転倒してクラッチとステップ破損
乗りにくくなってゴールまでヒヤヒヤ
今年の8耐終盤は誰もついていけないペースでゴールを目指した清成(カメラ=北村彰)
今年の8耐終盤は誰もついていけないペースでゴールを目指した清成(カメラ=北村彰)
 鈴鹿8時間耐久ロードレース(31日決勝)にFCC・TSR・ホンダから参戦、自身4回目の優勝を飾った清成龍一(28)。今年は秋吉耕佑(36)、伊藤真一(44)に続く第3ライダーとしてのエントリーながら、レースではスタート&フィニッシュ・ライダーを務めるなど奮闘した。序盤で転倒を喫しマシンにダメージを負ったものの、そのミスを跳ね返す果敢な走りを披露、ライバルに「今年は清成に負けた」と言わしめた清成を直撃――。(聞き手=佐藤洋美)

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 ――優勝、おめでとうございます

 清成龍一「ありがとうございます。無事に勝つことができてホッとしています」

 ――第3ライダー登録でしたが、スタート・ライダーを務めましたね

 「第3ライダーとして走るのは初めてだったので、どう気持ちを持っていけばいいのか。決勝のことを考えていたら前の晩は眠れなくなって……。そんな経験はあまりないんですが……。でも、どのポジションを任せられてもいいようにとは思っていたので大丈夫でしたが、スタートはアクセル開けすぎて失敗してしまいました」

 ――でも、1周目トップで帰ってきて、ファステストラップを記録し、2番手以下を引き離しましたね

 「リードを広げて秋吉さんにつなぎたかったんです。でも、ヘアピンでコンマ5秒削るのにリスクを冒す必要はなかったと……。転倒してクラッチとステップを破損してしまいました。乗りにくくなってしまい、迷惑をかけたことや、修復の時間を考えるとばかなミスでした。このことが原因で勝てなかったらどうしようと、チェッカーまでヒヤヒヤしていました」

 ――でも、それを自分の走りで挽回し、首位を奪い返した

 「伊藤(真一)さんと秋吉(耕佑)さんで勝てないわけはないというプレッシャーが、これまで感じたことがないくらいに重たかった。でも、それがあって集中できたと思います」

 ――伊藤選手に交代した時にマシンを修復。そこで30秒近い差が開いてしまいますが、清成選手のセッションで16秒近く詰め、次のセッションで秋吉選手が逆転しました

 「誰もあきらめていなかったし、逆転できると信じていました」

 ――予選まではセットアップに苦労しているようでした。秋吉選手、伊藤選手がタイムを出せない。4番手というのはこれまでない順位でしたから……

 「2人が決勝ギリギリまでセットアップを考えてくれていました。第3ライダーの僕の仕事は、マシンに慣れてタイムを出すことだと割り切っていました。第3ライダーで予選は出番がなかったですが4番手は悔しくて。絶対に1番がいいですからね。決勝では1番になってやると思っていました」

 ――4回の走行をこなしても平然と見えました。あらためて清成選手のタフさが印象に残りました

 「ミスター8耐と言われたW・ガードナー(ホンダ)さんが85年に8耐で勝った時、5時間近くを一人で走ったって雑誌で読んだんです。僕なんてまだまだだな……。どんなに疲れてもしんどくても優勝は自分で勝ち取るもの。そういう強い気持ちで今年の8耐は走ろうって決めていたんです」

 ――ラストも清成選手になり、走るたびに速さを増していった。事実、最後は誰もついていけませんでしたよ

 「ヨシムラもハルクもギリギリのところでせめぎ合いながら戦っていたと思います。ずっとバトルがあって、その中で自分のレベルが上がっていったと思います。速い人たちと走れたことがうれしかったし、競えたことがうれしかった。最後に勝てた訳ですから最高です」

 ――今年は3強(TSR、ヨシムラ、ハルク−プロ)が同一周回でトップ争いを繰り広げるという素晴らしい戦いになりました

 「加賀山(就臣)さんがなかなか離れてくれず、強敵でした。個人的には玉田(誠)さんに勝てたのがうれしい(笑)。巧(高橋巧=昨年、清成がコンビを組んで優勝)は力があるのに、それを出し切れなかったと思うので、悔しかっただろうと思います。昨年はうれし泣きしていたけど、今年は悔し泣きしているんじゃないかと、ちょっと心配しました」

 ――今年の8耐は「清成に負けた」とライバルが言っているのは、ある意味、最大の賛辞ですよね

 「そう言ってもらえてすごくうれしいです。でも伊藤さんと秋吉さんがいてくれて、何かあったとしても2人が挽回してくれると思えたことが大きかった。安心して走ることができました。みんなでつかんだ優勝です」

 ――清成選手は伊藤選手とともに8耐の勝利数を4に伸ばして歴代2位。あとひとつで歴代1位に並びとなりますが……

 「チャンスをもらえたら挑戦したいです」

 ――今週はBSBのブランズハッチですね?

 「はい。8耐ではたくさんの応援をありがとうございました。BSBでも頑張ってきます」