〈ST600〉51GARAGE kupu Racing YAMAHA
全日本ロードレース開幕特集

51GARAGE kupu Racing YAMAHAが全員集合(左から)臼井メカ、宗和コーチ、阿部恵斗、岩城オーナー、西村硝、辻本GM、平代表
俳優の岩城滉一(72)とライダーの宗和孝宏(57)が出会ったのは1989年。レース好きの岩城とミニバイクレースに参戦したのが始まりだ。そこに元ライダーの辻本聡(63)が加わり、「チームイワキ」で97年に宗和と辻本が鈴鹿8耐に参戦し、もて耐にも3人で参戦するなど長い付き合いが続いている。そこに平知恭代表(55)が加わり、「51GARAGE kupu Racing YAMAHA」を再結成して阿部恵斗(19)、西村硝(21)で全日本ST600に参戦する。 (敬称略)
ライダーとして尊敬

岩城チームオーナー&監督
渋い演技で活躍する岩城はバイク好きとして知られ、ライダーとしてレース経験もある。だからこそ岩城は「日本のライダーのレベルは、他スポーツのアスリートに負けないすごさがある。辻本聡や宗和孝宏をライダーとして尊敬する」と言う。
岩城と宗和との出会いは1989年にさかのぼる。宗和は全日本TT─F1クラスでカワサキのエースライダーとして活躍する一方で、ともにミニバイクレースを走った。89年には、ルマン24時間レースに初参戦して3位表彰台を獲得。その後、渡米してAMAスーパーバイク選手権でも活躍した。
95年に帰国後も全日本に参戦し、97年には辻本と組んで「チームイワキ」から鈴鹿8耐に出場した。その後、宗和はレース界を一時離れることになったが、岩城から「もう一度、レースに向き合え」と促され、2014年にライダーとして全日本(ST600)に復帰し、17年に「51GARAGEチームイワキ」の監督に就任した。岡本裕生を擁して18、20年とST600のタイトルを獲得した。岡本はその活躍が認められて、22年にはヤマハファクトリーに迎えられることになった。
宗和は「岡本をファクトリーに送り出したことで目標を達成したわけではない。チームとしてしっかり次のステップを踏みながら成長したい」と語る。
昨年は阿部恵斗を迎えてST600参戦。全6戦で毎戦勝者が違う激戦の中で、阿部はオートポリスで初優勝し、ランキング3位に食い込んだ。
岩城と宗和との出会いは1989年にさかのぼる。宗和は全日本TT─F1クラスでカワサキのエースライダーとして活躍する一方で、ともにミニバイクレースを走った。89年には、ルマン24時間レースに初参戦して3位表彰台を獲得。その後、渡米してAMAスーパーバイク選手権でも活躍した。
95年に帰国後も全日本に参戦し、97年には辻本と組んで「チームイワキ」から鈴鹿8耐に出場した。その後、宗和はレース界を一時離れることになったが、岩城から「もう一度、レースに向き合え」と促され、2014年にライダーとして全日本(ST600)に復帰し、17年に「51GARAGEチームイワキ」の監督に就任した。岡本裕生を擁して18、20年とST600のタイトルを獲得した。岡本はその活躍が認められて、22年にはヤマハファクトリーに迎えられることになった。
宗和は「岡本をファクトリーに送り出したことで目標を達成したわけではない。チームとしてしっかり次のステップを踏みながら成長したい」と語る。
昨年は阿部恵斗を迎えてST600参戦。全6戦で毎戦勝者が違う激戦の中で、阿部はオートポリスで初優勝し、ランキング3位に食い込んだ。
育成に定評一時代築いたレジェンド

辻本ゼネラルマネジャー
昨シーズン途中から辻本聡がアドバイザーとして加わった。宗和は「辻本さんはライダーとしても人間としても尊敬できる人物。阿部の力を引き出すために必要だと考えた」と説明した。
辻本は85、86年とヨシムラで全日本TT─F1クラスでV2を達成、鈴鹿8耐でもケビン・シュワンツと組んで85年に3位。スズキワークスライダーとして活躍、95年には伊藤真一と組んで鈴鹿8耐で2位に入るなど一時代を築いたレジェンドだ。ライダー育成には定評があり、津田拓也を見いだし、JSB1000でトップ争いをするライダーに引き上げている。
辻本は85、86年とヨシムラで全日本TT─F1クラスでV2を達成、鈴鹿8耐でもケビン・シュワンツと組んで85年に3位。スズキワークスライダーとして活躍、95年には伊藤真一と組んで鈴鹿8耐で2位に入るなど一時代を築いたレジェンドだ。ライダー育成には定評があり、津田拓也を見いだし、JSB1000でトップ争いをするライダーに引き上げている。
若手ライダー育成にかける思いで共感

