初タイトルへデオリベイラ「挑戦者」
最終決戦GT300
第7戦で今季2勝目を挙げて勢いに乗るKONDOのデオリベイラ(左)と藤波(GTA提供)
第7戦で今季2勝目を挙げて勢いに乗るKONDOのデオリベイラ(左)と藤波(GTA提供)
 GT300クラスは5ポイント差で最終戦を迎える2チームが、事実上のマッチレースで王者を争うことになった。前戦もてぎで2勝目を挙げ、ランキング首位に立ったKONDOの藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デオリベイラ組(日産GT−R)。そして前戦の不運で首位から2位に陥落したレオンの蒲生尚弥/菅波冬悟組(メルセデスAMG)の戦いだ。舞台となる富士スピードウェイは、スピードが伸びるGT−Rに有利だが、レオンが履くブリヂストンタイヤとの相性も良い。どちらが流れをつかめるか−。


 GT300は参戦2年目のKONDOレーシングが、ランキング首位で最終戦を迎える。2006年から参戦するGT500はランク7位(16年)が最高で、チームとして初めてスーパーGTのタイトルに挑む。

 今季から古巣に復帰したデオリベイラも力が入る。「ランキング首位だが、リーダーとしてアプローチするつもりはない。挑戦者として最大限のパフォーマンスを引き出せれば、結果はついてくると思う」。これまでと変わらぬ姿勢を貫き、頂点に上り詰める覚悟だ。

 デオリベイラは昨季、2006年から13年間戦ったGT500を離れ、活動の場をGT300に移した。だが、初年度は車両や戦い方の違いに戸惑い、入賞もできないまま1年を過ごした。

 今年は通算で6年間所属したKONDOに復帰。シーズン序盤は思うような結果を残せなかったが、第5戦で300初優勝。「なかなか勝てなかったので、500で勝った時よりもうれしい」と、勝つための“こつ”もつかんだ。

 GT500で長らく優勝争いしたデオリベイラの経験と実力は、GT300では大きな武器となる。勝負所のレース終盤などで、GT500車両を抜かせながらライバルと戦う時には、ベテランの駆け引きは有効だ。王者がかかる最終戦でも、抜群の存在感を発揮するはずだ。

 コンビを組む藤波はフル参戦2年目の若手。18年にスーパー耐久のSTXクラス王者を獲得した経験もあるが、今季の成長が目覚ましい伸び盛り。「富士では前回の第5戦を勝っているので、相性は悪くないが、ライバルも速いので気は抜けない。やるべきことをやり切り、絶対にチャンピオンを取りたい」と威勢が良い。

 今季のFIA・GT3仕様のGT−Rは、ライバル勢に比べてストレートが伸びる特徴がある。1キロを超えるロングストレートがある富士との相性は良い。心地よい追い風を受けるKONDOが、初めてのタイトルに突き進む。

前戦で首位陥落…有終V飾り逆転タイトルだ

逆転王者を狙うレオンの(左から)菅波、黒澤監督、蒲生(GTA提供)
逆転王者を狙うレオンの(左から)菅波、黒澤監督、蒲生(GTA提供)
 前戦もてぎでまさかの無得点に終わったレオンは、追う立場になって大一番に挑む。満を持して第5戦でランキング首位に立ち、2018年以来のタイトル奪還に向けてシーズン終盤戦に臨んだが、第6、7戦でセーフティーカー(SC)のタイミングに恵まれず失速した。

 そんな不運に泣かされたが、チームの士気は高いまま。黒澤治樹監督は「諦めるつもりはない。勝てば自力の王座奪還は可能。それを目指していく」。有終Vを飾ってタイトルを奪い取る決意をみなぎらせた。

 乗り込むメルセデスAMGはバランスの良さが武器だが、世界中のGTレースで好結果を残していることが災いし、スーパーGTではやや不利な性能調整を受ける形になった。それでもレオンは「ノーミス」を掲げ、目前のレースに最大限の力を注ぎ、第6戦までは全て入賞する堅実な戦いぶりが光った。

 惜しまれるのは、前戦の不運だ。予選で20番手と伸び悩んだが、決勝では得意のタイヤ無交換のピット戦略で浮上する計画が、SC直前にピットインしたことが裏目に出て周回遅れになった。それでも黒澤監督は「予選から流れが悪く、前方の順位で戦えなかったのが敗因」と潔く敗北を認める。この生真面目さがレオンの武器でもある。

 昨季途中からエースになった蒲生は「まだ終わったわけじゃない。最終戦は運も実力も引き寄せる」と言い切った。何としてもKONDOとの直接対決を制し、2年ぶりの戴冠を果たす。

ゲイナー安田「もう1勝」

大逆転を狙うゲイナー11号車の平中(左)と安田。選手紹介でおどける笑顔を最後に見せたい(GTA提供)
大逆転を狙うゲイナー11号車の平中(左)と安田。選手紹介でおどける笑顔を最後に見せたい(GTA提供)
 ◯…選手部門の制覇を狙うゲイナー11号車の平中克幸/安田裕信組(GT−R)は、13ポイント差のランク3位で最終戦に臨む。第4戦まで首位を守ったが、第6、7戦と不利なタイミングでSCが出て苦境に追い込まれた。安田は「非常に厳しくなったが、最後にもう1勝したい」と必勝の決意。ポールtoウインでもKONDOが4位以下、レオンも3位以下にならなければ王者には手が届かない。15年に選手とチームのW王者を獲得した名門だが、参戦16年目の平中はタイトルとは無縁。何としても厳しい道のりを乗り越える。

ARTA松下闘志燃やす

連覇に挑むARTAのNSX。助っ人に指名された松下の手腕にかかっている(GTA提供)
連覇に挑むARTAのNSX。助っ人に指名された松下の手腕にかかっている(GTA提供)
 ◯…昨季のクラス王者、ARTAの連覇に黄信号が灯っている。首位から15ポイントも離される苦境に加え、チームをけん引してきた高木真一が他レースのクラッシュで前戦から欠場。新人の大湯都史樹と、急きょF2で活躍する松下信治を迎えての戦いとなった。前戦ぶっつけ本番で初体験の“ハコ車”レースに挑んだ松下は「うまく走らせられないもどかしさはあるが、最終戦にはもっと成長できる」と闘志を燃やす。ホンダNSXとの相性が良い富士で、土壇場の大逆転を狙う。

グッドスマイルまず1勝

0・1%の可能性にかけるグッドスマイルのメルセデス(GTA提供)
0・1%の可能性にかけるグッドスマイルのメルセデス(GTA提供)
 ◯…タイトルに首の皮一枚で残っているのが、グッドスマイルの谷口信輝/片岡龍也組(メルセデスAMG)だ。首位から20ポイント差のため、逆転するにはポールtoウインを飾り、なおかつライバル勢が全滅−という厳しい条件だ。片岡は「絶望的な状況だが、0・1%の可能性にかける」と前を向く。チームは2011年から3年周期で王者に就いており、今年は“当たり年”。苦戦続きだったが、第6、7戦で3、2位と連続表彰台に上っている。まずは今季初勝利を取りにいく。