早くも2021年のモータースポーツが開幕。世界ラリー選手権(WRC)開幕戦「第89回モンテカルロラリー」が21日から始まった(24日ゴール)。今年は日本にとって“WRC元年”。トヨタの勝田貴元(27)が日本人として初めて最高峰カテゴリーにフル参戦するうえに、日本開催の「ラリージャパン」(11月)が11年ぶりに復活する。「J SPORTS」ではWRC全戦を今年も完全フォロー。勝田を中心に熱い戦いをお伝えする。
ラリーの申し子!!
ラリーファンの願いがかなった。日本人初のWRCレギュラードライバー誕生だ。過去には新井敏弘(スバル)がWRCで活躍したが、最高峰クラスのレギュラー参戦ではなかった。勝田は現役最強チャンピオンのセバスチャン・オジエらと同じワールドラリーカー(WRカー)の「ヤリスWRC」を駆って全12戦を戦う。
勝田は「今の自分に足りない部分を改善し、大きく飛躍できるよう全力で取り組みます」とツイート。フル参戦の喜びと気の引き締まる思いを吐露した。
トヨタガズーレーシング(TGR)のWRCチャレンジプログラムのもと、着実に成長。欧州の地方選手権で経験を積み、2018年には下位カテゴリーのWRC2クラスで初優勝を飾る。翌19年にはトップカテゴリーに昇格し、シーズン終盤の2戦にヤリスWRCで出場した。そして20年は8戦の予定が新型コロナの混乱で5戦に出場。しかし、開幕戦モンテカルロでは完走を第一目標に掲げて7位フィニッシュ。第4戦エストニアではトップドライバーに遜色ないスピードを披露し、最終戦モンツァではなんと、パワーステージ(PS)でトップタイムをマークした。ボーナスが付与されるため、全ドライバーがフルアタックをかけるPSで首位。これで勝田はトップドライバーの仲間入りを果たした。
思えば、勝田はラリーの申し子だ。祖父の照夫さん(77)は全日本ラリー選手権の初代王者で、日本人として初めてWRCに出場したレジェンド。ラリー界の大立者として今なお影響力を持ち、地元の愛知で行われるラリージャパン復活にも尽力している。また、父の範彦(52)は全日本で8度もチャンピオンに輝いた実力者。三代目の貴元は、生まれながらにWRCへの道が敷かれていたのだ。
F1では角田裕毅(20)がアルファタウリ・ホンダからのフル参戦が決定。小林可夢偉以来、7年ぶりに日本人のF1レギュラードライバーが誕生した。角田と勝田。FIAの2大世界選手権に日本人が2人も出るとは、楽しみ倍増。コロナの憂さも吹き飛ぶばかりだ。
今季WRC全戦出場となれば、勝田にとって経験のないイベントも複数控えているが、チームのバックアップ体制は万全。トヨタの元ワークスドライバーで、近年はテストドライバーを務めてきたフィンランドのユホ・ハンニネン(39)がインストラクターとして支えることになった。新たにシリーズに加わったアークティックラリー(第2戦)のことも母国のイベントだけに良く知っており、アドバイスは勝田にとって有益だろう。コドライバーは長くコンビを組んでいる英国人のダン・バリット(40)だけに、コミュニケーションに不安はない。思い切って戦う舞台は整った。
勝田は「今の自分に足りない部分を改善し、大きく飛躍できるよう全力で取り組みます」とツイート。フル参戦の喜びと気の引き締まる思いを吐露した。
トヨタガズーレーシング(TGR)のWRCチャレンジプログラムのもと、着実に成長。欧州の地方選手権で経験を積み、2018年には下位カテゴリーのWRC2クラスで初優勝を飾る。翌19年にはトップカテゴリーに昇格し、シーズン終盤の2戦にヤリスWRCで出場した。そして20年は8戦の予定が新型コロナの混乱で5戦に出場。しかし、開幕戦モンテカルロでは完走を第一目標に掲げて7位フィニッシュ。第4戦エストニアではトップドライバーに遜色ないスピードを披露し、最終戦モンツァではなんと、パワーステージ(PS)でトップタイムをマークした。ボーナスが付与されるため、全ドライバーがフルアタックをかけるPSで首位。これで勝田はトップドライバーの仲間入りを果たした。
思えば、勝田はラリーの申し子だ。祖父の照夫さん(77)は全日本ラリー選手権の初代王者で、日本人として初めてWRCに出場したレジェンド。ラリー界の大立者として今なお影響力を持ち、地元の愛知で行われるラリージャパン復活にも尽力している。また、父の範彦(52)は全日本で8度もチャンピオンに輝いた実力者。三代目の貴元は、生まれながらにWRCへの道が敷かれていたのだ。
F1では角田裕毅(20)がアルファタウリ・ホンダからのフル参戦が決定。小林可夢偉以来、7年ぶりに日本人のF1レギュラードライバーが誕生した。角田と勝田。FIAの2大世界選手権に日本人が2人も出るとは、楽しみ倍増。コロナの憂さも吹き飛ぶばかりだ。
今季WRC全戦出場となれば、勝田にとって経験のないイベントも複数控えているが、チームのバックアップ体制は万全。トヨタの元ワークスドライバーで、近年はテストドライバーを務めてきたフィンランドのユホ・ハンニネン(39)がインストラクターとして支えることになった。新たにシリーズに加わったアークティックラリー(第2戦)のことも母国のイベントだけに良く知っており、アドバイスは勝田にとって有益だろう。コドライバーは長くコンビを組んでいる英国人のダン・バリット(40)だけに、コミュニケーションに不安はない。思い切って戦う舞台は整った。
トヨタ ラトバラ新代表!!