平知恭代表
今季は岩城がこれまで以上にチームに関わる予定で、平プロモートの平知恭代表の支援も得て体制が強化された。ライダーも西村硝を加え、阿部と2台体制でST600に参戦する。
ロードレース世界選手権の登竜門、アジアタレントカップで2019年にチャンピオンを獲得した西村は昨年、全日本ST600に参戦したものの思うような結果を残せなかったため、心機一転チームを移籍。「目標はチャンピオン」と張り切っている。
平代表は学生時代にレース経験があるため造詣が深く、今も夢を追い掛けるライダーをサポートしている。宗和と出会って意気投合、「若手ライダー育成にかける思いを感じた」と協力体制を築くことを決意したという。
ロードレース世界選手権の登竜門、アジアタレントカップで2019年にチャンピオンを獲得した西村は昨年、全日本ST600に参戦したものの思うような結果を残せなかったため、心機一転チームを移籍。「目標はチャンピオン」と張り切っている。
平代表は学生時代にレース経験があるため造詣が深く、今も夢を追い掛けるライダーをサポートしている。宗和と出会って意気投合、「若手ライダー育成にかける思いを感じた」と協力体制を築くことを決意したという。
初心に戻りブラッシュアップしたチーム目指す

宗和ライダーコーチ
「チーム名の51ガレージは岩城滉一の『こういち(51)』が由来。自分の感覚としては初心に戻り、ここからさらにブラッシュアップしたチームを目指したい。辻本さんが来てくれて、阿部の優勝という結果が出たと思う。平さんも加わってもらい、ライダーのトレーニングを含めた体づくり、さらにメカニックの育成など、レース界への恩返しと発展を考えながら、みんなで協力してライダーを支えたい」と宗和が抱負を語れば、岩城も「それぞれに力を発揮して、悔いのない戦いができたらと思う。順位にこだわらずに懸命に挑んで納得して、このチームに関わった全ての人と、シーズンオフに『よくやった』と、笑い合えるような戦いがしたい」と応ずる。
全日本ST600のフルエントリー台数は28台、実力者の小山知良(ホンダ)、成長著しい伊手翔太(ヤマハ)、モト2経験がある羽田太河(ホンダ)ら強豪がそろう。阿部&西村が岩城らのバックアップを受けて、どんな戦いで新風を送り込むことになるのか注目が集まる。
▼阿部恵斗(あべ・けいと)2003(平成15)年9月13日生まれ、19歳。東京都出身。13年に元WGPライダーの故阿部典史さんが立ちあげたチームノリックに加入。18年、14歳で全日本JGP2デビュー。20年からは同ST600に参戦。昨年はオートポリス大会で初優勝を挙げ、ランク3位。また、昨年後半からアジアロードSS600にも参戦。今年も両シリーズで戦う。
▼西村硝(にしむら・しょう)2001(平成13)年11月15日生まれ、21歳。香川県出身。10、14年に四国モトクロス選手権の軽量級クラスで王座獲得。14歳からロードレースに転向。18年、アジアタレントカップに出場し、翌19年にチャンピオン。20、21年はWGP併催のルーキーズカップに出場。昨年、全日本ST600にデビューし、ランク22位。
全日本ST600のフルエントリー台数は28台、実力者の小山知良(ホンダ)、成長著しい伊手翔太(ヤマハ)、モト2経験がある羽田太河(ホンダ)ら強豪がそろう。阿部&西村が岩城らのバックアップを受けて、どんな戦いで新風を送り込むことになるのか注目が集まる。
▼阿部恵斗(あべ・けいと)2003(平成15)年9月13日生まれ、19歳。東京都出身。13年に元WGPライダーの故阿部典史さんが立ちあげたチームノリックに加入。18年、14歳で全日本JGP2デビュー。20年からは同ST600に参戦。昨年はオートポリス大会で初優勝を挙げ、ランク3位。また、昨年後半からアジアロードSS600にも参戦。今年も両シリーズで戦う。
▼西村硝(にしむら・しょう)2001(平成13)年11月15日生まれ、21歳。香川県出身。10、14年に四国モトクロス選手権の軽量級クラスで王座獲得。14歳からロードレースに転向。18年、アジアタレントカップに出場し、翌19年にチャンピオン。20、21年はWGP併催のルーキーズカップに出場。昨年、全日本ST600にデビューし、ランク22位。