練習走行でコースに出ていく角田(前)と岩佐(松本浩明撮影)
練習走行でコースに出ていく角田(前)と岩佐(松本浩明撮影)
 ホンダレーシングスクール(HRS)鈴鹿の特別講習会が2日、栃木県のモビリティリゾートもてぎで行われ、鈴鹿レーシングスクール時代の卒業生2人が飛び入り参加した。アルファタウリF1の角田裕毅(23)は6年ぶりに乗るカートで模擬レースに挑戦。逆転優勝を狙った最終ラップのスピンでリタイアに終わったものの、最後尾からの果敢な追い上げで貫禄を見せつけた。今季のF2でランク4位の岩佐歩夢(22)も3位でフィニッシュし、レースを盛り上げた。(明村馨)

「結果は悔しいけど、楽しかった」

 世界を舞台に戦う先輩たちが、カートで激走を繰り広げた。角田と岩佐は1周980メートルの北ショートコースを10周する模擬レースで、HRS鈴鹿カートクラスの生徒5人と対戦。ハンディで最後尾からスタートした角田は、1コーナーのハードブレーキングで一気に2番手に浮上してみせた。

 しかし、最終ラップのヘアピンコーナーで先頭車両をパスしようとしてスピン。グラベルにクルマを止めてレースを終えたものの、満面の笑みを浮かべながらカートを降りた。

 「途中までなじんでいなかったけど、走っているうちに戻ってきた。最後はオーバーテイクをしようとしたら、ブレーキの感覚を全く忘れていて、強く踏みすぎてリアが抜けてしまった。でも、1回でも前に出ないと面白くないから、チャレンジできて良かった。結果は悔しいけど、楽しめた」

 カートで本格的に走るのは6年ぶりだった。レース前の練習走行は約10分間だけ。「納得のいく走りができれば後輩たちには負けない」と話していたが、さすがにブランクは大きかったようだ。

“どたキャン”ペレスの代役講師

 F1で3年目の今季をランク14位で終え、11月30日に帰国したばかり。3日の「ホンダレーシングサンクスデー」に出演後、6日には日本を離れる。英ミルトンキーンズでF1のシミュレーターに乗る仕事が待っており、シーズンオフながら「けっこう忙しい」と苦笑いだ。

 この日は講師を務めるはずだったレッドブルF1のセルジオ・ペレスがフライト遅れで“どたキャン”。既にもてぎ入りしていた角田と岩佐が急きょ“代役参戦”し、その穴を埋めた。

 レース後は一緒に走った後輩たちから質問攻めに遭い、角田は「レースの前は緊張するけど、それは真剣になっている証拠」などと戦う気構えを説いた。実際に積極果敢な走りを見せた後だからこそ、臨場感あふれる返答が生徒たちの胸に深く染み渡ったに違いない。