あいさつ後、ホンダから贈られた花束を掲げるマルケス
あいさつ後、ホンダから贈られた花束を掲げるマルケス
◇ホンダレーシング・サンクスデー 3日 もてぎ、ペン=明村馨、カメラ=遠藤智、松本浩明 

 今季限りでレプソルホンダを離れるロードレース世界選手権(WGP)モトGPクラスの元王者、マルク・マルケス(30)=スペイン=が、日本のホンダファンに最後の別れのあいさつをした。オープントップバスに乗ってスタンドの観客に手を振り、何度も投げキッス。心からの感謝を伝えた。F1の3連覇王者、レッドブルのマックス・フェルスタッペン(26)=オランダ=は、カートレース出場などファンサービスで大忙し。アルファタウリの角田裕毅(23)もF1マシンでデモランを披露した。(観衆=1万5400人)

 ホームストレートでスタンドに向かってマイクを取ったマルケスは、神妙な表情になり、ファンに語りかけた。

 「今の自分があるのはホンダのおかげ。ホンダは、僕にとって大きな家族。長い間支えてくれた日本の皆さん、本当にありがとう」

 来季はグレッシーニレーシングに移籍する。すでに先月28日、母国のバレンシアで行われた公式テストではドゥカティマシンで初走行し、4番手タイムをたたき出した。ホンダライダーは卒業したが、本人のたっての希望で今回のサンクスデー参加が決まった。

 2013年、モトGP昇格とともにレプソルホンダに加入するや、たちまち史上最年少記録を塗り替えて初勝利、初タイトルを獲得。「マルケス黄金時代」を築いた。今年までの11年間で、奪ったポールポジションは64回。59勝を挙げ、6度の王者に輝いた。

 だが、20年スペインGPで右腕を骨折してからは本調子が戻らず、ライバルのドゥカティ勢が台頭。かつての絶対王者がこの2年間、勝利なしの苦戦を味わった。

 あいさつの中でマルケスは「自分の目標は、あくまでトップを目指すこと。まだ自分の力を試したい気持ちがあるので、ホンダを離れることになった」と説明。新たな挑戦への思いを直接ファンに訴えた。

 公式テスト翌日の先月29日、マドリードの病院で、右腕に“腕上がり”の手術を受けた。筋区画症候群とも言い、腕が痛んだり、力が入らなくなったりするライダー特有の病気。マルケスは今季後半戦から悩まされていたという。これまで右の上腕部は4度手術しているが、前腕部は初めて。来季の新規まき直しにかけている。

 それでも「今回が本当の別れになるか、サンクスデー参加が今回で最後になるかは分からない。もしかしたら、またいつか…」。ホンダと日本との縁は今後も変わらないと言うかのように、最後まで別れを惜しんだ。