全日本でケガを負うも奮闘
来年に向けて必勝を誓う
12位と満足できる結果ではなかったが、柳川はケガをおして走りきった(カメラ=佐藤洋美)
12位と満足できる結果ではなかったが、柳川はケガをおして走りきった(カメラ=佐藤洋美)
 今年の鈴鹿8耐(7月27日決勝、三重県・鈴鹿サーキット)で大きな話題となったのは、93年以来の勝利を目指して13年ぶりにカワサキが8耐に帰ってきたことだった。カワサキは、絶対的エース柳川明(43)と、昨年Team GREENに加入した若手の渡辺一樹(23)、そして第3ライダーに現在アジアロードレース選手権で活躍するアジアのスター藤原克昭(39)がそろって参戦。決勝では、一時2番手まで浮上するもののアクシデントによって12位。8耐を終えた柳川にカワサキの8耐挑戦について聞いた。(聞き手=佐藤洋美)

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 −全日本ロードレース選手権SUGO戦(6月29日決勝)の決勝中の転倒でのケガが心配でしたが

 「左鎖骨を骨折してしまった。実は何度も鎖骨を折っていることもあって、骨がバラバラになってしまい骨盤から移植しようという話が出たんですが、手術をしたら8耐には出られない。SUGOの後に応急処置をして8耐に間に合わせることになったんです」

 −チームはケガのことを口外しないようにしていましたね

 「いい話ではないから、なるべく広めないようにという方針。自分はしっかり体調を戻すことだけ考えていました」

 −カワサキファンが待ち望んだ8耐参戦でした

 「8耐復帰はカワサキのなかでも大きな出来事で、社内でもたくさんの人が動いてくれて実現したことでした。ファンの人の気持ちも感じていた。何より、自分自身が13年間、毎年、毎年、8耐やりましょうと言い続けて来た。だから、何としても成功したかったし、カワサキらしい戦いをしたいと思っていました」

 −他のどのチームよりも、8耐への準備は早かったように思います

 「13年戦っていないということは、初挑戦と同じでしょう。マシン、タイヤ、戦い方も、昔のやり方が通用するわけではないから、懸命に準備をしてきた。ライダー3人の顔合わせも早かったし、テストも早かったと思います」

 −8耐レースウイーク中は、柳川選手もケガの影響など感じませんでしたし、藤原選手もチェンジが逆というハンデがありながらタイムを出し、渡辺選手もタイムアップ。計時予選では3番手、トップ10でも4番手。決勝でも一時は2番手まで浮上して来ました

 「一樹(渡辺)は2番手まで順位を上げながら突然の雨で転倒してしまった。マシンにダメージがあった影響で、克昭(藤原)にイレギュラーのピットインがあってポジションダウン。追い上げのレースになってしまいました。表彰台まで行きたかったけど、いや、勝つための勝負がしたかったけど、そこまで行けなかった」

 −柳川選手は、スタートライダーとチェッカーライダーを務め、カワサキのエースライダーとしてしっかりと役目を果たした思います

 「13年間、いつ8耐参戦のチャンスが来てもいいようにトレーニングを続けていました。酷暑の中で走り続けられる自分を作って来た。ケガをしたのは自分のミスで、どうしようもないけど、その影響が出ないようにしたつもりです。12位という結果が嫌だとか、残念だったというのではなくて…。もっと違う戦い方があったんじゃないかと悔しくて…。もっと勝ちにこだわった戦い方があったんじゃないかといろいろと考えてしまって、レース後は眠れなかった」

 −厳しい追い上げのレースになりましたが、3人ともトップチームと変わらないペースで周回していました

 「久しぶりの8耐に向けて、しっかり取り組んで来たつもりだったけど、悪天候、転倒とアクシデントが起き、考えていたものとは違ってしまい、ちぐはぐな部分があったと思う。懸命に取り組んでいるけど、その方向性が少しでも違うと、願った結果は得られない。もっとできるはずだって思うから、すごい悔しいんだろうね。もう一度、最初からやり直したいって思うもの。でも、それがわかったことを収穫だと考えて大事にしなければって思う。このままでは終わらない。終わらせたくないと思うから」

 −来年のリベンジをファンは信じて待っています

「自分も信じて、身体のメンテナンスをして、これからの全日本、来年の8耐に備えたいと思っています。たくさんの人の声援は届いていました。チーム全員の励みになりました。ありがとうございました」