3連覇王者を決め、誇らしげな笑顔の尾野(竹内英士撮影)
3連覇王者を決め、誇らしげな笑顔の尾野(竹内英士撮影)
 全日本ロードレースのJGP3クラスは「チームP.MU 7C GALESPEED」から参戦した尾野弘樹(31)=ホンダ=が、シリーズ3連覇を決めた。開幕4連勝という圧倒的な強さを見せながら、終盤戦は転倒などで、狙っていた全勝を逃した。ロードレース世界選手権(WGP)モト3クラスの参戦経験を生かし、後進の指導にも精力的。若手ライダーのベンチマークとなるため、これからも勝ち続ける覚悟だ。(聞き手=佐藤洋美)

 ―シーズン前の目標は?

 尾野「全戦全勝を狙っていた。自信があったわけではなく、参戦するからには当然の目標だった。でも、ふたを開けるまでどんなシーズンになるかは分からない。ライバルの顔触れも、仕上がり状況も変わるから予想はつかなかった。とにかく全力を尽くそうと開幕を迎えた」

 ―開幕4連勝と強さを示したが、5戦目の岡山国際ではトップ独走中に転倒した。

 「あそこで勝てばタイトルが決まった。すっきり決めて、最終戦はプレッシャーなく走りたかった」

 ―原因は?

 「トラブルが出てしまい、それが(転倒の)引き金になった。全戦全勝の願いは消えてしまった」

 ―最終戦で3位に入り、V3を決めた。

 「(最終戦が開かれた)鈴鹿(サーキット)はホームコース。本当に速いチャンピオンの姿を見てほしかったけど、それができなかった。タイトルがかかるレースは全力疾走ができず、守りのレースになった。悔しさが残った」

 ―「打倒尾野」が若手ライダーの合言葉になって、全日本のレベルを引き上げている。

 「実際のところ、自分が全日本を走る上で、(若手を)引っ張っていくのは役目だと思っている。トップを走ることは決して簡単ではないが、周りの成長を感じて自分も刺激をもらっている。30歳を超えたが、衰えを感じることはない」

 ―自身のレース活動をしながら、後進の育成にも積極的だ。

 「チームHIROというレーシングチームの監督を務め、キッズから地方選手権と自分ができる範囲で活動している。(HRC開発ライダーの)長島哲太さんとはミニGPの手伝いもさせてもらい、キッズライダーたちをサポートしている。昨年のミニGP王者、池上聖竜選手が今年全日本にデビューし、SUGO戦でJGP3のポールポジションを獲得した。これからが楽しみなライダーの一人」

 ―ミニGPは世界への道も開ける。

 「僕も長島さんも世界グランプリに挑戦し、日本に戻ってきたという意味ではキャリアが似ている。つらい思いをしたからこそ、その経験を(若い子たちに)伝えたい。そこから学んで、世界に出て行ってほしいと願っている」

 ―自身の夢は?

 「ライダーとして、まだ速くなれると思っている。トップで居続け、(来季は)4連覇を目指したい」

 ▼尾野 弘樹(おの・ひろき) 1992年7月15日生まれ、31歳。奈良県出身。3歳でポケバイを始め、2007年に全日本ロード昇格。09年から海外レースに挑戦し、13年アジアドリームカップ王者。14、17年にCEVレプソル選手権参戦。15、16年にはロードレース世界選手権のモト3クラスに参戦。18年に帰国し、21年からJGP3クラスを3連覇。