第1戦マレーシアGP編
初日から快調のノリックだったが……=写真は日本GPのもの(カメラ=野間智)
初日から快調のノリックだったが……=写真は日本GPのもの(カメラ=野間智)
 ダークホース的存在のケニー・ロバーツJrが独走優勝を果たした開幕戦マレーシアGP。本命レプソル・ホンダ勢が不調に終わり、その対抗として注目されていたヤマハ勢も、ロバーツJrの独走を止めることはできなかった。その中で予選6番手から開幕戦制覇にファイトを燃やしていた阿部典史は、スタートから4周目に、PPスタートのJ・コシンスキーの体当たりにあえなくコースアウト、リタイア……。怒りに体を震わしたノリックは、今週ツインリンクもてぎで行われる日本GPでの雪辱に燃えている。
 まったくなんてこったって感じのレースになってしまった。スタートからわずか4周目の最終コーナーでコシンスキーにぶつけられてリタイア。さあ、これからだっていうのに、あっという間にレースが終わってしまった。

 去年のジョホールでも、トップ争いをしていてトラブルでリタイアしている。今年は予選からいい感じったし、絶対にいけると思っていたから、マレーシアはどうしていつもこうなんだって思ってしまった。

 スタートはまずまずだった。ロケットスタートで前に出ようと思っていたけど、みんないいスタートでそんなに簡単にはいかなかった。クリヴィーレ、コシンスキー、ロバーツJr、そして僕という順。ところがすごく遅いペースで、これならと思ったんだ。

 だけど、エンジンが全然走らない。あれっ、おかしいぞって思っているうちにジュニアがするすると前に出ていく。その代わりにコシンスキーが下がって来る。でも、エンジンが思うように伸びなくてなかなか抜けない。そうこうするうちに、ビアッジに抜かれ、チェカに抜かれる。この2人とは同じエンジンなのに、どうして僕のだけ遅いんだって、いらいらすることになってしまったんだ。

 そんな感じで2〜3周した。そして4周目にやっとコシンスキーを抜いたんだけど、最終コーナーでアイツが強引に突っ込んで来て、ぶつけられてしまったんだ。とにかく、やっとの思いでコシンスキーを抜いたし、アイツを前に出すと前のグループに離されることになるから抜かさせたくなかった。

 だから僕もかなり奥までブレーキングを遅らせた。それでも抜こうとして来たから、ホント、何やってんだって感じの事故だった。おそらくアイツは、強引に横に並べば僕が譲ってくれると思ったんだろうね。普段は仲がいいし、アイツは完全になめてかかってきたんだと思う。

 気が付いたら左足に激痛が走ってグリーンを転がっていた。起き上がろうとしたら足が痛かった。でも骨の痛みではなかったから大丈夫だなって思った。それなのにアイツは遠ざかっていくから、オイ、待てよって……ね。それからは自分でも何を言ったのか覚えてないくらい、怒りをぶちまけてやった。オマエ、ブレーキの掛け方を知ってんのかって。ここでまた甘い顔をすると次に絶対になめてくるから、言うべきことはキッチリと言ってやったんだ。

 でも、僕だけではなく、今回は全体的に遅かった。ジュニアだけが普通に走っていて、独走してしまったって感じだ。彼はもともと実力があったけど精神面に問題があった。それが今年はオフのテストから調子が良くて、いい感じで走れているんだと思った。でも、これで今年のシーズンの流れが見えたなんて思っていたら大間違い。もてぎではまるで違うレースになるし、して見せる。

 たった4周だもの。マレーシアGPで燃え残したファイトもまとめて、もてぎで燃やしてやる。開幕前のテストではあまりいい結果は出てないけど、まあ、見ててくださいって感じなんだ。

■1999年4月21日掲載