精力的に走り込んだクアルタラロ’(遠藤智撮影)
精力的に走り込んだクアルタラロ’(遠藤智撮影)
 6〜8日にマレーシアのセパンサーキットで開かれた今季初のロードレース世界選手権(WGP)モトGP公式テストで、2021年以来のタイトル奪還に燃えるヤマハのファビオ・クアルタラロ(24)=フランス=が、車両開発に力を注いだ。3日間の総合タイムはトップから0・843秒遅れの11番手とパッとしなかったが、今季型YZR―M1のウイークポイント改善へ一歩前進。次回のカタールテスト(19、20日)に向け、貴重なデータを残した。(遠藤智)

 選手部門10位に終わった昨季の雪辱を期し、クアルタラロが精力的にテストをこなした。今季型YZR―M1のシェークダウン(試走)を含め、3日間で155周も走り込んだ。

 テストを終えると満足そうな笑み。「今季型M1に初めて乗ったフィーリングは『素晴らしい』の一言。ポテンシャルを感じたよ。それをコース上でうまく発揮できるようにしなければ。トップグループに戻るにはもう少し時間がかかるが、次のテストでさらに前進できると思う」と好調さをアピールした。

 ヤマハも今季初テストにこれまでにない規模の開発部隊を送り込み、エースを支えた。陣営による今季型車両の改善点は3つ。エンジンと空力パーツ、さらに素早いスタートを可能にする新しいデバイスをリアに投入したという。

 その効果はてきめんで、テスト2日目にはヤマハとしてセパンの過去最速となる時速338・5キロを記録。空力面でも、連続周回のラップタイムでトップ3を狙えるハイペースを維持することに貢献した。

 残る課題は、2022年シーズン後半から続く「一発の速さ不足」だ。全20戦だった昨季は、予選を得意にしていたクアルタラロが、実に10回ものQ1落ち。加速性能や最高速で勝るドゥカティやアプリリア、KTM勢に歯が立たず、19年のモトGP昇格以来、初めて一度もポールポジションを奪えなかった。

 セパンのテストでも一発のタイムは伸びずじまい。最終日のアタックでは、4周続けて1分57秒台を記録する驚異的なアベレージを見せるも、ベストは同57秒525止まりで11番手。「最悪でも(グリッドは)3列目(予選7〜9番手)、できれば2列目(同4〜6番手)につけなければ、話にならない」と改善に必死だ。

 シリーズ最年少ポール記録(20歳14日)を19年スペインGPで獲得し、同年のモトGPデビューからヤマハのエースとして奮闘。21年にはフランス人初の最高峰クラス王者に輝いた。「カタールテストとシーズン序盤戦は、ワンラップ走で上位選手に近づくのが最大の目標」と宣言。ヤマハとともに、復活へのチャレンジが始まった。