テストの合間にスタッフと熱心に話し合うアコスタ(遠藤智撮影)
テストの合間にスタッフと熱心に話し合うアコスタ(遠藤智撮影)
 ロードレース世界選手権(WGP)モトGPクラスで唯一の新人、ガスガス・テック3のペドロ・アコスタ(19)=スペイン=が、マレーシア・セパンで行われた今季初の公式テスト(6〜8日)で素晴らしい走りを見せた。ベテラン選手たちに交じって3日間総合9番手と堂々のシングルポジション。切れのある走りは、いきなり大活躍を予感させる。 (遠藤智)

◆公式テストで快走

 久々の大型ルーキーの登場だ。初の公式テストで快走するアコスタに、パドックの話題が集中した。

 公式テストに先駆け、テストライダーらを主な対象に、同じくセパンで行われたシェークダウンテスト(1〜3日)でもアコスタは総合トップだった。今回の公式テストでは、各チームのレギュラー勢がこぞって参加した中、総合トップのフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ)から0・683秒差の9番手で締めくくった。

 「レース本番ではこんなふうにはいかない、と思っているけど、シェークダウンテストを含めてセパンの6日間のテストは本当に楽しかった。最終日のアタックは全力を尽くし、自分のベストで走った。トップからコンマ6秒遅かったが、満足している。連続ラップでも満足できるペースで走れた」とアコスタ。

◆高いポテンシャル

 セパンでは何度か転倒を喫した。限界を超えた転倒もあれば、メカトラブルによる転倒もあったが、その影響を感じさせずにタイムを更新していく走りは、「さすが」という言葉がピッタリ。数々の最年少記録を塗り替えてきたポテンシャルの高さをうかがわせた。

 2021年、16歳でモト3クラスにデビューして、開幕戦カタールで2位表彰台。続く第2戦ドーハでは、ピットスタートから初優勝して周囲を驚かせた。結局、6勝を挙げてデビューイヤーに王座を獲得。125cc時代を含めて1990年にロリス・カピロッシが達成した17歳165日に続く、17歳166日で史上2番目の若さ。モト3となった2012年以降では最年少新記録だった。

 22年にモト2に昇格すると、2年目の昨年に戴冠。これも、マルク・マルケスが12年に達成したモト2タイトル最年少記録19歳254日を破る、19歳171日だった。

 04年5月25日生まれのアコスタにとって、第10戦ドイツGPまでに優勝できれば、やはりマルクが持つ、20歳63日のモトGPの史上最年少優勝記録をブレークすることになる。

 アコスタは「そんなことを考える時じゃない。とにかく今は開幕戦に向けて、懸命にテストするだけ」と笑うが、周囲の期待は日ごとに大きくなるばかり。

 静かで内向的な性格だが、一度コースに出れば見違えるような熱い走りを披露。若武者の戦いぶりが注目される。