表彰台で喜ぶ阿部(左)と岩城滉一チームオーナー(竹内英士撮影)
表彰台で喜ぶ阿部(左)と岩城滉一チームオーナー(竹内英士撮影)
 全日本ロードレース選手権ST600クラスで初のチャンピオンに輝いた阿部恵斗(20)を直撃した。今季は加入2年目となる「Team 51 GARAGE YAMAHA」からYZF─R6を駆って参戦し、6レース全てで表彰台に立つ活躍ぶり。クラス4年目で大崩れしない安定感を身につけ、念願を果たして「やっと」と安堵(あんど)した。王者の肩書を背負う覚悟もまとい、さらなる成長を目指す。(聞き手=佐藤洋美)

全6レースで表彰台獲得

最終戦3位でタイトルを決め、チャンピオンTシャツを着てガッツポーズ(竹内英士撮影)
最終戦3位でタイトルを決め、チャンピオンTシャツを着てガッツポーズ(竹内英士撮影)
 ─今季はクラス4年目。どんな目標で臨んだ?

 阿部「そろそろ、しっかりとした結果が欲しいと思っていた。6レースしかなく、1戦でも落としたらタイトル争いから脱落してしまうので、転倒せずに上位で安定して走り切りたかった。これからのことを考えたら、チャンピオンになることは絶対に必要だと焦る気持ちがあった」

 ─シーズンを振り返って。

 「2戦目のSUGO戦のレース1で勝って、レース2は赤旗中断で2位。そこまでは絶好調だった。その後はかみ合わず、優勝を狙えたレースもあったのにという反省もある。それでも、全6レースで表彰台に上り、安定して上位で結果を残すことは達成できた。自分で点数をつけるなら、60点くらい」

 ─ST600はライバルが多い激戦区。予選で1秒以内に十数台がひしめき、レースでは激しいぶつかり合いもある。

 「いつも全力、気が抜けないレースが続き、最終的にはチームメートの西村硝選手とのタイトル争いになった。最終レースは西村選手が優勝しても、僕は6位以内に入ればいい状況。でも、初めてのチャンピオン獲得がかかっていて、やっぱり落ち着かなかった。勝って決めたかったけど、冷静な判断も必要だと考えて、(今季ワーストの)3位でチェッカーを受けた」

 ─初タイトルを決めたときの気持ちは?

 「ホッとした。やっと、やっとだな〜とうれしかった。みんなも喜んでくれたし、本当に良かった」

 ─最終戦ではJSB1000の中須賀克行(ヤマハ)、ST1000の渡辺一馬(ホンダ)、JGP3の尾野弘樹(同)と並び、チャンピオン表彰を受けた。

 「ポケバイやミニバイクの時から知っているレジェンドライダーたちと並んでいる自分が、ちょっと信じられないというか、びっくりしてオドオドしていた。皆さん、堂々としていた。タイトルを狙い続けるなら、底知れないプレッシャーと戦い続けなければならないんだと思った。それを感じて、覚悟もできたように思う。それだけでも、チャンピオンになった価値があった」

 ─今後の目標は?

 「ヤマハに認められるライダーになりたい。ファクトリーに入れるように技術を磨いていきたい。いずれは(今季はロードレース世界選手権のモト2クラスで戦った)先輩の野左根航汰さんのように、海外へのチャンスをつかみたい」

5歳からポケバイ大会に出場

 ▼阿部恵斗(あべ・けいと) 2003(平成15)年9月13日生まれ、東京都出身の20歳。5歳からポケバイの大治郎カップに出場し、9歳の時に故阿部典史選手の父・光雄さんが運営するチームノリックに加入した。15年から地方選手権に挑み、18年に全日本デビュー。ST600は初年度の20年にランキング8位、21年は5位だった。22年にチームノリックから現チームに移籍し、クラス初優勝を飾ってランク3位。今季、念願の初タイトルを獲得した。