初優勝へGOGOGO〈チームマッハ〉
現在ランキング7位
鈴鹿450キロで大駆けを狙う「マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号」
鈴鹿450キロで大駆けを狙う「マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号」
 スーパーGTのGT300クラスでランキング7位につけるチームマッハの冨林勇佑(26)/平木玲次(24)組(トヨタ86MC)が、第5戦(28日決勝)が開かれる得意な鈴鹿サーキットでの大駆けを狙う。同じ鈴鹿で行われた5月の第3戦では、チームベストタイの2位表彰台を獲得。今大会もクルマとの相性の良さを生かし、eスポーツの世界王者からリアルレースに進出4年目にしてGTデビューを果たした冨林と、シリーズ参戦2年目の平木が表彰台の真ん中に突き進む。
ライバルを警戒しつつも、表彰台の真ん中に挑むチームマッハの冨林
ライバルを警戒しつつも、表彰台の真ん中に挑むチームマッハの冨林
 マッハの2人が、シーズンで最も重要な1戦を迎えた。舞台は、乗り込むMC86と相性が良い鈴鹿での450キロレース。チーム初となる表彰台の頂に狙いを定めた。

 ルーキーながらチームを引っ張る冨林は、「勝ちたいなぁ〜。予選でしっかりと前に出て、優勝を目指して戦いたい」と力を込めた。5月の第3戦では、6番手スタートからタイヤ無交換作戦を決めて2位まで駆け上がった。今度こそ、初優勝を奪い取りたい思いでいっぱいだ。

 コンビを組む平木も思いは一緒。「前回は300キロレースで、今回は450キロ。僕らのクルマは燃費も良いので、距離が伸びるとメリットがある」。クルマとの相性の良さを生かし、前回よりももう一つ高い所に挑む決意を込めた。

 もちろん、追い風だけではない。前回鈴鹿の2位で45キロの「サクセスウェイト」を搭載したことで、第4戦の富士大会(7日)では車両バランスが少し崩れてしまった。平木は「前戦の富士では決勝ペースが上がらなかった」と振り返るが、「(セッティングを)見直せば対応できる範囲」と事前にクルマの調整をしっかり煮詰める戦略だ。

 今大会に向けて発表された性能調整では、燃料タンクの容量が120リットルから110リットルに減らされたこともマイナス材料になる。持ち前の燃費の良さを生かす“牙”を一本抜かれたかたちで、冨林も「戦略の幅が少し狭まるかも」と不安をもらす。それでも致命傷には至らない見込みで、戦略を練り直して克服していくつもりだ。
前回2位でゴールした得意の鈴鹿に臨む冨林(右)。左は相棒の平木=第3戦の表彰台から
前回2位でゴールした得意の鈴鹿に臨む冨林(右)。左は相棒の平木=第3戦の表彰台から
 今大会も第3戦同様に決勝で駆け上がるには、予選で上位に進出するのが絶対条件となる。NAエンジンを搭載するMC86は、その特性上コーナーの立ち上がりがやや鈍く、立ち上がりの鋭いターボエンジンを搭載する車両を追い抜くのがひと苦労。そのため、ひとたび車群に埋もれてしまうと、抜け出すのに時間がかかってしまう。

 その反面、「ストレートエンドのスピードは伸びる。前を走っていれば何とか抑えられる」と冨林。MC86のメリットを最大限生かすには、予選のQ1突破は絶対に逃せない状況だ。

 GTではルーキーの冨林ながら、エアバスターのフルカラー車両で戦うスーパー耐久のST3クラスでは昨季までシリーズを2連覇し、今季もランク2位につける実績を持つ。さらに世界王者に就いたeスポーツではリアルレースと違わない技量が求められ、そこで誰よりも走り込んできた自信もある。タイヤの管理など難しさが一段階上がった今季の戦いでも、これまでの経験を十分に生かせるはずだ。

 「今回はライバルが多い感じがする。実力があるのに(重りが)軽いクルマが多いし、(国内規則で造られた)86やスープラも侮れない。軽いNSXも来そうだし」。警戒心を強める冨林だが、それだけ周囲の状況がよく見えている証拠だ。

 平木も別チームで戦うS耐で、最高峰STXクラスのランク首位に立ち、タイトルに突き進んでいる。GTでも「(チャンピオンの)可能性はなくはない」と見据え、「その意味でも鈴鹿の450キロは大きな意味を持つ。タイトル争いに加わるには(鈴鹿が)頑張りどころ」と語気を強めた。

 第5戦からシーズンは折り返し。大きな目標に突き進む「マッハ車検 エアバスター MC86 マッハ号」を操る2人が、待望の初優勝へ挑む。

冨林にほれ込み今年からタッグ

三友商事・大門社長

 チームマッハを支えているのが、除菌&脱臭装置「AIR BUSTER(エアバスター)」を販売している三友商事だ。大門正義社長は「いちファンとしてモータースポーツが大好き。冨林を介してスーパーGTにかかわれて幸せです」と楽しそうに語る。

 2020年にeスポーツの世界王者からリアルレースに進出した冨林に出会い、その型破りな生き様にほれ込んだ。そして86/BRZレースやスーパー耐久での活動を支え、今年から一緒にスーパーGTに打って出た。

 大門社長が夢見るのは、eスポーツの世界王者が、リアルレースのスーパーGT王者に登り詰める姿を通し、多くの人に夢や希望を与えること。新型コロナ禍で不確かな状況が続く中で、一つでも明るい話題を提供したい一心だ。「とにかく冨林がレースに集中できる環境を整えたい」と力を込めた。

 ★エアバスター 三友商事が販売するオゾン脱臭装置。菌や臭いの元を酸化分解するオゾンの特性を生かし、除菌、脱臭をする。同様の装置が、大阪府や東京都の救急車に装備されている。また、同社はスーパーGTを開催する全6サーキットに寄贈。関係者の控室やガレージなどの施設に設置し、新型コロナ禍での感染防止策に一役買っている。製造は大阪府の「タムラテコ」が担当。

冨林がファーストピッチ来月7日に甲子園球場で

三友商事が冠スポンサー

冨林がファーストピッチ来月7日に甲子園球場で
冨林がファーストピッチ来月7日に甲子園球場で
 三友商事は、9月7日に甲子園球場で開かれるプロ野球の阪神対ヤクルト戦の冠スポンサーに就いた。同球場の選手控え室などにエアバスターが約50台導入されており、試合前には冨林が「ファーストピッチ」を行う予定。大門社長は「冨林をもっと多くの人に知ってもらう良いチャンス」と楽しみにしている。

 大門社長にとって、ヤクルトはプロ野球界で初めてエアバスターを導入してくれた「恩のある球団」という。新型コロナ禍で同社の除菌&脱臭装置はモータースポーツを始め、数多くの団体などが導入するようになったが、同球団はそれ以前からのお付き合い。知名度のなかったエアバスターを「臭いやインフルエンザ対策として、実験的に2軍施設で導入してもらいました」と振り返る。さまざまな思いがこもった試合になりそうだ。