昨季“新人王”念願初Vへ
 クアルタラロは昨年、モトGPルーキーながらPPを6回奪い、決勝でも7回の表彰台に立った。ランキング5位で終え、ルーキーオブザイヤーを獲得。その勢いは衰えず、オフのテストでも再三トップタイムをマーク。「テストではロングランでもいいペースを刻めたのが大きい」と念願の初優勝に大きく前進したことをアピールした。

 すでに21年のヤマハファクトリーチーム昇格が決まっており、テストではすでにファクトリー待遇だった。「ペトロナスとヤマハのサポートは素晴らしい。このオフに自分の将来が明確になり、これからのレースに完全に集中できる」と20年シーズンへ闘志を燃やす。

 13、14年と2年連続でスペイン選手権(現CEVレプソル選手権)のモト3でチャンピオンを獲得した。WGPは本来16歳以上でないと出場できないが、15年にスペイン選手権のチャンピオンは15歳で出場できるように改定された。クアルタラロのための法改正。ルールまで変えてしまう逸材だ。

 明るくて陽気な性格。細かいことにはあまりこだわらず、走行を開始する直前までリラックスしている。そんな性格だからガレージのムードもいいし、ファンも多いクアルタラロ。速さの秘けつはコーナリングスピードの速さで、まさに“コーナリングのヤマハ”の申し子。「(YZR─M1の)2020年型には満足している。あとは結果につなげるだけ」とマシンの仕上がりは万全だ。

 7月にもつれこんだ開幕戦の舞台は、昨年、史上最年少でPPを獲得したヘレス。世界のレースファンにその速さを印象付けたサーキット、しかも2戦連続だけに、期待はふくらむ一方だ。最大のライバルであるマルク・マルケスをそこで完封できれば、短期決戦となった20年のチャンピオンシップに激震が走る。

ロッシ 来季は「ペトロナスヤマハで99%走る」

 デビューから25年目。最年長の41歳で開幕戦を迎える“レジェンド”バレンティーノ・ロッシが、正念場のシーズンを迎えた。

 17年オランダGP以来優勝がないが、今年は出だしから好調。セパンテストでは自己ベストを更新する1分58秒台をマークし、「テストはポジティブだったが、みんな速いからね。これからも懸命に仕事をしなければ」と明るく語り、世界中のロッシファンを喜ばせた。

 今季を最後にヤマハファクトリーを離れることが発表されて「引退」の二文字がチラついたが、スペインGP直前に「来季はペトロナスヤマハで99%走る」と発言、「サインしてはいないが、契約は合意間近だ」と、これまでのうわさに自ら終止符を打った。9度のタイトルを獲得したスーパースターはレース人生の集大成を築くため現役続行を選択。「ペトロナスヤマハは素晴らしいチーム。ファクトリーとそれほど差はない」とやる気満々だ。

 昨年はシーズン前半に2度の表彰台に立ったものの、得意とするヨーロッパラウンドで苦戦した。タイヤライフ、ブレーキングの安定性など課題を抱えての戦いを強いられたものの今年は大きく改善。ニューマシンの性能向上にレジェンドの意欲が燃え上がる。

ビニャーレス 調整万全!!

 ヤマハファクトリーで4年目を迎えるマーベリック・ビニャーレス(25)。今年最初のセパンテスト前に2022年まで契約を延長して、レースに集中する環境を整えた。テストではクアルタラロとともに好調をキープ。最高の状態で開幕戦を迎える予定だったが、コロナで仕切り直しとなった。

 それでもテストでつかんだ自信は消えず。20年型YZR─M1のセットアップについては「特にレースに関してすごく良くなった。かなりポテンシャルが高いと感じた」。セパンではM・マルケス(ホンダ)、A・リンス(スズキ)と並んで、アベレージの高い走りで注目を集めた。それとともに、課題のレース序盤のペースアップに向け、フルタンクでのブレーキングの安定性に挑んだ。さらに、スタートでアドバンテージを築くためにホールショットデバイス(スタート時のフロントの浮き上がりを防ぐ装置)も試した。弱点をつぶし、さらなる飛躍を図る─オフのビニャーレスはすべてがうまく行ったように見える。

 ヤマハに移籍するやいなや開幕2連勝を飾った17年からはや3年。ランキングは3、4、3位と上位をキープしているが、今年こそ壁を打ち破りたい。チームメートのロッシ、そしてペトロナスヤマハのクアルタラロ、モルビデッリというヤマハのNo1を巡る戦いも厳しさを増している。

全日本ロード8月SUGOで開幕!!

 新型コロナウイルスの感染拡大でシーズン開幕が大幅に遅れた全日本ロードレース選手権もモトGP同様の変則日程。最高峰JSB1000クラスは、8月にSUGO、9月に岡山国際とオートポリス、10月にツインリンクもてぎの全4戦7レース(岡山は1レース、他は2レース)の短期決戦になった。

 ヤマハ・ファクトリー・レーシングチームの絶対王者・中須賀克行(38)は昨年、序盤にやや出遅れるも後半戦に入ると猛烈に追い上げ、2年連続9回目のタイトルを獲得。今年は3年連続10回目のタイトルを目指す。2月のマレーシア、3月の鈴鹿テストで相変わらずの速さを発揮、ライバルを突き放した。

 「どちらもニューパーツのテストに集中したが、いいスタートが切れたと思う。もちろん今年もタイトルを狙う。記録を伸ばすことが戦うモチベーション」と中須賀は自信満々だ。

 一方、チームメートで昨年総合3位だった野左根航汰(24)の勢いある走りが、中須賀を刺激している。「中須賀さんを超えることが目標」と言い続ける野左根。絶対王者に追いつけ追い越せを合言葉に、今年は初タイトルを目指す。

 さらに若手育成を目指すユースチーム「ヤマルーブ・レーシングチーム」からは、昨年ランキング10位の前田恵助(22)が出場する。今年も全日本ロードJSB1000の主役は「ヤマハYZF−R1」。記録更新に大きな注目が集まっている。