アルファードが同2・5リットルの自然吸気で、ヴェルファイアがスポーティーな味付けの2・5リットルターボ。ガソリン版は、それぞれのキャラクターに合ったすみ分けをしたようだ。
ここまで良いことばかり書き連ねたが、唯一であり最大の課題は価格だろう。最も安いアルファードのガソリンモデルで540万円。2列目シートにマッサージ機能も備えるVIP用「エグゼクティブラウンジ」は、アルファードが850万円で、ヴェルファイアは870万円。4WDを選べばさらに高くなり、そう簡単に手を伸ばせるレベルじゃない。やっぱりいつかは―のクルマだ。
大人気、抽選で購入者を決定?
〇…アルファード/ヴェルファイアは、月販基準台数を8500台に設定。およそ1年分に相当する台数の販売店への割り振りは決まっているというが、受注台数は明かしていない。1年を超えるような受注を受けるとユーザーへの不利益も多く、販売店が割り振りを受けた台数に応じて注文を受けている。一部では抽選で購入者を決めているようで、相変わらずの超人気車だ。