勝田を送り出す「トヨタガズーレーシング ワールドラリーチーム(TGR WRT)」は体制が一変した。これまでトヨタのラリー活動を支えたトミ・マキネン氏が、今年からトヨタ自動車のモータースポーツアドバイザーに就任するのに伴い、ラリーチームはトミ・マキネン・レーシング(TMR)から、「TGRヨーロッパ(TGR─E)」に移管された。これまでと同様にTMRの人材や一部施設を活用し、フィンランドとエストニアの2拠点で活動を行うが、マキネン氏に代わる新代表になったのは、ご存じ、ヤリ─マティ・ラトバラ氏(35)=写真。WRCで通算18勝を挙げ、19年までトヨタでWRCを戦った元トップドライバーだ。
トヨタは17年にWRCに復帰してから、マキネン代表の“豪腕”で、たった4年のうちにマニュファクチャラーズタイトル(18年)と2度のドライバーズタイトル(19年タナク、20年オジエ)を獲得した。この業績を引き継ぐのだから責任重大。ラトバラ代表の性格がおとなしすぎるのではないか、エースのセバスチャン・オジエ(37)より2つ年下なのはどうかなど、当初は不安の声も聞こえた。だが、この人事の最終判断を下したのは、トヨタ本社の豊田章男社長。つい最近までトップで戦っていた知見をヤリスWRCの開発に生かせれば、自然とチームも付いてくるはずと読んだようだ。
オジエは言うまでもなく、7回もチャンピオンを取った現役最高のドライバー。続くエルフィン・エバンス(32)は昨年トヨタに来て急成長を見せてランキング2位に躍進。カッレ・ロバンペラ(20)は次代を担う逸材で、これに勝田が加わって、トヨタはバラエティーに富む強力ラインアップ。新たな「ラトバラチーム」としてモチベーションも最高とあれば、1994年以来の「2冠」へばく進あるのみだ。
トヨタは17年にWRCに復帰してから、マキネン代表の“豪腕”で、たった4年のうちにマニュファクチャラーズタイトル(18年)と2度のドライバーズタイトル(19年タナク、20年オジエ)を獲得した。この業績を引き継ぐのだから責任重大。ラトバラ代表の性格がおとなしすぎるのではないか、エースのセバスチャン・オジエ(37)より2つ年下なのはどうかなど、当初は不安の声も聞こえた。だが、この人事の最終判断を下したのは、トヨタ本社の豊田章男社長。つい最近までトップで戦っていた知見をヤリスWRCの開発に生かせれば、自然とチームも付いてくるはずと読んだようだ。
オジエは言うまでもなく、7回もチャンピオンを取った現役最高のドライバー。続くエルフィン・エバンス(32)は昨年トヨタに来て急成長を見せてランキング2位に躍進。カッレ・ロバンペラ(20)は次代を担う逸材で、これに勝田が加わって、トヨタはバラエティーに富む強力ラインアップ。新たな「ラトバラチーム」としてモチベーションも最高とあれば、1994年以来の「2冠」へばく進あるのみだ。
最終戦はラリージャパン
〇…今年もコロナによる影響でうよ曲折があったが、今季のWRCは20日現在で12戦が予定されている。昨年キャンセルされたラリージャパンが最終戦に組み込まれ、11年ぶりの復活が期待されている。サファリラリーも再びカレンダーに入り、こちらは19年ぶりの復活。そしてアークティックラリーが初めてWRCに昇格し、フィンランドで2開催(第2、8戦)となる。
ただ、コロナの感染次第でラリー実施は流動的。昨年のように8戦キャンセルなどという惨状はもうごめんだが…。
ただ、コロナの感染次第でラリー実施は流動的。昨年のように8戦キャンセルなどという惨状はもうごめんだが…。
○…ヒュンダイは、オット・タナク(33)とティエリー・ヌービル(32)がレギュラー参戦し、3台目をダニ・ソルド(37)とクレイグ・ブリーン(30)がシェアする得意の戦法で、マニュファクチャラーズ3連覇を狙っている。
なおチームは、開幕戦モンテカルロラリー直前に、ヌービルのコドライバーを、長年コンビを組んできたニコラ・ジルスール(38)に代えて、4歳年下のマルティン・ビダーグ(28)に変更した。若手育成プログラムとして下位カテゴリーで経験を積んできたが、トップカテゴリーは初挑戦だ。新ベルギー人コンビは果たして…。
○…マニュファクチャラー登録している「Mスポーツ/フォード」は、ガス・グリーンスミス(24)=写真=がエースに昇格して、フォード・フィエスタWRCでフル参戦し、テーム・スニネン(26)とWRカーの経験のないアドリアン・フルモー(25)がセカンドカーをシェアする形になる。トヨタ、ヒュンダイに比べて戦闘力は見劣りするが、リチャード・ミルナー・チーム代表は、新型コロナウイルスの影響を受けた財政難のもと、参戦が実現できたことに胸を張っていた。
なおチームは、開幕戦モンテカルロラリー直前に、ヌービルのコドライバーを、長年コンビを組んできたニコラ・ジルスール(38)に代えて、4歳年下のマルティン・ビダーグ(28)に変更した。若手育成プログラムとして下位カテゴリーで経験を積んできたが、トップカテゴリーは初挑戦だ。新ベルギー人コンビは果たして…。
○…マニュファクチャラー登録している「Mスポーツ/フォード」は、ガス・グリーンスミス(24)=写真=がエースに昇格して、フォード・フィエスタWRCでフル参戦し、テーム・スニネン(26)とWRカーの経験のないアドリアン・フルモー(25)がセカンドカーをシェアする形になる。トヨタ、ヒュンダイに比べて戦闘力は見劣りするが、リチャード・ミルナー・チーム代表は、新型コロナウイルスの影響を受けた財政難のもと、参戦が実現できたことに胸を張っていた。