残り30分、試練乗り越え3年ぶり2度目の美酒
第36回大会決勝
終盤のウエット路面を乗り切り、多くの人々に迎えられた高橋巧(カメラ=沢田将人)
終盤のウエット路面を乗り切り、多くの人々に迎えられた高橋巧(カメラ=沢田将人)
 【鈴鹿サーキット(三重県)鶴田真也、遠藤智、佐藤洋美】第36回鈴鹿8時間耐久ロードレースは28日、当地で決勝を行い、ハルクプロの高橋巧/レオン・ハスラム/マイケル・ファンデルマーク組(ホンダ)が優勝した。終盤に雨が降り出したものの、ゴール役の高橋がドライタイヤのまま走りきり、チームと自身にとって2010年以来3年ぶり2度目の栄冠を勝ち取った。2位はヨシムラスズキの津田拓也/青木宣篤/ジョシュア・ブルックス組(スズキ)。3位にはチームカガヤマの加賀山就臣/ケビン・シュワンツ/芳賀紀行組(スズキ)が入った。(観衆=6万1000人)

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 スタンドからカウントダウンのコールが沸き起こっている真っ最中に高橋巧が最終コーナーを立ち上がった。ゴールラインを通過したのは規定の8時間に達してわずかに1.28秒後。優勝の余韻に浸る余裕もなかった。

 「疲れました。時間(の表示)が見えていたので、もう1周はつらいなと思っていた。とにかくゴールができてうれしい」。所属のハルクプロにも3年ぶりの栄冠をもたらし、表彰台ではハスラム、ファンデルマークとともにトロフィーを高々と掲げた。

 58周目に首位に立ったが、最後に試練が待っていた。ゴールまで残り30分を切って雨が落ちてきたのだ。ラップタイムも落ち出し、雨用タイヤに交換するチームが続出したが、2位以下を周回遅れにしていたことからそのままレースを続行。「雨はどうしようもなかった。でも、残り時間も少なかったので。ピットサインが出るまで走り続けるつもりでいた」と振り返った。

 埼玉県出身の23歳。ポケバイからそのままステップアップする選手が多いなかで、ダートトラックレースの変わり種。未舗装のオーバルコースで後輪を横滑りさせながらコーナリングする、操作が非常に難しいことで知られる競技だ。

 「地元にダートトラックのコースがあったので始めたのですが、どんな状況でも対応できるようには(今も)なっているのかな」。当時培ったマシンコントロールの技術が大舞台で生きた。81周目にはシケイン手前で挙動を乱し、転倒しかけたが、冷静にグラベル(未舗装路)を駆け抜けて危険を回避。雨中でも安定感ある走りを続けることができた。

 8耐の表彰台は今年を含めて直近の6大会で5度目となるが、全日本選手権では苦戦続きだ。最後のタイトルは2008年に史上最年少で獲得したGP250。昨年のJSB1000もランク7位止まりだった。

 「今回の優勝を(次に)つなげないといけないですよね」。今季はJSB1000で現在ポイントリーダー。一皮むけるきっかけとなるか。
トロフィーを掲げて優勝を喜ぶハルクプロ(カメラ=佐伯友章)
トロフィーを掲げて優勝を喜ぶハルクプロ(カメラ=佐伯友章)